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その10

 その少女……雰囲気などから少女とは呼べない年齢の可能性もあるが、セーラー服を着ていて、更にその服装がしっくりとくるので、便宜上少女とする……は、夜道を一人歩いていた……その少女の事について、知ってか知らずか、とある男がその少女を追っていた。

 そして少女は、人気のない建物に入って行き、男も少女を追って入っていった。そして、少女が最上階に行き、逃げられないような場所と分かると、男は少女の前へ、姿を表した。

「ヘッヘッ……もうお前さんはかごの中の鳥だ……逃がしはしねぇ……ハハッ!」

「………………………………」

「今までに俺がヤった奴は2人、仲良く闇の中だ……ヘヘッ」

「………………………………」

「もうじきお前も三人目として一緒の場所に」

 男の声を遮るかのように、少女は口を開いた

「あら……この血の匂いはあなたから匂っていたの……」

「んぁ?てめぇ、何を言って」

「あなたのような臭い臭い人間がワタクシに触れようとするとは……身の程を知りなさい」

「このアマ……調子に乗りやがって!」

「しっていますか?蜘蛛の糸…………意外と丈夫な代物なのですよ?」

 少女がそう話すのとほぼ同時に、壊されていた窓から入ってきた月の光が少女と男……そして、男の全身に絡まる蜘蛛の糸を照らす

「んなっ!一体どうなってやがる!」

「あなたには地獄に堕ちてもらうわ……さて……おちなさい!」

 少女がそういうや否や、あらかじめ仕込んであったかのように、男とその周辺の床が抜け落ち、男が宙に浮いた。

「なぁっ!?」

「終わりよ……」

 そして少女は、宙に浮いた男の首に蜘蛛のような糸を巻きつけ……

「そう、それが死よ…………確か……ボマー容疑者?それともDDB無期懲役刑受刑者かしら?あるいは容疑者ジャック・アトラス?……まあいいわ、法に変わって擬似絞首刑よ」

 その、人気のない廃ビルの内部は、見れば見るほど、異様な光景だった。蜘蛛の糸で首を締められている男、蜘蛛の糸をセーラー服の袖口から伸ばす少女、月明かりで部屋の中できらめく無数の蜘蛛の糸、全てが異様で構成されていた。

「……さて、ゴミ掃除も終えたことですし……こちらに上がってきたもう一つの目的に移りましょうか……」



 部屋の大怪造悲劇的ビフォーアフターして、更に部屋を元に戻すという無駄な行程をした日の次の日、今日ぐらいはのんびり出来ると思っていたのに

「女子力アッププロジェクト……第二弾開始…………」

 そんなヨグソトースの宣言で、僅かな希望が粉砕玉砕されてしまった……

「…………で、今日は何をするんだ?」

「面白そうな予感がするのじゃ、わらわもやってみよいかのう」

「クティーラ、お前はそんなハンパな気持ちと面白そうだからというノリで参加しようとすんな……僕は遊びでやってんじゃねぇよ!」

「……ニャルラトホテプも……呼ぶ?」

「いや、いい……」

 これ以上SAN値を削られたくない……

「じゃあ……ちょっと遠いから……電車に乗らないと……」


 そうして向かった先は……

「………………一つ聞かせてもらうけどさ…………」

「……何?…………特訓の前に聞きたいことでも…………あったの?」

「ここってさ……アニメ○ト?」

「そう…………ここには……かなりいいウ=ス異本が売ってるらしい……」

「で、誰からの情報だ?」

「知り合いの……邪神から……ちなみに……ニャルラトホテプが昨日仕込んだ本も…………その邪神に借りたらしい……」

 そいつが元凶か……

「で、そいつの名前は?」

「…………プライバシーに配慮して……言えない……でも……あなたの事連絡したら……色々教えてくれた……」

「じゃあ僕のプライバシーにも配慮してくれないか?あとクティーラはどこに行った?」

「着いた直後……走って中に入っていった……店内は走っちゃいけない……」

「僕が言うのもどうかと思うけどさ、じゃあ店の入り口の前で話すのも駄目じゃないか?」

「大丈夫……さっきから来る人は……こっちを見て幸せそうにしてから……店内に特攻していった」

「一体店内で何が始まるんだよ、第三次世界大戦か?」

 あとそんな戦場にクティーラ置いてって大丈夫だったのか?

「更に一部の人は……ここにキマシタワーと俺の墓標を立てようとか……俺、この戦いが終わったらあの2人に告白するんだ……とか、色々言ってた」

「本当に何が始まるんだよ」

「戦争が始まる…………オオカミは半額弁当を奪い合うけど……オタク達は限定品を奪い合う……店内で」

「外でやれ、どっちも店の外でやれ」

 というかなんで半額弁当を奪い合う、怪我したくないから普通に半額になってない弁当を買っては駄目なのか?

「店の中でやるから……面白い」

「面白い面白くない関係なく外でやれ」

「店員さんのtitter情報が正しいのなら……そろそろ始まる……」

「何が……」

「入り口から離れないと……怪我をする」

 本格的に何が起こるんだよ!何度目のツッコミかは分かんないけど外でやれ!


「ウボァァァァァ!」


 限定品を買いに来た(と思われる)オタクが店外に弾き飛ばされた。それが開戦の合図だった


「俺、惨状……」

「どけ!邪魔なんだよ!」

「この中に1人、CuPがいる!」

「なんだって?それは本当なのかい?(ワサワサ)」

「俺は……俺は嫌だぁぁぁ(迫真)」

「たかが百人や二百人、軽く弾き飛ばしてやぁぁぁぁぁぁ!」

「かっ……柿崎ィィィィィ!」

「最高に高めたわらわのパンドラロッドの力で……殲滅じゃ!」

「その貧相な爪楊枝を仕舞……!?ロリ、キター!」

「俺は限定版を颯爽と買っていくことにも頂点に君臨する男だ!」

「わたしに近づく者は……地獄の業火につつまれる!」

「どきなさいカテゴリー2の雑種、カテゴリーAの前よ、ひれ伏しなさい」

「お札の霊圧が……消えた?」

「お前の財布の中身、もらっていいか?」

「俺……限定版買えなかったら、激情態になろうと思うんだ……」

「やめろ!ナンジョルノのキックストライクで爆散するぞ!」

「ナンジョルノの手でやられるなら……俺の本望だ……」

「サムズアップだと……お前……お前がそんな状態で満足したはずがないだろうが!まだとれてないだろうが!おい!目を覚ませ!……目を……覚ましてくれ……」

「いざとなったら……ここに5000円ある……それでオクの即決買ってこい……」

「誰だよ!俺の服のボタンむしり取った奴は!」

「僕だ!」

「ブルーノ!君(はCuP)だったのか!」


「なんだよ……なんなんだよ!あれ!」

天頂開戦ワールドウォー……英語で言うとバトルファイト」

「いや、ワールドウォーは元々英語だったろ、でもってバトルファイトは意味が被ってる」

 更にこの戦いは次の時代の覇権を決めるような戦いじゃなくて、己のエゴのみの戦いだ

「|普通の人には理解できない執念が無いと(アンノウンでないと)……生き延びることは出来ない……」

「天頂開戦といいそれといい、上手く言ったつもりか?確かに意味不明の執念アンノウンだけどさ……」

「もうそろそろ……ただのアンノウンが倒れて……頂点に立った者ゼニスが決まるはず……」

「一体なんなんだよ、オタクの執念って……」

 確かに生き残った奴らは執念の固まりかもしれないけどさ

「見に行こ?店の中に……」

 ……階段までもが死屍累々としてるんだが?……生きてるのか?こいつら


「あら、ちっこいのによくここまで頑張ったと言った所かしら……」

「おぬしこそ……息が上がっておるぞ……」

 戦って生き残ったのは、クティーラと……セーラー服の女性だった。……なにこれ?

 端から見たら色々とおかしい。根本的な所からしておかしい。片方は10歳程の少女でもう片方はおおよそ二十歳の女性……雰囲気が大人なだけで本人はまだ高校生……なのだと思う。見た目まんまの年齢でセーラー服は最早ただの痴女だし。

 でもって、クティーラはその杖をどこから持ってきた?相手の方はセーラー服でアニ○イトに来るな。

「ひょっとして……アトラク=ナクア?……なんであの限定版を……」

 アトラク=ナクア……クトゥルー神話の邪神で、分類上はニャルラトホテプやヨグソトースと同じく外なる神だ。

 原典では、本性は巨大な蜘蛛の姿で、窮極の深淵で橋造りをしていて、その橋造りが終わった時、世界が終わるとか言われていたはずだ。

「久しぶりね、ヨグソトース……あら?その子……陰陽両方持っている?……」

「ニャルラトホテプが入れた謎の粉の影響で……女の子になった……あと、大丈夫かどうか知らないけど……この子……顔はほぼ変わってない……」

「顔が変わってない……ということは、つまり?」

「そう……つまり」

 と、ヨグソトースは少し溜めて


「この子は……俗に言う男の娘」


「…………男の娘か……顔はアレでも普段はついてるわけだから……うん、私的にもアリね…………」

 案の定、変な人なのかもしれない……ある意味予想通りだったので、落胆はしないけど

「まだ決闘デュエルの最中じゃぞ?……もっとも、わらわが買っていっても良いのであれば、そこにいてもよいがの」

「……ワタクシの邪魔をするのであれば、本気を出させていただきましょうか……」

「蜘蛛の糸か……いくら束ねてあろうとも、杖で斬れば良いのじゃ!」

「ならば、更に束ねたらどうかしら……」

「…………ていやぁ!」

「さて、お話の続きをしたいので、買っていきましょうか……丁度限定版が2個あることですし……2個?」

「なに?2個じゃと?さっきは3つあったはずじゃ!」

「お前ら何のために争ってたんだよ!」

3つあるなら1人ひとつずつ買って1個残していけばいいじゃないか?

「いや、こやつが3つ欲しがるいやしんぼじゃったから、1つ奪おうと……」

「アトラク=ナクア!お前大人げなさすぎるだろ!(見た目は)子供に一個ぐらい譲ってあげろよ!」

 子供と限定版をめぐってガチの取り合いをする大人……大人気ないとかそんな領域じゃねぇよ……

「この子……邪神よ、見た目は子供だけど」

「それは分かってるよ」

「…………まあ、1つずつにしましょう?……これ以上の争いは無意味よ」

「そうじゃな……」

 停戦協定を結び、握手をする2人……明らかに両方全力で握りつぶしそうな程に握っているが、そっとしておこう。


「さて、ワタクシのオススメを紹介……したいところだったのだけど……なんでその小娘がいるのかしら?」

「小娘とはなんじゃ!このアラサー邪神めが!」

「あら、ここはちびっ子の来るような場所じゃないのよ?分かったらそこの駅から一駅西に移動した駅の近くにあるゲーセンで最大往生でも遊んできなさい」

「子供に最大往生なんか勧めんな!」

 あの弾幕STGの上級者でも影の方で何百円もとけるような超難度ゲームを子供(あくまでも見た目だけだが)にすすめるなよ!

「別にやるのは良いのじゃが……別に影を倒してしまっても構わんのじゃろう?」

「じゃあやってみさいちびっ子…………シューターノカタキヲトルノデス」

「お前ら、ネタの乱舞すんな」

 ア○メイトでなら許されるとでも思っているのか?

「とりあえず……あなたにワタクシのオススメを買ってきてあげるから、ちょっと待っていてくれるかしら?あ、ちびっ子は帰ってくれるかしら?この先は18歳未満は立ち入り禁止よ」

「じゃあ僕も駄目じゃないか?16歳だし……でもってヨグソトースは見た目がアウトだ」

「あら……立ち入り禁止の場所に行くのはワタクシだけよ?」

「じゃあなんでクティーラを置いていくつもりなんだよ……」

「…………邪魔だから……でしょうかね?」

「理由として最悪だな、オイ」

「……………………だって、オマケがいたら私好みに…………出来ないじゃないですか……」

「ちょっとアトラク=ナクアさん?今不吉な言葉を呟きませんでした?」

 出会った頃のバイアクヘーさんの教育発言が霞むぐらいに不吉な言葉が聞こえてきた気がしたが、気のせいであってほしい。

 うん、多分気のせい……きっと気のせい……



「さて、初心者向けのは……これかしら?あ、これはどうかしら?」

「おい……」

「あら?どうしたの?」

「どうしたもこうしたもねぇよ……何だよ、この本は」

「あら?見て分からないかしら?」

「見て分かるから聞いてんだろうが……」

 あえて言わないでおこうかと思ったが、言わせてもらおう。


「なんだよ!このホモホモしい同人誌の数は!いったいなんのつもりだよ!」


「ホモホモしい同人誌じゃないわ、BLのウ=ス異本よ、あと何のつもりかと聞かれたら、あなたをこちら(腐女子)側に引き込むためよ」

「さてヨグソトース、どっかよりたい所あったら今のうちに言えよな?クティーラ呼んできて帰るから」

 ちなみにクティーラはカードゲーム関連の所で探し物があったらしく、別行動をとっている

「ちょっと待ちなさい、なんで帰ろうとしているのかしら?」

「いや、逃げる以外の選択肢があるか?この状況で」

「だってその普通の男の口調で見た目は女の子よ?ロマンよ?こちら側に引き込む以外の選択肢があるのかしら?」

「いや、あるだろうよ……なあ、ヨグソトース」

「…………なるほど……一理あるような……無いような……」

 ヨグソトースはアトラク=ナクアさんに洗脳されかけていた。

「目を覚ませヨグソトース!そっちは茨の道だ!」

「薔薇だけに茨の道かしら……ふふっ」

「ワザとじゃねぇよ!あと薔薇ってどういう意味だ!無論植物以外の方だ!」

「BLの暗喩よ……もっとも、昔は『ホモォ……』な事の暗喩でもあったらしいけど」

「んな事聞きたくなかった!僕の方から聞いたけど!」

「あら珍しい……あなたにも分かるでしょう?『やらないか?』」

「やらないよ、あと絶対に『アッー!』な道には行かない、絶対にだ」

 大体そういった役目は僕じゃなくて邪神に任せておけばいいのだ。

「あら、この先は18……『すまないが、18歳未満はこないでくれるか?』」

「さりげなくホモホモしいネタ使うなよ!」

「…………残念ながら……くそみそは……NG……」

 元ネタ分かんないけど何故かそんな気がした。元ネタ分かんないけど、たまにこのネタを使うやつがクラスにいるから分かっただけだけど!

「…………好奇心って大事よね、分かるわ」

「なにが!?何に対しての好奇心だよ!あと今の僕には何が『分かるわ』なのか理解できない!」

「…………好奇心から……BLの道に……」

「入らねぇよ!あとヨグソトースはいい加減に目を覚ませ!目が死んでんじゃねぇか!」

「…………はっ……ワタシは正気に……戻った……だから……帰って一緒に……読もう?」

「(正気に戻って)ないじゃん……あと帰ってもその本は読まないからな?あと遠回しに買うこと前提で話してないか?そもそも、誰が買うんだ?」

「ワタクシが買ってあげるわ。つい先日、血の臭いがする人間を縛って役人に差し出して報奨金をもらいましたの」

 何故か良い奴のアトラク=ナクア、僕をそれとなくホモホモしい道に引きずり込もうとしてるけど、本質的には良い奴のようだ。

「まったく、女性を強姦しながら首を絞めるという異常性癖を目覚めさせている暇があったら、男同士の世界にに目覚め」

「確信した、お前はただの腐女子だな」

 少しでもこいつが良い奴だと思った僕がバカだった。まあ、理由が不純だったとはいえ、殺人事件の犯人を突き出したのはグッジョブだが。

「まあ、血の臭いがしたので犯人をおびき寄せて、床に穴をあけて擬似絞首刑にしただけでしたけですけど。蜘蛛の糸で」

「うん、過剰防衛って知ってるか?」

「過剰防衛?それは一体何かしら?どういう本ですか?どこのサークルのウ=ス異本なのです?」

 駄目だこいつ……早くなんとか…………手遅れだな、うん分かった

「……過剰防衛?……それはどういうゲーム?……どのハードで……いつ発売されたの?」

「お前ら完全に手遅れだ!」

 過剰防衛を本とかゲームソフトとかと勘違いしてる時点で駄目だこいつら……

 念のために補足させてもらうが、過剰防衛とは、要は正当防衛の適用される範囲よりも、相手を傷つけすぎた場合に適用される状態。仮に殺人を犯していたとしても、過剰防衛の場合は少し罪が軽くなる場合が多いトカ何トカ。

「で、あと何冊ぐらいオススメがあるんだ?」

 多分読まないけど、読まない可能性高いけど……読まないんじゃないかな?まあ覚悟はしておこう。

「なるほど、やっとこっちに来る覚悟を」

「してねぇよ」

「ワタシと契約して……BL系男の娘に」

「ならねぇよ」

「じゃあ、なんでワタクシを期待させるようなことを聞いたの?」

「いや…………あとどれぐらいしたら解放されるかな?と思ったから」

「解放?何を言っているのかしら?」

「いや、おまえこそ何を」


「蜘蛛は巣にかかった獲物を糸から外して解放するかしら?(訳 あなたが腐女子(腐男子)に(洗脳)なるまで返しません)」


「こいつはくせぇ!こいつからは外道のにおいがプンプンするぜぇ!環境で腐女子になっただと?違うな、コイツは生まれついての腐女子だ!早いとこ地下深くに送り返しちまうか!」

 もうやだこいつ……某車速さんの名台詞(流石に原文マンマだとアレだったので一部改変させていただきました。)で返さざるを得ないほどの酷さだ……

「ジョース○ー郷とス○ードワゴン……ありね(ニッコリ)」

「げぇっ!?」

「腐女子の妄想力は無限大よ?それこそ、仮にケイ君とヨウジ君という名前があるとしてその状態から設定と更にそれを前提とした濡れ場を書く問題だろうと答えを書けるわよ?」

「とりあえずそんな問題が出たら教師を殴るな……あれ?なんか、その確実に教師を殴る問題聞いたことあるような……」

「気のせいよ」

「気のせいか、なら仕方ないな……気のせいじゃねぇよ、どっかで聞いたことあると思ったらアレのかよ」

 そういって、少し方向性が違う(より具体的に言えば、BLではない)、主人公の少年が2人の少女に引っ張られているイラストが表紙の同人誌を指差す。……原作を知っている身からすれば、少年の命が危ないことは確定的に明らかだった。

「あれは多分黙示録側……2‐Bメインよ」

「黙示録でも議事録でもどっちでもいいだろ、つまり僕が言いたかったのは」

「どっちでもよくない……議事録は生徒会がメイン…………黙示録は主要キャラ自体が……メインだから……元々は作中の創作だった……残響エコー

「大体分かったからやめろ、な?」

「ニーサンとか……中」

「だからやめろって!」

「が出てきても良い……自由はそういうもの……」

「やめろ!喋るな!」

「大丈夫……夢の国とか……○原とか……ア○ネスとか……ヒカル先生とか……スク○ニとか……そういった方面に……喧嘩を売ってないから」

「僕はそれ全部に喧嘩売って大丈夫だった作品を知っているんだが?」

 あと細かいことだけど、アグネスに喧嘩売ったのはアニメの方だ。

「まあまあ、BL同人誌どうぞ」

「いらないよ」

「チッ……いい加減にこちらにくる覚悟をしたらどう?少年君」

「いや、僕は絶対に行かないからな?諦めたらどうだ?」

「諦めたら人の心は死んでしまうの……だから手を伸ばすのよ」

「諦めないという言葉は……イラッとするぜ!」

 というか、さり気なくネタ2つ?仕込むな、片方直感的にネタと感じただけだが、1つは確信している。

「とりあえずあとは……これかしら?」

「よし、全部もとの場所に戻してくるか……」

「あった場所……分かる?」

「それはあんまりじゃないかしら、少年君?あとヨグソトースは手伝わないで」

「BLは絶対に読まないからな」

「少年よ、それを読みなさい!」

「断る!……っておい、なんだよ、この蜘蛛の糸は?」

 まるで首を絞めるぞと脅迫しているかのようなまき方だが……

「あらあら、ついかっとなって糸を巻き付けてしまったわね……さあ、解いてほしければワタクシの物になりなさい」

「さらっと脅迫すんなコラ」

「こっちに来なさい、少年。もし断ったらついかっとなって糸をキュッと引っ張ってしまうかもしれないわね……」

「…………………………………………」

 断ったら命の危機、断らなくても危ないことになる…………ここでとるべき選択は

「……………………………………………」

「…………どっちを選ぶの?少年君」

「……………………………………………………」

 『だが断る』と答える(間違いなく締められる。助からない)べきか、若干交渉してからの『だが断る』(間違いなくキュッと締められる。現実は非情である)か迷ったけど、あえて沈黙しよう。BLの道?そんなものはなかった。

「…………時間稼ぎしてあのちびっ子が来るまで粘ろうと考えているのは分かったわ……でも無駄よ、私が手取り足取り胸取り、調教してあげるわ……チクッとするだけよ……痛みは一瞬」

「そこまでじゃ!おぬしの横暴、このわらわが許しはせぬのじゃ!懺悔の用意は済ませたか?アトラク=ナチャよ!」

「ごめん……待った?」

 何故か本気でキレているクティーラと待ち合わせギリギリの時間に着いたような軽いノリで聞いてくるヨグソトース

「……2対1は卑怯じゃないかしら?」

「僕を人質にとってるお前が言うな、お前だけは言うな」

「ちょっとの怪我は覚悟するのじゃぞ?」

ブゥンッ

「いや、一応こいつの顔に怪我させるようなマネはやめろよ……ってな……なんじゃごりゃぁ!」

 クティーラが容赦なく杖を投げて、カスったどころじゃない怪我をした。腕から結構血が出てるんだけど、大丈夫なのか?これ……そんなに痛くないから大丈夫の気がするけど

 ちなみに投げた杖はアトラク=ナクアが普通にキャッチしたんだが……結果は僕が怪我しただけじゃないか?

「普通に外れたけど………………あれ……クティーラは?」

 杖に気を取られていて、クティーラを見失った。……つまり、杖は囮だったというわけか。

「ちびめ……小癪な真似を……」

「2手……遅れたようじゃな……」

「小娘!一体どこに」

「後ろじゃ……もっとも、確認に動けば攻撃を加えるがのう」

 クティーラが投げた杖に気を取られて、クティーラを見失った時点で、アトラク=ナクアは詰んでいたようだ。

「っ…………降参よ……その少年君は実に魅力的だけど、命がけで盗るほどではないわ……」

「ならば良いのじゃ……よし、ヨグソトース殿、アバンス、帰るぞ」

「あ……ああ」

「……ついカッとなって眷属を奪おうとした私からの忠告……その子、邪神受けするステータスよ……血脈といい、顔付きといい、あなたを殺してでも奪い取って眷属にしたいくらいのね」

「……血脈?一体どういうことだ?」

「…………今は知らなくても良い事よ。今後も邪神とかかわるのなら、そのうち知ることになると思うわ……」

 そのうち知ることになる……か……

「…………帰るか。お前らが来た目的は終わったんだろ?」

 ……それを知るときまでは深く考えなくても良いかな?

「……待って……帰りによりたい場所が……ある…………」

「どこによるのじゃ?別にわらわも行く場所がないからよるのは構わんのじゃが」

「呉巣多駅の近くのゲームセンターに……新しいゲームが入荷されたらしいから……それをやりたい……」

「ゲーセンな、分かった」


「…………深淵……と人……の混血の子孫……面白いわね、あの子…………もっとも、私が手を出したらあの小娘と親のクトゥルー……しいてはクトゥルーの眷属までをも敵に回すことになるから、リスクに見合わないけど…………あーあ、折角転売用と保存用とアニメイト限定版で3冊買おうと思ったのに、邪魔されるなんて付いてないわね……」

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