13話
のんびり不定期連載です
「おはようございます! いつ来てくれるかドキドキしてましたよ!」
ギルドに着いた途端モニカに捕まり、ギルドマスターの部屋まで連れられてしまった
「やっと来たか、全く面倒を押し付けおって」
「おはようございますギルドマスター、面倒を押し付けたというのは心外ですね アレはギルドの仕事の範疇では?」
「そんな訳あるか! 失神した他国の王族の相手だなんて、少なくとも俺には初めての経験だったわ!」
「落ち着いてください、血管が切れますよ?」
「誰のせいだと思ってる?」
「え?第3王子殿下のせいだと思ってますが何か?」
「くっ…こいつは」
私と舌戦しようだなんて甘いですねギルドマスター。こちらは魑魅魍魎がひしめき合う戦場で戦っていた公爵令嬢ですよ? 元ですが
「それじゃあ仕事の話をしようか。 まず先日買い取った素材を売り払って得た金貨2500枚で、両目の眼球と心臓、逆鱗を買うには足りないから角が2本だな、これで頼みたいんだが」
「はぁ…それを私本人に言うのは問題じゃないですか? 私から金貨1000枚で買い取った物で2500枚で売ったなんて… そんな話を聞かされたら売る気が無くなりますよ?」
「確かにそうだと思うが、こればかりはうちの販売担当が上手くやったとしか言えないから勘弁してくれ。解体の連中は訓練場に待機させているからそこで頼む」
「はぁ、まぁ一度約束した事ですからいいでしょう。 ところで心臓は何に使われるんですか?」
「竜種の、特に大きな竜種の心臓から万能薬が作れるんだ。 病から毒、そして呪いにまで効果があるから引手は数多なんだ」
「そうなんですか、それ程の物だと買い手は国家や貴族って事になるんでしょうね 金額的に」
「まぁそうだろうな。こんなことを言っちゃなんだが、万能薬に加工した物なら オークションで1個金貨5000とか1万とかになるからな」
「それは平民にはあり得ない話ですね」
話をしている間に訓練場に着いたので、前回同様真ん中にどすんと胴体を出します。 少し離れた所に頭部を、 解体職人さん達が一斉に仕事に取り掛かります
「どのくらいで終わりますか?」
「30分もあれば終わるぞ、待ってる間にオークロードを売っていけよ。 昨日狩ったと聞いてるぞ」
「オークロードのお肉は自分で食べようかと思ってたんですけど」
「いやいや、あれだけの巨体なんだ 売ってくれよ。 もちろんうまいと言われている部位をちゃんと渡すから」
「そうですか? そういう事ならまぁ」
「そうか! モニカ、解体場に案内しろ」
モニカさんに連れられて解体場にやってきました。 しかし全員がレッドドラゴンの解体をしているので誰もいません
「どこに出しますか?」
「この一番大きい台にお願いします。 ドラゴンの解体で30分程度、その後から手を付けるので更に1時間ほどってところでしょうか」
「そうですか、まぁ滞在予定は明日までだったので、それくらいの時間は問題ありません。迷宮も飽きてしまいましたし」
「飽きる…ですか。 滞在は明日までとの事ですけど、次はどこへ向かうんですか?」
「まぁ地理的にカムリ王国へ行ってブルードラゴンの討伐ですかね。 いつまでも放っておくと怒られてしまいそうですから」
「そうですか…ドラゴンと対峙するなんて恐ろしくはないんですか?」
「とても恐ろしいですよ。 でも幼い頃から魔法は鍛えてきましたので自信もあります」
「そうですか、個人的な話になるんですが 私はシアさんを尊敬しています。 この国に多大な被害を与えていたレッドドラゴンを討伐してくれて本当にありがとうございました」
モニカはそう言うと深々と頭を下げた
「そこはそんなに気にしなくても良いですよ、色々な事が重なって国を出る事になり たまたま気分で進んできた道がトリュフ王国に向かう道だった…というだけです。それに出合い頭での戦闘だったので神託とか関係なしに倒してましたから」
「出合い頭にドラゴンを倒すって言われても全然ピンと来ないですね!」
「ま、世の中そういう事もあるんですよ きっと」
「はぁ…きっと凡人にはわからない何かがあるって事ですね」
解体場を後にして、この町に孤児院は無いのか尋ねると、 1軒だけあるという返事をもらった。 なんでも冒険者夫婦が迷宮に入り、子供を残して帰ってこなかった…という理由の子が集められているとの事。この町を管理している貴族はそこそこの支援をしているらしく、貧しいけどなんとか生きていけてる状態だとの事らしい。 これは早速オークを現物で寄付しに行ってきましょう、子供はお肉を食べなければいけません 大きくなるために。 この町に来てレッドドラゴンの素材だけで金貨3500枚稼ぎましたので、現金でも少し寄付しましょう。 では市場で野菜を買い占めて孤児院へゴーです!
貴族の、それも公爵家に生まれていながらも平民の子供を気にかけてしまうのは前世の記憶のせいなんでしょうかね。 大人が食べていけないのは働かない本人が悪いと思いますが、子供が食べていけないのは本人のせいじゃないですからね。子供の頃から貧困の中で成長すると、大体は盗賊など犯罪に走ってしまうものです。 子は未来の宝、自分が年老いた時に現役の世代が今の子供たちなのです 全てを助けることはできませんが、通りすがった町でなら多少助けても問題は無いでしょう。 偽善である と、言われればそうかもしれませんが せめて目に見える所だけでも…
そんな訳で買い物をし、一度ギルドに戻ってレッドドラゴンとオークロードのお肉を回収して孤児院に向かった
向かった孤児院は… まぁボロかったですね。20人程の子供がそこで生活しているそうですが そこそこの支援とは一体って思ってしまいました。院長を含めて3人の先生がいたので総出でオークを解体し、買い占めた野菜と共にスープを作りました。 とても一度の食事では消費できないお肉は塩漬けにして干し肉を作るというので、塩も置いてきました
3人の先生を含め、孤児院にいる全ての子供達にクリーンの魔法をかけ 衛生面を考えて寝床にもクリーンを。 最後に金貨10枚を寄付して孤児院を後にしました うまくやり繰りすれば1年以上の食費になりますから、先生方が横領とかしなければ少しは良い物が食べられるようになるでしょう
さて、3日分の宿代を前払いしているので 明日の出発に備えてのんびり休みましょう。 まずはお風呂ですね




