前日談
迫る魔物の大群
1000以上の魔物がたった数名のパーティに大挙している
その獰猛な牙で、あるいは鋭き爪で、もしくは醜悪なブレスで
目の前の存在を排除しようとしている
「装備はオーケー、付加魔術もオーケー
トイレと睡眠もすませてきた
恐れるものはなにもないな?」
騎手の風貌をした男がパーティの皆に確認するようにいう
ずっしりとした鎧と身を隠すほどの大きな盾を構えている
このパーティのリーダーである
「もちろん、私の新しい魔法みせてあげるわ」
赤のローブで身をすっぽり隠した魔法使い風の女がそれに応える
片手でその身の丈ほどの大きな杖をくるくると弄んでいる
「これほどの規模の討伐、油断は無しだ」
右手と左手のナックルをガチンガチンと打ち合わせながら
格闘家の男が戒める
「わかってる、始まったらすぐに切り替わるわよ」
「それならいいんだ」
そういって臨戦態勢にはいる。
魔物は今にも襲いかかろうとしている
こちらの戦力はたったの3人
魔物との戦力差は数の上では歴然だ
しかし、戦いは数だけでは決まらない
しかし、その男の盾は1000の魔物を一人も通さない
そして、その女の魔法は1000の魔物を消し炭に変える
さらに、その男を1000の魔物の誰もが捉えられなかった
戦闘は終始一方的だった。
男が留め、女が焼き払い、魔物が誘きだされたとき
もう一人の男は単身で手薄な敵陣最奥のボスに挑む
いつもどおりの作戦だ。
格闘家は魔法によるバフと元々のステータスで一方的に
ドラゴン型のボスを殴り続ける
ボスの反撃は全て空ぶりにされ、カウンターを叩き込まれる
「スターライト・バースト!」
輝く両手が残像になり、ボスの脚部を破壊する
格闘家の最も素早い攻撃で、ボスは防御すらできない
ボスの頭上にAGL↓のアイコンが表示される
「グォォォゥ!!!」
堪らず翼で空へ逃げようとする
しかし、
「クリムゾン・シュート」
遥か彼方から放たれた紅蓮の矢に両翼を穿たれ、落下する
そして、そこには渾身の一撃を構えた格闘家がいる
「スターライト・キャノン!」
アッパー気味に放たれた拳は、ボスの腹から頭の天辺までを
一気に貫いていく
そして、ボスのHPゲージは全て黒に染まる
男たちの勝利だ