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Heinvia Story  作者: Frey
美しき問題児
3/27

フィル・ベイカー

「まずは、この世界における自分を把握することから始めないとな。」


そう言って、キャラクターステータスを覗き込んだ。


フィル・ベイカー

Lv.1 ノービス

HP:500 MP:200

STR:18

INT:16

VIT:18

DEX:14

AGI:15


「キャラ情報はハインヴィアのを使うってことか、こっちの世界での俺は“フィル”の見た目になってるってことだな。キャラメイクに時間を掛けて正解だったわ」


“フィル・ベイカー”

俺がハインヴィアで心血を注いで育てたキャラクターだ。

ネタキャラを作る性分ではなかったため見た目にこだわったのは幸いしたようだ。

初期ジョブのノービスとなった今では、ただの茶髪の青年でしかないが。


「しっかし、正真正銘初期ステータスだなこりゃ。

そんじゃ、初級冒険者脱出のため、効率のいいレベル上げをしていきますか」


システムがハインヴィアに沿ったものだとしたら、今俺が置かれている状況、すなわち

キャラメイク直後からの動きには明確なテンプレが存在する。


それを説明するためにはまず、キャラ育成の3大要素を理解する必要がある。


1つ目、この世界においてのキャラクターのステータスは5つの項目によって決定される。

STR、INT、VIT、DEX、AGIのRPGによくある5つだ。

当たり前だが、このステータスの割り振りで、キャラの方向性が決まる。

大雑把には筋力(STR)、知力(INT)、耐久力(VIT)、器用さ(DEX)、敏捷性(AGI)に関するパラメータで、それぞれの数値がHPとMP、攻撃力から命中率などキャラクターのすべての要素に関係する数値だ。


2つめ、スキルの概念。

特定の武器種を使用し続けるとその武器の熟練度が溜まり、スキルを習得する。

使用する武器種によって習得するスキルは異なり、剣術、槍術、魔術など“~術”といった名称で区分分けされる。もちろん、自分のステータス値を有効に利用できるスキルを習得する必要がある。


3つめ、ジョブの選択

ジョブと呼ばれるものを設定すると、ジョブごとに特定のステータスにボーナスがかかる。

さらに、固有スキルという、そのジョブの時でないと使用できないスキルも存在する。

ジョブが解放される条件はさまざまだが、一般的には武器熟練度と習得スキルが関係している。


ハインヴィアの面白いところは“現ジョブに関係のないスキルであっても、習得さえしていれば使用できる”ということである。

例えば、魔術スキルを使用する剣士や法術スキルを使用するナイトといった戦い方も可能で、これがそれぞれ“魔法剣士”と“クルセイダー”のジョブ解放に繋がるといった具合だ。


では、序盤最も育成が楽で効率のいいスキルとジョブの構成は何か?



答えは…体術と拳闘術、すなわち「モンク」だ。


モンクに必要なステータスは、STRとVIT、次点でAGI

火力に必要なステータスが耐久面と回避能力に直結し純粋に死にくくなる。


素手の熟練度を上げて得られる体術は、ほぼすべてのジョブで必要な体捌きの根幹になるスキルでもある。


武器を装備する必要がなく、防具も軽装となるため装備品にお金がかからない。


最終的に魔術系のキャラ育成を目指す場合はこの限りではないが、ステータスポイントの再分配は特定の条件を満たせば可能のため効率がいいことに変わりはない。


序盤のレベル上げには適した部分が非常に多いため、モンクのジョブ獲得を第一目標とすべきだろう。


「おあつらえ向きにヴェントの丘からスタートだし、ここは低レベルモンスターの宝庫だから経験値と熟練度稼ぎには最高だ。近くに商業都市マルトゥスがあったから宿にも困らないし、早速始めようか」


そう言って俺は、近くにいた初級モブ目指して駆け出した。







「これ、おかしいだろ?」


レベリング開始から30分が経過した。

ヴェントの丘に出現する敵対モブは2種類で“ボアラビット”と“フラワーモール”の2種類でそれぞれウサギとモグラを模したモンスターだ。


ここ、ヴェントの丘はキャラ作成後にゲームが開始される地点から最初の街「マルトゥス」へ続く道で、ゲーム内で最初に敵対モブとバトルすることができる場所でもある。

そのため、初期ジョブのノービスで、武器なし、回復アイテムすらなくても連戦が可能なくらいにボアラビットとフラワーモールは弱い


そいつらを、30分ひたすら狩った結果がこれである。


フィル・ベイカー

Lv.10 モンク

HP:1545 MP:166

STR:39

INT:13

VIT:33

DEX:19

AGI:30

余りポイント:18


「レベルの上りが早ぇし、モンク解放も早すぎる。振り分け可能ステータスポイントも1レベルあたり2ポイント取得か。アビリティ様様ってやつだな」


言ってしまえばチュートリアル的立ち位置のモブと30分素手で戦っただけでこの上昇率は破格だ。

普通なら2か3レべルが頭打ちだろうし、そもそもここでモンクを開放するつもりもなかった。


「“踏破者の心得”か、恐ろしいスキルだな。とりあえず第一目標は達成したし、情報取集もかねて街に行くとするか」


手に入れたアビリティの有用性を再確認しつつ、俺は商業都市マルトゥスへと足を進めた。


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