798/830
石じじいの話・花の幽霊船
石じじいの話です。
幽霊船についての話をもう少し。
日本の話ですが、どの地方のものなのか不明です。
じじいが聞いたところによると:
たまに、沖合に、花をたくさん積んだ船が出没するそうです。
船には女たちが乗っていて、彼女たちは、杓で水を花にかけています。*1
杓でかけているのが海水なら、花は枯れてしまうではないか?
そんなことを心配して見ていると、その花船は、漁船の脇を通り過ぎていってしまいます。
そのとき、芳しい花の匂いをのこしていくのだそうです。
その船は、帆柱はあるのですが、帆をはっていませんでした。
動力はないはずなのに、船は進むのです。
乗っている女たちは、だれも船を漕いでいないのですが。
この船は、昼間でも出現するのですが、おそらく、幽霊船だろうということでした。
*1 杓で海水を汲み入れて遭遇した船を沈めてしまうという、船幽霊に似ています。




