第36話 ミスター〇ーンなお隣さんと置いて帰りたくなった父
車を走らせること約一時間、県内でそこそこ有名な大型商業施設に到着した。
なんか、運転でとかじゃなくて、精神的にかなり疲れた。
ここに来るまでの間、安住さんとの会話はたった一往復。
『そこのコンビニに寄ってください』
『あ……はい』
それだけだった。
息詰まるような車内の沈黙はエアコンを外気導入にしても換気されず、体感だと所要時間の倍くらいかったように思える。
あぁ……帰りもあんな感じなんだろうなぁ……やだなぁ。
ほんの先の未来を思い浮かべるだけで気分が滅入りそうになる。前のダメダメな安住さんが、今じゃ恋しくて仕方がない。
「着きましたよ」
駐車を終え、俺は助手席に座る安住さんにそう声をかけた。
「見ればわかります……それより、どうしてこんな離れたところに車を? ここからじゃかなり歩きますよね? そんなこともわからないんですか?」
見ればわかると言ってる割にはまるで状況がわかってねーじゃねーか!
お出かけ日和の休日だ、この手の施設が混まないわけがない。それは周りを見れば一目瞭然のはずなのに……。
ひょっとして安住さん、わざと困らせるような発言をしてるんじゃ……。
「なんです? なにか文句でも?」
「い、いえいえそんな……きゅ、休日ですからね! 今日は!」
「休日だからなんだというんですか?」
「……い、いやだから、混んでるからその、離れたところにしか駐車できないと言いますか……」
「そんなこと言われずともわかってます。私が言いたいのはそうじゃなくて、もっと近くに停まっている車を押し出して駐車すればいいんじゃないかと提言してるんですよ」
いやどこのミスター〇ーンッ⁉ 発想が斜め上というか今時のヤクザでもそんなことしねーぞ!
「できるわけないじゃないですか、そんな勝手なこと!」
「はっ、情けない男」
ゴミを見るような目を俺に向けそう吐き捨てた安住さんは、一人車から降りてスタスタといってしまた。
「はああああぁぁ…………」
俺はハンドルの上部に額を当て、盛大に溜息をついた。
…………俺、悪くないよね? 正しいよね?
誰かの肯定が欲しくて俺は頭を上げた。フロントガラス越しに若いカップルが腕を絡めて目の前を通って行くのが見えた。
なんだろ、この得も言えない敗北感は……帰っちゃおうかな。
俺はエンジンスイッチに手を伸ばすが、結局押すことはできなかった。
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やめるやめる詐欺、ここに爆誕……
さーせん!やっぱりなろうでもイカせてもらいまああす!
さーせん!




