第3話 16年後
3話目です。 少し改行など修正してみました。
16年後
福々山 高樹は16歳になり、こちらの世界では成人になっていた。
成人といっても、何かしらの儀式があるわけでもなく、出来る事と言えば、酒が飲め、婚姻が出来る程度のものだ。とわいえ、この世界では死が常に隣合わせの状態で、今日明日モンスターなどに襲われ、死んでもおかしくない世界だ。
故に、個々で祝い、祝福するのが習慣となっている。 彼には2度目の成人である。
彼は、こちらの世界での両親から【ディード】という名を与えられ、愛されていた。
ディードは背丈が170cm 黒髪に金色の目、端整な顔立ちで、元の世界でとは比べ物にならない容姿となっていた。
ディードの生まれた村はエルフが主流の村で、住民は約50人程で、自然になるべく寄り添う形な暮らしをしている。森の恵みを分けてもらい、田畑などで作物を育て、結界の外に出ては狩りをし、ほぼ自給自足の生活を送っている。
彼等の村は中央に大樹があり、中央を結界の要とし、半径1キロ圏内を普通の人間や魔物を入り込ませない結界を張っている。
この大樹には、≪幻獣神≫が宿っており、大樹を崇め、守るのがこの村の役目であるらしい。
あの狼≪幻獣神≫を・・・・そう、ここは彼ファグが作った村なのだ。名はミリア村という。
何故、≪幻獣神≫かと言うと、異世界に転生してからまだ間もない頃、突如2人はディード夢の中に現れ、さらに自分達のいいようにディードの夢の中に住処を作り、生活をしていた。
ディードが寝ると夢の中に呼び出され、遊び相手にされていたのだ。
しかも、ディードの記憶の中からこちらの世界にはない娯楽に嵌り、道具を魔法で具現化し遊び倒していたのだ。
最初の頃は、ディードも付き合っていたのだが、彼等の奔放ぶりに頭を悩ませていた時期もあった。
どうやら悪戯で彼等の事を親と呼んだのが、彼等にとって琴線に触れたらしい。
曰く、親なのだから子供の様子を見守るのが親の務めだとか・・・・2人でババ抜きをしながら真剣に語られた。
毎晩のように住処に呼び出され、高速で一人神経衰弱をするファグに突っ込みをいれ、魔力を込め、数時間回り弾きあう空中戦の独楽を楽しむアイリス。 そちらに突っ込みを入れれば、今度はファグが高速で7並べを一人でやりだす。 遊び方を1つづつ教えているが碌に覚えず、次から次へと遊び始める。
まだこの程度では怒らなかったのだが、彼にも限界はあった。
それは、彼の思い出をTVを見るように見始めた事だ。2人の前に1メートル四方の宙に浮び、その中に映し出される映像、それは彼が前世で20歳前後の姿が映し出された。その頃の彼は、青年時によくある行動、仕事、遊びなどの日常だった。さすがに前世の日常などを見られるのには抵抗があった。
それもそうだろう、仕事だけならまだしも、男同士でのバカ騒ぎや当時の彼女との恋愛など他人には見られたくない思い出まで赤裸々に放映されかけていたのだ。
さすがにディードもこれには切れ「いい加減にしろおめえらぁぁぁ!!」 などと怒号が木霊した。
さすがに2人は悪乗りが過ぎたと悟り謝罪。以降は日常風景などの行動記録は閲覧禁止になった。
その後、アイリスの懇願で過去にみたTV番組の閲覧だけは許可したのがだ、映像に突っ込みを入れる不可思議な現象がたまに見られる情景が出来上がってしまった。
ディードがこの世界に来て8歳前後からは、≪住処≫で2人に魔法や体術などをおそわっていた。主に魔法はファグ、体術はアイリスに教わっていた。夢の中で教わった事を、起きては実践しを繰り返し、夢の中で新たな指導が入る。やがて12歳になる頃には一通りの魔法と体術が扱えるようになっていた。そして最後に2人から必殺技ともいえる技を伝授されたのだが、一つは消費が大きすぎて使えなく、もう一つは、ほぼ自爆技に近い魔法だった。 どうやらこの2人は、加減がわからないのか、どっちかが使えば、どっちかがフォローすればいいという素敵な精神だった。使い方が限定されるんですけどね。
1度だけアイリスから教わった必殺技を使える機会があった。その結果、地下に20メートルの横穴の道が出来、使ったあとは数日身体がまともに動かせなかった。目を覚ました後は、実の両親から質問攻めと叱責を喰らい、夢の中では、身体的にまだ使える状態じゃなかったと後付け説明された。
そんな状態でディードは数年間、肉体的、遺伝子的な両親、魂、精神体な両親と持ついうヘンテコな生活を過ごす。
そして昨日、久しぶりに≪住処≫に呼び出された。
ファグの話では結界の外の魔物の数が妙に多くなってるから見てきてほしいとのことだった。
翌日、ディードは一緒に村に住むドワーフの鍛冶の師匠であるドルガと共に、素材採取の名のもとに許可を貰い結界の外へと向かうのだった。
読んでくださってありがとうございます。