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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第2話「混入」

 テーブルに着いたまま会話の流れを追い続けていると、言葉の内容そのものよりも、発言のタイミングや間の取り方、視線の動きといった要素が全体の雰囲気を決定づけていることが分かり、そこに合わせるだけで違和感が急激に薄れる感覚がある。


 内容は重要ではない。


 重要なのは“入り方”だ。


 「……で、その時どうした」


 軽く投げる。


 タイミングを合わせる。


 会話が一瞬だけ止まり、自然にこちらへと流れてくる。


 「いや、それがさ――」


 男が続きを話す。


 遮らない。


 奪わない。


 流れに乗る。


 頷く。


 少しだけ。


 視線を合わせる。


 外す。


 繰り返す。


 「……なるほどな」


 短く返す。


 深く踏み込まない。


 だが、無関心にも見せない。


 「分かるだろ?」


 距離が縮まる。


 同意を求めてくる。


 「……ああ、位置が悪いと詰む」


 少しだけ専門的に返す。


 だが、言い過ぎない。


 「だよな」


 笑いが混ざる。


 空気が緩む。


 「お前、どこのやつだ?」


 別の男が聞いてくる。


 自然な流れ。


 警戒ではない。


 興味だ。


 「……西の方だ」


 曖昧に返す。


 具体性は出さない。


 だが、不自然にもならない。


 「西って広いぞ」


 軽く突っ込まれる。


 笑いが混ざる。


 「……まあな」


 流す。


 深追いさせない。


 「名前は?」


 来る。


 当然の流れ。


 「……バグ」


 短く答える。


 間を空けない。


 「変な名前だな」


 笑われる。


 否定ではない。


 受け入れだ。


 「……よく言われる」


 軽く返す。


 それで終わる。


 会話が続く。


 内容が変わる。


 依頼。


 報酬。


 失敗談。


 「……拾えるな」


 情報が増える。


 質も高い。


 「……効率がいい」


 「今何受けてる?」


 話が向く。


 こちらへ。


 「……小型のやつだ」


 事実を出す。


 隠さない。


 「地味だな」


 笑う。


 軽い。


 「……まあな」


 合わせる。


 無理に強がらない。


 「お前ならもっといけるだろ」


 一人が言う。


 評価が混ざる。


 観察されている。


 「……どうだろうな」


 曖昧に返す。


 断定しない。


 「様子見だ」


 理由を置く。


 自然に。


 「慎重だな」


 「……悪くない」


 肯定が混ざる。


 受け入れられている。


 「……入ったな」


 内側で思う。


 完全ではない。


 だが、拒絶はない。


 関係が成立している。


 男の視点。


 最初は見慣れない顔だったが、会話に入ってきても違和感はなく、むしろ話の拾い方や返しが的確で、気づけば自然に“同じテーブルの一員”として扱っていることに違和感を持たなくなっている。


 馴染んでいる。


 それが普通に見える。


 笑いが起きる。


 誰かが話す。


 誰かが返す。


 流れが続く。


 「……簡単だな」


 思考が浮かぶ。


 自然に。


 視線を動かす。


 周囲。


 別のテーブル。


 他のグループ。


 「……全部同じか」


 構造は共通している。


 違うのは内容だけだ。


 「……なら」


 利用できる。


 広げられる。


 繋げられる。


 「おい、次一緒に行くか?」


 突然の提案。


 男が言う。


 軽い。


 だが、意味は重い。


 「……ああ」


 短く返す。


 迷わない。


 「問題ない」


 関係が一段進む。


 単なる同席から、“同行”へ。


 「……深くなったな」


 会話が続く。


 だが、内側では別の思考が動く。


 「……使える」


 個体ではない。


 関係。


 繋がり。


 それ自体が資源になる。


 席を立つ。


 自然に。


 流れの中で。


 「……またな」


 言葉を残す。


 軽く。


 「おう」


 返ってくる。


 違和感はない。


 外に出る。


 空気が変わる。


 人の流れ。


 音。


 匂い。


 「……混ざったな」


 振り返らない。


 必要がない。


 すでに“中”にいる。


 歩く。


 止まらない。


 迷わない。


 「――広がる」

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