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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第12章「継承(エピローグ)」

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第5話「継続」

 通りは途切れることなく続き、人の流れは止まらないまま、それぞれが違う動きをしながらも不思議と崩れずに成立していた。


 違和感を覚える者もいれば、まったく気づかないまま過ごす者もいて、そのどちらも同じようにこの世界の中に含まれている。


 記録しようとする者は言葉に迷い、考えようとする者は途中で思考を手放すが、それでも日常そのものが壊れることはない。


 理解できないものは理解できないまま残り、それを無理に解こうとしないことが、結果として自然な形になっていた。


 誰かが何もない場所を避け、別の誰かがそこに気づかず通り過ぎる。


 どちらも正しく、どちらも間違っていないまま、同じ時間の中で同時に成立している。


 通りに立つ者の中に、一人だけ、流れに逆らうことなく、それでいて流れに埋もれきらない存在があった。


 特別な動きをしているわけではない。


 ただ歩いているだけなのに、わずかに周囲との境界が曖昧に見える。


 視線を向ければそこにいる。


 だが、目を離せばすぐに人の中に紛れてしまい、はっきりとした記憶として残らない。


 誰かがその存在とすれ違い、ほんの一瞬だけ足を止めかける。


 だが、その理由を考える前に、再び歩き出してしまう。


 違和感は確かにある。


 しかし、それを追いかけるほどの強さはなく、やがて日常の中に溶けていく。


 空を見上げる者もいれば、足元だけを見て歩く者もいる。


 どちらの視点も同時に存在し、どちらかに揃うことはない。


 それでも流れは止まらず、すべてが自然に噛み合っている。


 この世界は、誰かが管理しているわけでも、統一されているわけでもない。


 ただ、それぞれがそのままの状態で存在し続けることで、結果として一つの形を保っていた。


 その中で、ひとつの視線だけが、わずかに外側から全体を捉えていた。


 通りの流れ。


 人の動き。


 揺らぎ。


 すべてをそのまま見ている。


 変えようとはしない。


 触れようともしない。


 ただ、確認するだけだった。


 ――問題ない。


 その判断だけが静かに下される。


 それ以上の操作は必要ない。


 すでに成立している。


 ならば、そのままでいい。


 視線はゆっくりと離れ、再び通りの中へと溶けていく。


 誰にも気づかれないまま。


 何も変えないまま。


 それでも確かに、そこに存在していた。


 通りは続く。


 人は歩き続ける。


 止まる理由はなく、終わる理由もない。


 違いを抱えたまま、それでも崩れない形で、ただ流れ続けていく。


 そしてその流れの中に、さっきまであったはずの違和感も、いつの間にか当たり前のものとして馴染んでいった。


 「……まあ、いいか」


 誰かの小さな呟きが、通りの中に溶ける。


 それで十分だった。

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