四十話 【学院に入る】 5
ゴーンッ!!
カーンッ ゴーン!!
「鐘が鳴ったぞ!」
「発表は中央の広場だって!」
「ここで良いんだよな?」
この広場で合ってるはずだ。
にしても掲示板が3つ・・・?
3つとも結構な大きさだ。
「布が剥がされてくぞ!」
「受験番号だ!上位は順位と得点も書いてある!」
なるほど。
教員試験と筆記試験と実技試験の3つか。
受験番号がずらっと書かれていて、点数と順位が横に書かれていた。
えっと俺のは・・・
「あれ?」
「ショウ!オレのあったぜ!筆記と実技の両方受かった!筆記なんか2位だぞ!」
「あ、うん。おめでとう」
「なんだよ反応薄いな。どうした?自分のが無いのか?」
「いや、あるにはあるんだけど・・・」
「私が満点なのに3位!?どういうこと!?」
そんな声が掲示板の方から聞こえた。
「筆記試験・・・俺の点数が書かれてない上に順位が1位になってる」
受験番号の横に点数と順位が記載されていて、3位を探してみたら満点だった。
確かに難しい問題は無かったけど、選択問題は大体運任せだし・・・
「どれどれ?受験番号はっと・・・おお!本当に1位だ。あんな難しい問題ばかりだったのに・・・というか、ショウお前何したんだ?・・・ってオレも筆記の点数書かれてない!?そう言えば空欄もあったはずだ」
ロバートは空欄なのに満点の彼女よりも上位なのか。
「学院側の間違い?」
そうだ。実技はどうなったんだろう?
受験番号があるから合格はしているんだろう。順位は書かれてないが。
「ちょっと!1位の人誰!?説明して!」
彼女は納得がいかないみたいだ。
俺もそこは同感だ。点数が高い順に付けてるなら俺とロバートが下の筈だ。
満点とった自信はないからね。
でも説明しろと言われてもなぁ・・・
それにどこかのお嬢様っぽいし、貴族出なのかもしれない。
グスタフみたいな奴なら良いが、彼女はそうはいかなそうな雰囲気だ。
俺も知りませんって言ったところで聞いてもらえるか・・・?
「いた!ロバートみーつけた!」
「アルマ!」
「どうだったー?」
「受かったぜ!」
「おー!おめでとう!私は実技1位だったよ!筆記は順位つかなかったけどね」
実技1位って!?
確か試験監督とも戦うはず・・・
内心驚く。
「ところで2人ともどうしたの?なんか難しそうな顔してるけど」
「それが、結果がなんか変なんだよ」
「変?」
ロバートが説明しようとしたちょうどその時、朝礼台の様な場所に老人が登りこう言った。
「諸君!!儂はデフロット・グレイプス。ここの学院長だ」
通りで屋敷で見かけないと思ったら・・・
デフロットさんも先生だもんな。
周囲が静まり、デフロットさんに注目する。
「今年は凄いのう!集まった全員に合格おめでとうと言おう。もう既に気づいてるじゃろうが、上位は得点と順位が記載されておる。後で確認すると良い。そして今回の結果は教師全員で話し合って出した結果じゃ。納得いかない場合は退学とする。入学式は年明けに行われる。受験票に詳しい日時が書かれているからよく見ておくように。今日は気を付けて帰るんじゃぞ。では、入学式で待っておる!」
デフロットさんが台から降りると、さっきの彼女が駆けつけた。
「学院長先生!質問があります!」
「ほう?何じゃろうか?」
デフロットさんはにっこり笑い、彼女に話しかける。
「満点なのに何故私は3位なのですか?」
彼女の質問を聞いたデフロットさんは、一瞬目を瞑り「ふむ」と少し考えてこう言った。
「3位・・・ということは、ナタリア・スレバトスじゃな?」
「そうです!」
デフロットさん凄い記憶力だな。
「先の説明でも聞いたと思うがのう・・・学院の決定に意義があるという事じゃろうか?」
これは納得がいかないという事であり、即ち退学を意味する。
「い、いえ。決してそうでは・・・」
「冗談じゃ。なぜこの順位か、本人から聞いた方がいいじゃろう」
すると急に大きな声でこう言った。
「ショウ!ロバート!」
「な!」
「え!?」
周りの人たちも「なんだ?」「誰?」と騒つく。
「なんで2人とも学院長に呼ばれてるの?」
アルマが不思議そうに俺たちとナタリアを交互に見て、何か理解したかのような表情をする。
そしてロバートが何故か否定を始めた。
「あなた達、入学前に早速問題を・・・」
「ちっ違うぞアルマ!誤解だ!」
「・・・そう?」
!?
これ怒ったらアレか?やばい感じのやつ?
いや、オーラっていうのか?
にっこり笑ってるはずのアルマから殺気を感じる。
アルマが実技で1位を取ったのも何故か納得してしまう。
ていうかこの殺気は俺にも向けられてるのか・・・!?
「アルマちょっとまって。何想像したか知らないけど、多分、試験結果について呼ばれたと思うんだ。それにショウも一緒だし」
「え?そうなの?」
「ロバートの言う通りだよ」
落ち着けアルマ。
君が考えてるようなことを俺たちがするわけないだろう。
「ならいいわ」
「ほら、ロバート行くぞ」
「は、はいい!」
ロバートとアルマは仲がいいとは思っていたが、いろんな意味で力の差があるみたいだな。
デフロットさんのとこへ行くと、ナタリアが俺達を睨んでいた。
「これで3人揃ったのう。ではついて来るのじゃ」
「「「はい」」」
そのまま教室にまでついて行くと、エルミアがいた。
彼女以外に3人来たことに驚いてるとこを見ると、俺たちと同じように事情は聞かされていないみたいだ。
「ようし。では適当に座ってくれ」
デフロットさんがエルミア含め、俺たち4人にそれぞれ2枚ずつ紙を配って行く。
ん?
これは試験問題?
この間のと全く同じものが書かれている。
もう一枚は・・・
なんだこれ?
「学院長!これは今回の試験問題ですよね?一枚別のが混ざっていますが・・・?」
疑問に思ったナタリアが発言した。
確かに、受けた時は問題用紙は1枚だけだ。
「2枚とも解くのじゃ」
「えっ」
ロバートが勘弁してくれと言わんばかりに配られた用紙を見る。エルミアは何だか気まずそうにしている。
「学院の出した課題に不満でも?」
「い、いいえ!ありません!」
「冗談じゃ」
仕方ないと諦め、受けたばかりの問題を解く。
そして、2枚とも終わらせた時だった。
バンッと音を立てながら大人達が入って来たと思ったら、俺の問題を掻っ攫っていった。




