↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
兎と盾
44/221

第42話 光の矢

42話です。 よかったら見てやってください。

 

 オークを倒した2人はすぐさま次の行動を取る。リリアはレミィの周囲に居たゴブリン達を剣で横一線薙ぎ払い、ディードはすぐさま振り向き、両手を突き出し風の魔法を放った。

【風圧】(ウィンドブロー)!。」  詠唱も無しに放たれた呪文は精度も悪く狙いが集中しない。

 だが一方向に強く流れ込まれる風は他の魔物達を怯ませ、転ばせ奥に送り込むことに成功する。


「ディー!。レミィちゃんを!」

「分かってる!」


 リリアがレミィに群がるゴブリン達を一掃し周囲を確認、安全を確保した後にディートと場所を入れ替わる。

 吹き飛ばした魔物達をリリアは【チャージ】を駆使し一気に押し込む。 

 本当だったらリリアもその場に居たいはずなのに、今自分が出来る事を最優先に考え行動を示した。ディードもまた同じ考えで行動をする。

 打ち合わせた訳ではないのにお互いの長所を認め合い行動をした、初の連携であった。


 ディードはレミィに駆け寄り彼女の怪我の状況を確認する。


(息はある!・・良かった。見た限り大きな怪我は側頭部の傷、それと所々の傷。だけど・・・・この数々の切り傷は魔物による傷じゃない・・・・!)

 彼女の身に何があったのかは今はわからない。しかしディードは彼女を【大回復(ハイヒール)】で癒し続けた。


(今は彼女の怪我を回復することが最優先だ・・・次にリリアの体力も回復させてやらないと。ここから3()()()()()すためには色々温存しないといけない。脱出したら必ず治すから、だから()()を治すのはもう少し我慢してくれ。)



 ディードは彼女に魔法をかけながら()()を見つめ心の中で呟いていた。彼女が常日頃、片耳を帽子で隠しながら健気に頑張って案内を務めている姿を思い出していた。 

隠している素振りから、きっと色々な事があったのだろうとディードは思っていた。


 レミィへの回復魔法をかけ終わったディードは、彼女の弱々しかった呼吸が正常に戻ったのを確認し安堵する。それとほぼ同時に怒りが込み上げていた。


 ディードはレミィの安全を確認しリリアの元に向かう。リリアは1回目の【チャージ】を使い息が上がっているが常に魔物に目を向け距離を取りつつ戦っていた。


『火よ火よ、我に集いて敵を討て。【火球】(ファイヤーボール)。』

 リリアの援護に向かうべくディードは呪文を唱え火球を放った。放たれた魔法は正面の魔物に直撃し周囲を少しだけ巻き込み炎を上げていた。それを見たリリアは転身しディートの右隣に移動する。

 彼女は右手に剣を持ち左手でディードに【魔力譲渡】(マナトランスファー)を行っていた。


「レミィちゃんは?。」 彼女は呼吸を乱しつつもレミィを心配しディードに問いかけていた。

「大丈夫だ。今【大回復】をかけた。直に意識も戻ると思う。意識が戻ったら3人で脱出する。それまでは持ちこたえるか、全滅させる!」


「やけにやる気じゃない?レミィちゃんの身に何かあったの?。」

 リリアは魔物を睨みつつディードに問いかける。


「ああ、レミィは頭に傷を受けていた。それは多分ゴブリンによるものだったと思う。だけどそれ以外は切り傷と打撲が所々にあった。打撲はここに落ちた時のだとしても、切り傷は魔物によるものじゃない。

 刃物で切られた跡だった。」


 ディードはリリアから【魔力譲渡】を受けつつ、お返しと言わんばかりに【大回復】をかける。

 回復を受けリリアから乱れていた呼吸が整い、頭の中で整理をしていた。


「つまりレミィちゃんは魔物による攻撃もあったけど、他に人から攻撃を受けていたって事?。」

「ああ、おそらく・・・傷をつける事で無理矢理従わせていたんじゃないかな?だとしても犯人が誰だがわからないし、この怒りをぶつける相手が目の前にいるからね。」

「へぇ・・・いいじゃない。私も参加させてもらうわ。」


 ディードの話を聞きリリアも怒りを露わにする。八つ当たりに近いものもあるかも知れないが、2人がレミィを助けに来なければきっと彼女は酷い目に遭わされこの世を去った事だろう。


「やるぞ!リリア。」

「うん!。」

 2人は魔物を撃破しに行く。だが・・・突如現れた黒い大きな影に危険を感じ後ろに大きく飛びのいた。


「何アレ?さっきまであんなの居なかったわよ?。」

「突如現れた感じだな。魔物に召喚魔法使える奴がいたのか?。」

「見た限りはいなかったわ。私達3人で潜った階層の敵だらけだったし。今出てきたのは多分10階のボスじゃない?。って!ディー!!左奥の壁の隅見て!アレがある!。」


 リリアは突如出現したボスより奥の見えた物の方を驚いた。促され見たディードも驚愕する。

 それはドルガ達と一緒に破壊したダンジョンコアと同じ物だった。




「ダンジョンコア!なんでここにあるんだ・・・・?意味が・・・・うわっ!。」

 よく見ようとしたディードだったが、飛んできた液体を避ける為にリリアと左右に分かれる。

 恐らく【兵士蟻(ソルジャーアント)】の()酸だったのだろう。地面に落ちた蟻酸は微かに周囲を溶かしていた。


 それだけでは終わらなかった。突如地響きがなり、落とし穴の部分が修復されていく。それと同時に先程クラックが逃げて行った出口の壁も消えようとしていた。


 2人が急げば出口に間に合う速度だったが、2人には出口に向かう事は出来なかった。何故ならばレミィを置き去りにすることになってしまう。それだけは絶対に出来ない2人だった。


「逃がさない・・・・って訳か・・・。」

 ディードは苦々しく呟く、リリアも同じ意見らしく頷く。

「マズイわね。奥のコアを破壊しないと出してくれなさそうよ。それにそのコアの前に出てる奴、多分【女王蟻(クイーンアント)】じゃない?さっきから【兵士蟻】が減らないもの・・・。」

 突如現れた黒い影の正体は10階のボス【女王蟻】だった。女王蟻は他の兵士蟻より2回りほど大きく、大きな()()()からは兵士蟻がどんどん生み出されていく。



「消耗戦って訳か、あっちはコアと女王蟻で魔物を出し続け俺達を疲弊させ潰す予定か。叩くなら一気に行くしかないのか・・・・。」

 ディードの予想通りコアはこの10階までの魔物を召喚していき、女王蟻は兵士蟻を生み出していく。

 このまま放置すればたいした時間もかからずに魔物で埋め尽くされるであろう。

 ディード達は先に魔物達に消耗戦を仕掛けられ、それに対応するかしか無かったのだ。



 ――――――

 どれ程の時間がたったのだろう。ディートとリリアは戦い続けていた。息も上がっており、このまま押し切られるのも時間の問題に迫っていた。 ダンジョンコアの命令なのだろうか、時折魔物達は2人を襲わずに敢えてレミィを狙い行く。やらせない、とどちらかがフォローに入るがどちらにも負担がかかる様に仕向けられる。


「ハァ・・・ハァ・・・もう・・・いい加減諦めてくれないかしら・・・・。」

「そりゃ・・・ハァ・・・あっちも・・・ハァ・・・同じ気分だと思うよ。」

 ずっと戦い続ける2人はかなり息が上がっていた。途中傷つけられても回復に専念できず、アイテムボックスから回復薬と毒消しを取り出すぐらいだ。


 埒が明かない・・・このままでは負ける・・・2人の体力も魔力も底が見えてきている。


「リリア。下がれ。」 

 ディードは力を振り絞り、【火球】を敵陣に投げ込む。その隙にリリアと2人でレミィの居る場所まで後退する。


「どうしたの?こんなに下がるとレミィちゃんが危ないわ。」

 リリアは未だに意識が戻らないレミィを心配しつつも魔物達に目を向けていた。



 ディードは深く呼吸をし、決心をしていた。

 それはこれから行う事に憂い、杞憂、希望、心配など複雑な感情が入り混じっているからだ。

 そしてディードはアイテムボックスの中に回復薬を全て目の前に置いた。


「リリア、よく聞いてくれ。今から少しの時間、合図するまで時間を稼いで欲しい。大きな魔法を放つ。それでもアイツらが生きていたら、何としてでも2人で逃げくれ。さっきの出口辺りに【チャージ】で壁を斬れば抜けられるかも知れない。


「自爆するつもりなの?そんな事させないわよ。」

「そんなつもりは無いさ。ただこの魔法を使うとしばらく動けなくなるだけだ。【チャージ】使った後に動けない2人も運ぶ事は出来ないだろ?だからその時は頼む。」

「そんな!他に方法は無いの?。」

「あったらもうやってるって。皆でここ出られたら、また甘いお菓子作ってあげるから。」


 リリアは何か口に出そうとしたが、言葉が出ずに閉ざしてしまう。やがて魔物の群れが再び迫ろうとした時に彼女も決断する。

「絶対に成功しなさい!、じゃないと死んでも許さないからね!。」


 リリアは時間稼ぎの為に魔物の群れに飛び出して行った。 飛び出すと同時に【チャージ】を放ち一人で魔物の群れと立ち向かう。伸びた魔力の剣は魔物を簡単に斬りさき、蹴散らしていく。


(おー怖い怖い。 さてこの技を使うのは久しぶりだけど、どーなるのかな?)

 ディードはリリアの数歩後ろに位置し、目を閉じ魔力を練っていた。


(あの時よりは成長しちゃんと撃てるはず。もし撃てなかったらアイツらに文句言ってやる。)

 ディードは意を決し、魔力を込めながら弓を射る姿に形を作った。

 魔力は全身を流れ、右手と左手を往復する。往復する度に魔力はどんどん大きくなりやがてディードの姿が見えなくなるほどだ。


(何この魔力!もしかしてディードの魔法なの?もうそんなに残ってるとは思えない。一体どうやって?)

 背後に感じる巨大な魔力に驚愕するリリア。しかし魔物達もそれは同じらしく、彼に魔法を撃たせまいとリリアの包囲を突破しようとしていた。

「行かせないわよ!。」

 リリアと魔物達に互いの生存をかけた攻防が行われる中、ディードの魔法は完成しつつあった。


 奥に潜む女王蟻は、危険を感じダンジョンコアの盾になるべく前に立ち塞がり、周囲の兵士蟻はディードに向けて蟻酸と毒を一斉に放射していた。さすがのリリアも全てを捌ききれるわけでもなく、ディードに少しかかってしまう。


 しかし彼はそんな事はお構いなしに魔法を完成させていた。そして彼の口から彼女に向けて合図は放たれた。

「リリア!今だ後ろに飛べ―!!。」叫ばれると同時にリリアは後方へと飛びのいた。





 そしてディードの切り札の魔法が解き放たれる。


『アイリスの光の矢』(アイリスグローアロー)


 放たれた1本の光の矢は、周囲を光で全て飲み込み轟音を上げた。そしてそれらは魔物を全て飲み込み、ダンジョンコアを破壊しさらには壁を大きく貫いていた。

「凄い・・・・ディーはこんな力を隠し持っていたのね。」

 リリアは唖然としながら呟く。



 ディードは後ろに2歩3歩と後退し倒れようとしていた。彼は薄れゆく意識の中で考え事をしていた。


(俺がもっと強かったら2人を危険な目に遭わせかったかもな・。・・・()()()()()()()()ならないとな・・・皆を()()()()()・・・()()()・・・ちゃ・・・ん・・・・リ・・リア・・・。)


 彼はそう願いつつ倒れてた。

 彼が意識を手放す寸前に聞こえた声は、リリアの悲痛な叫び声だった。


最後まで読んでくださってありがとうございます。


良かった続き早よ書けと思った方は、ブックマーク、評価などして頂けると幸いです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。