1 お昼は正門へ
目の前には二人組。
ピンク色の髪のにこやかな美女と冷たい目でこっちを見てる切れ長の目の男。
状況を全く整理はできないが、私がいま聞いたことは空耳だとしか思えない。
「…あのもう一度言ってもらえますか?」
ちょっと困った顔をして美女は答えた。
「柚以子すまぬ。私はこの男の妻になるから、そなたと結婚できぬ」
視線を少しずらせば美女の『夫』であろう切れ長の目男の顔。
「……」
「…」
どことなく勝ち誇った男の顔。言葉が出ない。
こんなことになるなら、菜々子達と学食行けばよかった―――
「柚以ちゃんお昼どうする?瑠加さん達学食だって」
2限目が終わったとろで友人の菜々子が声をかけてきた。
同じ学部で同じアパートに一人暮らし。
似たような学生生活を送っていれば顔を合わせることも多く、
気が付いたら仲が良くなって今では良い友人だ。
「あー、ちょっと行くとこあるから皆で食べて」
「そっかわかった〜気をつけてね」
菜々子の声を背にうけつつ足早に教室を出て正門へ。
構内をハイスピードで歩き正門に着いたはいいが、肝心の人物はまだ来ていなかった。
(お昼どうしよかなー売店で買って教室で食べるか。
もちろんアイツの奢りで!!)
昼時とあって人の流れはけっこう早い。
(あの塀のあたりに移動するか)
「柚以子」
かべに寄り掛かりつつ
携帯で連絡を取ろうとしたとき、自分を呼ぶ声が聞えた。
「はい?」
返事とともに振り向く私。
あぁわたしのまぬけ!!
この時、返事をせず、振り返えずにいたら、どんなによかったか
この先何度も思う私であった。