第43話 加入
43話です。 よかったら見てやってください。
「あ!起きました!リリアさーん。ディードさんが起きましたよー。」
ディードが意識を取り戻し薄っすらと目を開けると、レミィの元気な声が聞こえてきた。
(天国で合流したとかは無いよな・・・・ん?なんだこの感触は?)
不思議な感触に包まれながら次第に覚醒してゆくディードだったが、その感触がよくわからず目を開けていく。ぷにぷにとした感触、その感触の正体はレミィの膝枕であった。
(前にもこんな事あった様な・・・・?)
ディードはまだ完全に覚醒しておらず、思考が鈍くボーっとしていた。
「レミィ・・・ちゃん?。無事だったんだね。そうか、俺は・・・・むぐっぅ。」
ディードはレミィの無事に安堵し、その前後の記憶を思い出そうとしていた。しかしその矢先、横向きで膝枕をされていたディードはレミィに膝を上げられ、包み込むように優しく抱きかかえられたのだ。
「ディードさん。私の為にここまでしてくれてありがとうございます。リリアさんから話を聞かせて貰いました。今は感謝の言葉しか出ません。ありがとうございます。」
彼女はディードに抱きつき、静かに涙を流していた。
だがディードはそれ所では無かった。
彼は地味に窒息させられていた。レミィは抱き寄せ感謝の言葉を口にしている。それはよい。
だがディードは抱きかかえられ彼女を小さな双丘に口を封じられているのだ。しかも直で・・・
(!?!?!?、肌白い!いや違う。直、なんで直に胸当ててるの?この子?ちょっ!苦しい・・・)
ディードは彼女の拘束を振り払おうとしたが、仰向けで持ち上げられうまく力が入らない上に、彼女の力が強く解けず、もがくが彼女は気づいていない。
口を封じている小さな胸はディードを優しく、違う世界へ旅立たせようとしていた。
やがてもがき苦しみ、何とか拘束を振りほどこうとする彼にレミィは少し疑問に思った。
「?どうしたんですか?ディードさん?。」
「レミィちゃん、それ口封じてない?。」
リリアの声に反応しディードを見つめなおしてみる。
(仰向けの状態で、膝を上げて抱きしめている。あれ?さっきから胸にディードさんの顔が・・・?)
レミィはフォールに魔剣で正面から斬りつけられたことを思い出していた。その隙間にディードが入ってしまい直に胸を押し付けていた事がわかった。
「きゃーー!ごごごごめんなさい!見ないで~。」
突如抱擁(拘束)を解除し、ぺたん座りレミィ。ディードはレミィの手で地面に横顔を押し当てられている。 だが彼の視線のその先には、白い布地と彼女の太ももが垣間見えた。
(い・・・!これは・・・・マズイ色々とマズイ!綺麗な足に太ももそれに・・パ・・・ぐっへぇ)
「キャー!そっちも見ちゃダメー!」
自分の恥部をさらに見せつけるようにしてしまったレミィは、さらにパニックになりパンツを隠そうとする。だが彼女は勢い余って自分ではなく、ディードの側頭部を思いっきり両手で掌底をする形になってしまった。
目覚めたばかりのディードは、窒息と掌底によるコンボを喰らい再び夢の中へ旅立った・・・。
数分後、再び目が覚めると近くで謝り倒すレミィと、呆れた顔のリリアがディードの視界に入ってきた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。」
「いや大したことはないから、以前にも助けた子に殴られた事あったし・・・。」
ディードはリリアを見つめながらレミィに伝える。リリアはバツが悪そうに視線をそらし誤魔化そうとしていた。
「それにしても凄い力だね、流石獣人ってとこかな。これならポーターだけじゃなく冒険者としてもやっていけるよ。」
ディードは獣人の力に素直に驚いていた。不意打ちとは言えディードの意識を刈り取るだけの力を持つ事に驚きを隠せないでいた。だが、レミィはそれを真っ向から否定する。
「いえ、この力は以前の私にはありません。私が持ち上げられたのが荷物一杯に詰まったあのバッグが精一杯です。」レミィは自分の背負っていたバックを指差した。
「目が覚めたら何故か力の制御がうまく出来なくなっていて・・・それで、あ・・あんな事になってすみません。」レミィは顔を赤らめ恥ずかしそうにディードに伝えた。
(目覚めたら・・・そんな力が湧いてくるとか、そんな事が・・・・あ・・・)
ディードは心当たりが1つあった。
(コアを破壊した時に願いが叶い、力になるって言われたっけ・・・それで俺はアレを破壊する時に願っていたのか・・・でも俺何を願ってたっけ?確か強く器用にとか・・・うーんレミィちゃんに直接何かをとは願ってないはずなんだけど・・・)
首を捻り頭を悩ませるディード。
「ねぇリリア。俺がコアを破壊した時に、もしかして俺身体が光っていた?。」
「ええ、私の時と同じく何か力を得たんじゃないかしら?。」
「でもレミィちゃんは破壊してもないし、なんでだ?。」
「私に言われてもねぇ・・・。」
それもそうかと思い、ディードは自分自身を確認する。
(あの戦いで魔力を空にしたはずなのに、そこそこ回復しているのは願いの効果なのかな?俺自身は変調したりはしていないけど・・・・レミィちゃんは変化が大きいと・・・多分彼女は元に戻ったらかなりの戦力なるかもしれないな。)
「あの・・いいですか?」レミィは恐る恐る2人に問いかけた。
「なんで私にここまでしてくれるでしょうか?私にはそこまでの価値は無いと思います。」
2人は顔を見合わせ頷き、レミィの元へ歩み寄った。
「そんな事ないよ。この数日君と一緒にいて楽しかったし、これからも一緒に居たいと思ったんだ。今日は散々な目に遭ったと思うけどこれからはさせないつもりだ。」
ディードは彼女に優しく問いかける。
「そうよレミィちゃん。私だって貴方と一緒に居たいと思ったんだもん。そんな子がピンチになってるんだもん助けに来ないわけないじゃない。」
リリアは笑顔で彼女の頬を撫でだ。
「で、でも私はまだ罰則金払い終わってないし、こんな耳だから役に立てないです。足を引っ張っちゃいます。・・・・でも。」
レミィは何か言いたげだった口を閉ざしてしまう。彼女の中では色々と葛藤しているようだった。
この街に流れ着いてからは、ディード達と出会うまで酷い目に遭い、今日に至っては生贄にされ命を落とす所だったのだ。だがディード達と共に過ごした数日間が彼女にとって心地よい物でありそれを手放したくなかったのだ。そして彼女は決心する。
「でも、もし私をパーティーに入れてくれるなら何でもします。お願いします。荷物持ちに炊事に洗濯、そ、それに・・・夜伽でも何でもしますか一緒に居させてください!。」
2人はとても聞き捨てならないワードを聞いてしまっていた。顔に手を充て考えるディード、顔を真っ赤にしてディードを凝視するリリア。
「レミィちゃん、そこまでしなくてもいいから俺達と一緒に旅をしてくれないかな?」
「そこまでって?荷物持ちや炊事とかはしないで、夜伽だけですか?私そっちは自信ありませんが・・・・が、がんばります!。」
レミィは恥ずかしながらもディードに問いかける。そしてそれを聞いた彼はさらに頭を悩ませるのだ。
そしてディードはリリアの方を見る、彼女はまだ顔を真っ赤にして動きそうにも無い。
「いや、それは大丈夫だから・・・取りあえず夜伽とか花を売ってこいとか絶対に無いから安心して。僕達の目的は旅がメインなんだ。色々回るけど一緒に旅をして色んな物を見たり食べたりしたい。一緒に付いてきてくれるかい?。」
ディードは優しく問いかけレミィの反応を待つ、彼女は堪えきれなかった涙をこぼし何度も確認をした。
「本当に私でいいですか?。」
「もちろん。」
「私は邪魔な兎になりませんか?」
「ならないよ。」
「知らない事だらけの私でもいいんですか?。」
「それはこちらも同じ。」
「もう酷い事されまんせんか?。」
「させないよ。」
「もう、もう・・・・私は独りぼっちじゃなくていいんですか?。」
「うん。」
少女は声をあげ、周囲を気にする事なく、ただ、ただ泣いていた。
その涙は彼女の心にあった暗い、孤独を絶望を洗い流し、新たなる希望を生み出す様に見えた。
リリアは泣いている彼女をそっと抱きしめ彼女もまた静かに泣いていた。
こうしてレミィの孤独な旅は終わりを告げ、ディード達と共に旅をする事になった。
区切りの都合上会話回になってしましました。
次話は今週中には・・・・
最後まで見てくださってありがとうございます。