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牡丹の国  作者: ひさぎぬ
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2 ある男による昔話

わたしの時間は60秒ほど止まっていただろう。

見知らぬ女性からあなたとは結婚できないと言われたらどうすればいいのか。

まず自分が女で、貴女とは初対面ですと言うべきか!?それとも貴女は男ですかと問うべきか。

いや、それよりここどこよーー!!


そんなわたしの心境はよそに静まり返る室内。

テーブルも椅子もない八畳ほどの四角い部屋。窓が無いため外の様子は全くわからない。

照明は部屋の中央にある大きな蝋燭一本だけ。でも不思議ととても明るい。

蝋燭は私の腰あたりまで高さがありまるで床から生えているように見える。


「あの、わたしどうしてここにいるんでしょか?名前を呼ばれて振り向いただけなんですが」

自己の安定を図る為、いま考えられる中で一番無難な質問をする。


「振り向いただけではない。名を呼ばれ返事をしただろうが」

さもそれが最重要というように若干強めに男が言う。

ムッとして顔を向けると少し顎を上げ薄ら笑いを浮かべている。


なんなのよ!!この男!!

堀の深い整った顔。ぱっと見ると背の高い細身のインテリ系30男。

この男わたしに対して

悪意があるとしか思えない。

「貴方達は誰なんですか?」

ピンク色の髪の美女はまたしても不思議そうにこちらを見る。

どう考えても初対面のはず。美女が口を開こうとしたそのとき30男(仮)が口を挟む。

「姫様。花嫁修行のお時間です」

「でも柚以子とまだ話を……」 


「姫様。時間厳守です。あとはワタクシにお任せを」

有無を言わせぬその物言いに美女な姫様は頷いた。

姫様と呼ばれているということは彼女は女。男説は無くなった。


「柚以子、すべては私が至らないばかりにそなたとの約束を反古してしまった、すまぬ。」

姫様はわたしの両手を握りながら言う。

ほっそりとした見た目からは想像できないような力強いものだった。

「いえ、お気になさらず」今のところこれしか言えない。


残るは私と正体不明男。

姫様が去ったあとの室内に冷気が発生したことは言うまでもない。



そして男は淡々と語りだした。

ある時、天上に住む高貴な姫君が異界に渡りある父子と出会う。


その父子は将来を憂いており、悲しい目をしていた。

姫君は言った。

将来自分は独りぼっちなる。その時少しでも傍にいて話し相手になってくれるなら

少しの間だけ健康で丈夫な身体にしてあげようと。

そして少しの知恵をあたえようと。

父子は承諾した。しかし彼女と父子は異なる時の住人。姫君の時は一定ではない。

父は言う。自分が亡くなっても子がいる。決して子孫は絶やさないと。

その子らが姫君の話し相手になると。

かくして父子は新しい土地で生活を始め子孫繁栄を目標に幸せに暮らしました。



「それ本当にあったこと?」


「若干脚色はしてますが大筋は同じです」


なんだか頭が痛い。

「つまりその高貴な姫君がさっきの姫様で、その父子の子孫が私…?」

「その通りです。ちなみにあなたの幼少期にあなたと姫様は会っています」

会っている…?

「えっちょっと!?いつよ!」

全く覚えてない!

「唾を飛ばさないでください」

眉間を引きつらせながら胸元から懐紙らしきものを取り出して顔を拭う。

そんなところまで飛ばさないわよ。

そして今日一番の爆弾発言。

語りモード オン

「姫様は独りぼっちになる時がきたのでかの子孫に会いに行きました。

子孫である少女は言いました。

『うちにおいでよ、ずっといればひとりじゃないよ!

そうだ!けっこんすればいっしょにいられるっておじいちゃんいってた!』と」


そして一息ついてこう続ける。

「もちろんあなたの記憶は消しておきましたよ。

ですが姫様がいたく喜んでいらして…

ちなみに姫様はあなたの記憶が消してあることはご存知ありません」

その後は色々と鬼のような忙しさでした、と大きな溜め息ひとつ。


「…あの突っ込むところ多すぎなんですけど」



「もとはといえば同性とはいえ、ワタクシを差し置いて姫様に求婚する事が…

そもそもあのとき……ブツブツ」


この人どうにかしてーー


王道ファンタジーを目指したはずが遠く及ばず!

主人公のらぶはどこー。

粗いつくりで

至らぬ点があったと思いますが、読んでくださりありがとうごさいました。

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