出逢い
あの事件から1週間後
俺は毎日のようにログインしている
しかし、二人をみかけることはなかった
いつもの集合場所も、クエスト掲示板にもいない
俺にはこのゲーム以外には連絡をとる手段がない
よって、ログインし続けるしかなかった
そんな俺の様子を見た回りの連中は距離をおいた
専属パーティーを長くやってたお陰で仲が深い連中もいないしな
厄介そうなことは放置するのが一番といったところか
そうして今日もログインし、拠点の町をグルグル探索する
この町のどこかに二人をさがして
「くだらない」
本当はわかっていた、二人はログインしないこと
どれだけさがしても無駄なこと
これが何の意味も持たないこと
虚しさで足が止まる
「もう…いいか」
どこかで、区切りをつけなければならない
もういい頃だろう、俺もこのゲームを引退するときだ
システムウィンドウを開き、キャラクター削除をタッチする
[キャラクターを削除します
削除したキャラクターは二度と複製できません
それでも構いませんか]
キャラクター削除の注意事項が表示される
初めてみる文章だが、特に感想もない
「すいません」
横からメッセージがとんでくる
面倒なので無視する
「申し訳ない」
またメッセージがとんでくる
なんだこいつ、面倒くさい
また、無視する
「おーい」「おーい」「おーい」
「うるさいな、なんだよ」
「やっとこっちむいた♪」
メッセージ連打がしつこいので、相手してやる
そうすると、緑髪の少女がごきげんなメッセージをかえす
かまってちゃんか、面倒だな
「ねぇ、パーティーくんでくれない?」
[<salt>からパーティー申請がきています]
[yes・no]
パーティー申請がとんでくる
あってそうそう不躾なやつだ、気分がわるい
当然noを選択して、立ち去る
「まぁまぁ、そう言わずに」
[パーティー申請がきています]
[yes・no]
追いかけてパーティー申請をとばしてくる
粘着か?一旦ログアウトして仕切り直すか
パーティー申請を断って、ログアウトしようとウィンドウを開く
「ログアウトするの?」
ログアウトしようとした瞬間にメッセージがとんでくる
システムウィンドウは自身しか見えないはずだ
なんでこいつは俺がログアウトしようとしたのがわかる?
「お前、なんだよ」
「あとで教えてあげるよ」
もう一度パーティー申請がとんでくる
パーティーに入ることが前提のようだ
少しこいつに恐怖と興味がでてきた、怖いもの見たさか
なので、yesをタッチし、パーティーに加入する
「よし、じゃあいこうか♪」
視界がぶれた
パソコンをみていた俺自身の視界が