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最強ギザ歯は朝も最強になりました。

小角伏人

朝は6時起床。

ランニング、叔母と弁当作り、妹起こす、朝食、準備出発


来馬晶

朝は6時10分起床。

ランニング、母と小角と自分の弁当作り、朝食、最近はちゃんと準備、出発




五時半。

アタシ、来馬晶は起きていた。

いや、正確には眠れなかった。


ずっと、指輪を見て、ニヤニヤしてた。

ゴロゴロ

ゆびわ

ニヤニヤ

ゆびわ

ゴロゴロ

ゆびわ

ニヤニヤ

ゆびわ


そして、二十三時頃までゴロゴロしてると、ママに怒られた。


「夜更かしは、美容によくないわよ。伏人にフラれても知らないわよ」


ママは、すぐに伏人と呼び始めた。

なんかちょっと面白くなかった。


ただ、凄く正論だったので、教えられたヨガをして少しでも疲れさせる。

腕をねじる。

ゆびわ

ニヤニヤ

ゴロゴロ



って、寝れるかー!


駄目だ。指輪見ると眠れない。

なので、指輪を外した。

よし、寝よう。


でも、なくなってないか不安なので確認をする。

引き出しを開けると、箱が。真ん中に。

箱を開けると、真ん中に。

ゆびわ

ニヤニヤ

ゴロゴロ


は!

やっちまってるなコレ!


は!

気付いたらつけてるなコレ!


思い出す観覧車。

ニヤニヤ

ゴロゴロ


……


……


そうして、時は五時半。


馬鹿かアタシはーーーーー!!!


ちょこちょこ寝てた。

けどハッと目が覚めると昨日のアレは夢じゃなかったのかと思い引き出しはこゆびわニヤニヤゴロゴロである。

夢だけど夢じゃなかったー! まで言ってたわ。

深夜テンションは恐ろしい……!


そして、昨日の回想編を三十分お届けしたところで、回想編はクライマックス観覧車に。

そして、引き出しはこゆびわニヤニヤゴロゴロ

思わずL〇NEで帰った後のやりとりをエンドロール的に眺める。


今、六時。

小角起きてるかな。


……。


ふとんを被って、通話ボタンを押す。


「ふぁい」


か、か、かわいいかよー!!!

なんだソレなんだソレ!

「ふぁい」っておーい!


悶えるアタシ。

ハッと気づけば向こうは沈黙。

ヤバい! 何かを言わないと。


「あの……おはよ」


なんでだよーアタシ―!


「おはよう☆」くらい爽やかに言えないのかよ。

優しく聖母のように言えないのかよ!

ああ! ハスキーボイス!


「お、おお……どした?」


小角は「どした?」って聞く。ミコちゃんがそっちのが好きらしい。アタシも好き。

じゃなくて! えーと! 電話、理由! 理由!


「あ、の、そ、そう! ランニングあるし起こしてあげようかなーて!」


かなーて! ってなんだよ!


「お、おお……」


あれ? 引いてる? え? どうしよう。

スマホを一旦離すと、指輪(結局つけっぱ)が見える。

引かれたから引くな、フラれても自慢のギザ歯で噛みついてしがみついてやるって決めただろ。


「ごめん、うそ」


声が震える。らしくない、らしくない。けど! かわいいと思ってもらえるなら!


「あの……声、聴きたいなーって」


沈黙が続く。

あー! やっぱりダメか! 高身長、目つき悪い、ギザ歯女がかわいこぶってもダメか!

わあああああああああああああああああああああああああああああ!


「あの、伏人?」

「ああ……すまん。俺と神の在り方について真剣に考えてた」

「ラグナロクに参加するのかよ?」


思わず反射的に答えてた。

でも、なんだ、にやけるな、これはこれで。このやろ。

なんか調子出て来たかも。


「あのさ、伏人」

「うい?」

「さっきの『ふあい?』ってのもっかい言ってくれねえか?」

「……なんで?」

「かわいかったので、録音希望」

「やめい」

「まあいっか、また明日挑戦するわ」

「お、おう」


よし、諦めない。諦めない。諦めたら試合終了だってママが言ってた。


「じゃあ、改めて挨拶します」


かわいく、かわいくだ、アタシ。


「おはよう、伏人」


どうだ! アタシの全力。


「おはよう、晶」


伏人の笑顔が浮かんでくる。


「ひひ、じゃあ」

「おう、また後で」


慌てて準備を始める。ちょっとだけ、ちょっとだけ、髪を纏めるのを丁寧にしただけ。

着ないと思うって言ったのに、莉奈さんに渡されたピンクが差し色に入ったジャージ。


小角をいつもの場所で待つ。


「おはよ」

「おう、おはよう」


三回目の挨拶。

あとで、登校ん時も挨拶しような。

うれしいから。


お読みくださりありがとうございました。

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