第4話 遭遇
4話です。 戦闘描写、残酷表現あり。
ミリア村の東北にて
「なぁディー、ここら辺の結界の外側に魔物が数が増えてるってのは本当なのか?」
肩に大きなハンマーを持ち訪ねてくるのは、ディードの鍛冶の師匠、ドワーフ族のドルガだ。
ドルガはディードが家族以外で信頼できる数少ない友人であり、色々と世話になっている。
背丈はディードより低くガッチリとした体格、赤髪で顎鬚を生やしている。主に鍛冶での武具、装飾にかけてはかなりの手腕もも持つ人物だ。今回結界の外に素材を取りに行くという名目で同行してもらっている。
「一応そうらしい、ファグが言うには、増えてるというより、集まってるいるの方らしいけどな。」
「そら一応は確認しておかないとな、意味もなく言う御方じゃないだろ? アイリス様の伴侶なんだし。」
あの2人に事に関しては唯一ドルガに話してある。何故かと言うと、地下に20メートルの横穴を作る事になった時の当事者がドルガなのだ。
当時、地下で一人攻防を続けていたドルガに無謀にも加勢しに向かう。地上へと出る道に誘い出し必殺技を放ったのだった。必殺技を放った直後、この技は内密にと頼み、意識を失う、ドルガによって家にと運ばれたが、ドルガがあの技を誰かに話すことはなかった。回復後には色々話すうちに打ち解け、今では良き友人となっている。
ちなみに、ドワーフ族は≪戦乙女≫だったアイリスの事を崇拝していたようだ。
≪戦乙女≫であったアイリスは、他の≪戦乙女≫と違い、他の種族達と力を合わせ邪龍を討ち果たしたといわれている。ファグもその仲間の一人である。
ドワーフ族の武器を携え勝利し、その後ドワーフ族に栄誉とさらなる発展を願ったと言い伝えられている。 故に、アイリスを神聖視し、崇めているのでる。
役目を果たし、肉体を捨て天に帰ったと伝承されていたのだが、ディードが放った光の魔法がアイリスから伝授された魔法だったのがバレた。まぁ、その必殺技の名前が【アイリス光の矢】という、誤魔化しようがない名前だった。
「そろそろ結界の外側だから油断するなよ。ディー。」
「分かってるよ師匠。武器は剣でいい?」
「いや、先制できるなら鞭でいいぞ、そっちのが得意だろ?近寄ってきたら剣に切り替えろ。」
「了解っと。」
ディードは、剣を腰に挿し目の前に出来た黒い渦【アイテムボックス】から鞭を取り出す。これはディードのお手製武器で先端にナイフ程の刃物が付いており、その根元には特殊な装飾と魔石が埋め込まれいて、長さは3メートル前後手元にも同じ装飾と魔石が埋め込まれている鞭だ。
この武器の名は【木精の鞭】という。伸縮性があり、ある程度の軌道変化も可能とする武器だ。
剣の方は、ドルガと一緒に作った初めての剣で、長さ1メートル程のアイアンソードだ。
ディードは準備を整え、ドルガの方に視線を向ける、ドルガは村から出た状態のままハンマーと皮鎧のみだ。
「相変わらず便利だのう、ソレ【アイテムボックス】は、安心して薬や食料を預けられるわ。」
「まぁね、それじゃ外に行こうか。」 (食料や食材は少しづつ減っていくのは今は黙っておこう)
ドルガは軽く頷く、2人は手元からだしていた木の札をかざし通行する。これは結界の外に出るための通行証である。結界を傷つけないための措置だ。
2人は同時に結界の外に出ると、少し景色が変わるものの、まだ森の中である。木々の間隔が大きくなり、やがて森を抜け平原へと出る。辺りは季節の草花や馬車の通れる街道などがある。
「もう少し先の丘に登って探してみようか?」 「任せるぞ」
2人は少し高台になってる丘へと向かう。そこへ上がればあたりが見渡せ、そこから探すべき目標を見つけようとしたその時だった。
遠くの街道の方から一人の人物らしき者が見えた、茶色の外套を頭から被っており、性別や種族などは見分けられない。手には剣が握られていて、こちらの方向へ向かってくるのが見られた。
その後ろからゴブリンが4匹、≪大猪≫が2匹、追いかけてきた。
ゴブリンは背丈がドワーフ族よりも低く1メートルも満たない個体が多く貧相な体格で、全身は緑ががっているのが特徴。 一方≪大猪≫は高さが1メートル弱、長さが2メートル前後の巨体であり、ゴブリンよりも若干早い。このままでは追い付かれ、一人では対処できないであろう。
「ディー!」 「判ってる、先にゴブリン共を片付けよう。≪大猪≫は突進に気を付けるだろ?」
「正解だ、俺は左 ディーは右へ行け! 追われてる奴真ん中で通して挟み込むぞ!」 「了解」
ディードとドルガは二手に分かれつつ前に走り出す。街道からこちら向かってくる人物に声をかける。
「迎え撃つからこのまま突っ走れ!」
人物からは返答を聞く前にディードは行動に出る≪大猪≫を牽制をする為に魔法を詠唱する。
『風よ、目の前の敵に風の刃を放て、ウィンドカッター』
ディードの手から風の刃が縦に放たれる。≪大猪≫にヒットするが距離が遠いせいか、額で受け止められ大きなダメージには至らなかった。だが、動きは1度止まり、こちらに突進を始めてきた。
≪大猪≫の突進は速度はさほどないものの、体格に任せて当たってくるので当たり所が悪ければ、即死の危険性もある。だがディードは敢えて≪大猪≫に向かい距離を詰める。
お互いがぶつかり合うまで数メートルまでの距離まで来たときにディードが向いながら唱えていた【火球】ファイヤーボールを顔へ放った。
「ピギーーー!!」 視界を奪うために放たれた【火球】は見事に命中、≪大猪≫は視界を奪われ、もがく苦しみ街道から大きく逸れる。目論見は成功し、ゴブリン共に集中できる。
外套を身に纏った人物は、そのままディードの横を通り抜ける。転身しようとしたのか、力尽きたのか、派手に転ぶ音が聞こえた。
ディードは振り向かず、数メートル先のゴブリンに対して鞭を右側から大きく水平に放つ。
水平に放たれた鞭は、右端にいたゴブリンの喉を先端の刃が切り裂く。すかさず返す鞭でもう1匹目掛けて鞭を放つ、右手に魔力を込め鞭に命ずる【魔核を狙え!】 鞭は軌道を小さく変え、ゴブリンの心臓付近を一刺しして止まった。刺されたゴブリンは、魔物の心臓である【魔核】を砕かれその場に倒れる。中距離から攻撃されたゴブリン達は慌ててこちらの攻撃に備えようとするが。
「うぉりゃ~~!!」 ドルガの水平に放たれた攻撃が、もう1匹の≪大猪≫にヒットし吹っ飛んできた。
横に吹っ飛ぶ大猪、巻き込まれるゴブリン2匹、巨体の下敷きとなり命を落とす事になる。
そのままドルガに相手をしてもらおう。残るは視界を奪った≪大猪≫だけだ。
ディードは振り返ると、パキンと金属が折れる音がした。
先ほどの外套の者が、ディードが視界を奪った≪大猪≫に攻撃し剣が折れたようだった。
「ああ!」と叫ぶ外套の人物。そして暴れる≪大猪≫の無差別の攻撃に運悪く当たって弾き飛ばされてしまう。
ディードは素早く手から鞭を放し、剣に持ち替える。鞭だと深手にならないと判断した為だ。
足掻く≪大猪≫の脇につけ、ディードは魔核の位置に狙いをつけ一気に突き刺した。
大きく悲鳴を上げ、倒れこむ巨体、急所を貫かれ絶命したようだ。
ディードが辺りを見回すと、ドルガも戦闘は終わっている様だった。
そして弾き飛ばされた方を見ると、外套の人物はうつ伏せのまま、まだ動いていない。気を失ったか、あるいは・・・駆け寄り、ディードは抱き起す。
「おい!大丈夫か?」 抱き起してからディードは気づいた。抱き起した人物は少女だった事を。
揺すられ気が付いた少女は、ほぼ反射的に声を出す。
「キャーー!!」「ぐえぇ・・」悲鳴と同時に繰り出される拳は、ディードの下腹部にクリーンヒットしてしまった。
「な、なんでぇ・・・・」 ディードはその場でうずくまってしまった。
まだまだ頭に描いた事を言葉に紡げないなぁ・・・・




