第12話「選別」
複数の前提が同時に成立している状態の中で、個体ごとに選択された現実が重なり合いながら維持されている一方で、それらのすべてを同時に保持し続けることができず、より強く固定された前提だけが残り、他が順次排除されていく挙動が発生していることを確認する。
全部は残らない。
なら。
残るものが決まる。
通り。
複数の経路が重なっている。
一つを選べば、他も残る。
だが。
長くは続かない。
「……消えた?」
誰かが言う。
さっきまであった経路が、見えない。
「……いや、違う」
“選ばれていない”。
だけだ。
別の誰かが、別の経路を指す。
「……こっちだ」
その瞬間。
周囲の人間が従う。
その経路が強くなる。
他が薄れる。
「……残るな」
選ばれたものだけが、維持される。
広場。
複数の通路が重なっていた場所。
一つが残る。
他は消える。
完全に。
「……減った」
単純だ。
選択の数が、削られている。
対象の男が立つ。
視線を動かす。
迷いがない。
「……こっちだ」
指を動かす。
その経路が強くなる。
他が消える。
周囲の人間が同時に動く。
同じ現実を選ぶ。
「……揃ったな」
統一が起きる。
だが。
別の場所。
違う選択が残る。
「……分かれてる」
完全な一つではない。
だが。
局所的に固定される。
「……領域だな」
誰かが言う。
正しい。
現実が、場所ごとに分かれる。
「……どっちが残る」
問いが出る。
答えは簡単だ。
「……強い方だ」
選ばれた数。
固定された強度。
それで決まる。
男の視点。
自分が選んだ経路が周囲に共有されることで、その選択が“正しい現実”として固定されていく感覚を持ち、選ばなかったものは最初から存在しなかったかのように消えていく。
「……これでいい」
それだけが残る。
一方。
通りの外れ。
歩く。
止まらない。
視線を動かす。
複数の領域。
それぞれ違う現実。
だが。
数が減る。
「……選ばれてるな」
自然ではない。
だが、当然だ。
「……いい」
残るものは、決まる。
なら。
次は。
「――絞る」




