22 . サイレント
「よし、行こう」
「うん。リタしっかりね、頼むよ」
「わかってる」
そうは言ってもな~。なんかすごい不安なんだよな。
想定外のことが起きることはもうわかってる。無事に着くことだけを願おう。
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リタの焦った声と荒れた海に振り回されることおよそ3日。やっとサイレント村へ到着した。
「つかれた」
「着いたー!」
何でそんなに元気なの?すごいな。
僕はなんだか気持ち悪いよ。本当につかれた。死ぬかと思った。
「ん?あ、」
「ん?」
「いや…あれ」
僕の目線の先に写ったのは、リタが言っていた紫の瞳をした人たち。
「あーそうそう。あの人たちが私が言ってた紫色の人」
「紫色の人……ね。やっぱり目を奪われるね...。なんかちょっと怖い。それに...」
「それに?」
「いやなんでもない」
それに.....なぜか親近感を感じる。何だろうこの感じ。
「キット、行くよ」
「ああ、うん」
リタの後をつき、歩くこと数分。
「あ、見えてきた。私の家」
なんか緊張してきた。
「え?」
「はやく」
リタが僕に先に行くよう首で指示を出す。
いや、リタの家なんだから先に行くのはリタじゃないか?
コンコンコン
「ごめんください」
「あら、かっこいい子ね。リタも。いらっしゃい。それと、おかえり。やっぱり来たのね」
「こ、こんにちは」
「キットくんよね?話は聞いてるわよ」
「初めまして」
「ごめんね~。無理言われたんでしょ~リタに」
「え?あぁいや…」
「ちょっと。否定してよ」
「え、あ、ごめん」
否定もなにも間違ってないからね。本当にその通りすぎるから!無理言われました。
「ふふ」
「..?何か?」
「何でもないわ。ごめんね~ほんとに」
「ぜ、ぜんぜん」
「座ってて~飲み物用意するわ〜」
ここがリタが育った家か。なんか新鮮だ。
「お待たせ〜」
「あ、ありがとうございます」
「今日は何か要件が?ってのは冗談で〜、手紙読んでくれたんでしょ〜?だから帰ってきてくれたのよね〜?」
「そう。お母さんたちのこと気になって」
「あ、あの、この村がどんなところなのか教えてもらえませんか?リタに聞いてもよくわからなくて」
「ちょっと何それ!」
「ふふ。わかるわ〜。そうねえ~この村は…」
リタの母親、アイナ・スマルトさんが教えてくれた内容はこうだった。
リタが言っていた通り、紫色の瞳を持つ人々がいること。
そして必要な時以外、外に出る人は少ないこと。
生活に困らない程度のものが揃えられること。
活気はないが安心して暮らすことができること。
リタは両親が王国へ出向いていると言っていたが、王国には馬車を使えば1日もかからずに行けること。
村の護衛は王国騎士団が担ってくれていること。
それが何より安心だと言っていた。
それと、手紙に書いた通り最近の村に異変を感じていることだった。
「昔はね〜賑わいがあったのよ〜だいぶ変わっちゃったわ」
「王国に出向くって言ってましたけど、いいところですか?」
「そうね〜。うーん。いい噂もあれば、悪い噂もあるって感じかしらね」
「そうなんですね」
「えっと…魔法学校?あそこはいい話は聞かないわね。たしか......魔力を持つ人は強制入学で自由な時間は与えられないって聞いたわ。
騎士団試験に受かって学校へって聞いたけど、学校を卒業してからってこともあるみたいね。だけどその場合、落ちたら魔法が使えなくなるって。
でもよく考えたら、騎士団はものすごく強いってことじゃない?それは安心よ〜」
リタに聞いた話、そして僕が知っていた内容とあまり変わらないな。
「ところでお父さんは?」
「今日は1人で王国に行ってるわよ」
「ふーん」
「あ、それと気になったことが……。その…監視されてるんですか?」
「えぇ。村の異変にすぐに気付けるようにって話だけどいい気分はしないわね〜。それにこの村が変わったのは王国の権力者?が変わってからなのよ〜」
「そうなんですね……権力者か。あ!そうだ。リタの話も聞かせてもらえませんか?どんな子供だったのかとか。気になるんですよ!」
「それキットが知る必要ないよね?知って何か変わる?」
「いいだろ?気になるんだ」
「いいわよ〜教えてあげるわ〜」
「ちょっと!やめてよ!」




