↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heinvia Story  作者: Frey
才能の目覚め
PR
10/27

クロスレンジ魔術師

隣町のサンクトスまではそこまで遠くない。

多少休憩を挟みつつでも、1日歩けば着いてしまうくらいの距離だ。


とは言え、パーティーに女性が増えた今徒歩で向かうのも酷だということで俺たちは行商の馬車を捕まえて向かうことにした。

ハンターからの同乗依頼は迎え入れられやすい。率直な話、道中の護衛が無料で手に入るためだ。


荷台に乗った俺とルーシィはそれぞれのステータスを確認した。


フィル・ベイカー

Lv.35 モンク

HP:4681 MP:254

STR:63

INT:25

VIT:58

DEX:39

AGI:55

【習得アビリティ】

踏破者の心得

観察眼

アジテーター


ルシエール

Lv.32 魔術師

HP:1524 MP:1089

STR:10

INT:124

VIT:21

DEX:45

AGI:35

【習得アビリティ】

術式省略

演算強化


「随分とバランスのいいステータスね。名前だけでは効果が分からないアビリティもあるわ。」


「決め手に欠けるとも言えるけどな。」


俺のアビリティについて、簡単にルシエールに説明する。


「観察眼があったから、フィルはエドワード区長を見たときに事件についての確信を得たのね。」


「そうゆうことだ。実際は断片的にしか分からないからそこまで万能じゃないけどな。あいつが真っ黒だってことは分かったが、ルーシィの出身や考えは分からなかったよ。」


一方、ルーシィのステータスは極端に魔術系寄りだ。しかも、気になる点が一つある。


(ルーシィは自分の事を不器用だと言う。事実、魔法発動地点の指定が苦手で遠距離での発動ができない。だが、DEXの値はINTの次に高い)


DEXの値は命中率、クリティカル率に影響を及ぼす、文字通り“器用さ”を表す数値だ。

ということはルーシィの弱点である、魔術師でありながらクロスレンジで戦わなくてはいけないというのは、彼女のステータスによるものではないということだ。


「聞いていいか?そもそも、どうして魔法の座標指定が苦手なんだ?」


「うまく説明できないけど、イメージできないのよ。例えば、【ファイアウォール】の魔法を使うとして、自分が狙った位置から噴き出す演算が組み立てられないの。魔法を使わないフィルには分かりづらいかもしれないけど。」


「【ファイアボール】や【マジックアロー】のような魔法なら、自分の近くで発動させて相手に飛ばすことはできるのか?」


「問題ないわ。それでも、その手の魔法も相手の死角に出現させて攻撃するのが普通よ。」


「...ルーシィ、この石ころをあの木に投げて当ててみてくれ。」


「いいけど、どうゆうこと?」


首を傾げながらもルーシィは石を投げて、難なく10mほど離れた木の幹に石を当てた。


そうゆうことか、これは僥倖だ。ルーシィは不器用なんかじゃなかった。

すごい才能を秘めている、アビリティの【術式省略】と【演算強化】が名前通りの効果なら適正値は限りなく高い。


「ルーシィ、君の“自分から一定以上離れた距離に魔法を発動させることが出来ない”理由が、距離感を掴むことが出来ない、あるいはDEXが低い事による命中精度不足じゃないなら解決する方法がある。」


「本当?どうすればいいの?」


「付与魔法を知っているかい?」


「知っているわ。武器とか防具に特定の魔法効果を持たせる魔法でしょう?」


「半分正解だ。それも付与魔法だが、付与魔法には2種類ある。ルーシィが言った装備に魔法効果を持たせるものは術式付与というもので、攻撃に属性を乗せたり魔法に本来ない効果を上乗せしたりするものを魔導付与と言う。俺はこれをそれぞれ、術式付与(エンチャント)と魔導付与(エンハンス)と呼んでいる。」


「その2種類の魔法が、私の弱点にどう関係するの?」


「その前に、ルーシィのアビリティの確認だ。それぞれの効果を教えてくれ。」


「術式省略は文字通り、魔法を発動するために必要な術式の組み立てを省略できるわ。演算強化は、発動する魔法の演算上限を上げることが出来る能力よ。」


予想通りの能力だが、改めて聞くと魔法を使う人間としては天恵を授かっているとしか言いようがないな。


ハインヴィアの魔法は、強力な魔法であればあるほど術式は複雑になり発動するまでに必要な時間が長くなる。同じ魔法でも、込めることができるMPの量に下限と上限が設定されていて、もちろん高ければ威力は上がる。これが魔法の演算だ。


「よく分かった、話を戻そう。さっきも言った通り魔導付与(エンハンス)には“魔法に本来ない効果を上乗せする”という方法もある。だったら、最低威力の無属性の魔法の玉を作り、そこに任意の魔法を“着弾時に発動”するよう付与して飛ばせばいい。」


「そんなことが出来るの?」


「できるさ。ただ、練習は必要だ。言葉で言うのは簡単だが、普通に詠唱するより複雑だし消費するMPも多い。だが、習得すれば戦略の幅が広がるだろう?」


「フィルって本当に柔軟な思考の持ち主ね。分かったわ、頑張って練習する。」


「じゃあ、サンクトスに着いたらルーシィの第一目標は魔導付与(エンハンス)の運用練習だ。」


並の魔術師ではこの方法は出来ないだろう。高いINTとそれなりのDEXを両方持ち合わせていないとできない方法だ。そもそも通常発動すればいいだけでやる必要はない。


実は、この方法自体は俺が今しがた思いついたものではない。

ゲーム時代に発見されたもので、通常必要のない方法が発見されたのにはもちろん理由がある。


それが、今回ルーシィに俺が可能性を見出した理由であり、後に彼女がハンターとして一躍有名になることに繋がるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。