第13話「侵食(世界)」
都市境界における構造差が急速に縮小している状態を観測しながら、これまで局所的だった同期現象が広域に拡張され、複数の都市や経路を跨いで連続的に発生し始めていることを確認する。
止まらない。
もう、範囲は関係ない。
都市の外。
道が続く。
人が歩く。
迷う。
選ぶ。
だが。
同時に揃う。
別の場所。
同じ反応。
距離は離れている。
だが。
同じ動き。
「……何だこれ」
誰かが言う。
理解できない。
だが。
身体が先に動く。
同じ方向へ。
「……こっちだ」
声が出る。
複数。
同時に。
都市間の道。
人の流れが変わる。
複数の地点で。
同じタイミングで。
「……来てるな」
誰かが呟く。
正確だ。
波ではない。
面でもない。
“連続”だ。
途切れない。
別の都市。
まだ影響が弱い領域。
人がぶつかる。
止まる。
謝る。
普通の流れ。
だが。
次の瞬間。
揃う。
歩幅。
視線。
方向。
「……あれ?」
違和感。
だが。
すぐに消える。
そのまま続く。
変化は小さい。
だが。
確実に広がる。
対象の男が歩く。
都市の外。
さらに外。
止まらない。
「……届くな」
短く言う。
境界は意味を持たない。
距離も関係ない。
構造がそのまま広がる。
「……いい」
観測する。
複数の地点。
同時に。
変化が発生する。
繋がる。
さらに広がる。
「……止められないな」
当然だ。
始まった時点で。
終わっている。
男の視点。
自分のいる場所に関係なく、同じ現象が別の場所でも同時に起きていることに違和感を覚えず、それが“普通の広がり方”として認識されている。
「……これでいい」
それで成立する。
一方。
遠く離れた場所。
まだ変わっていない都市。
人が歩く。
迷う。
止まる。
その中で。
一人が、わずかに動きを揃える。
「……こっちか」
小さな変化。
だが。
始まる。
そこから。
「……来た」
誰かが呟く。
遅い。
だが。
確実だ。
「――全部、繋がる」




