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だらだら行こう(仮)  作者: りょうくん
ハマール編
127/247

ティフルダンジョン (1)

118話に簡単な登場人物紹介をいれました。

お暇なときにどうぞ。

それとは別に一回千夏の覚えた魔法を整理しようと思います。

特に今のLvとかも・・・

「ちーちゃん、コムギの仕上げにダンジョンに行きたいでしゅ」

 夕食の席で、タマが千夏におねだりをする。ハマール初日にみた観光案内に書かれたものを覚えていたのだろう。


「ダンジョンか。楽しそうでいいな」

 アルフォンスが少しうらやましそうにタマを見る。

 ハマールに滞在してすでに4日ほど経っている。リフレクションブレイクの伝授はまだまだ先になりそうだった。アルフォンスやセレナが習得するにも時間がかかったのだ、そう簡単に覚えられるようなものではない。


「ダンジョンね……」

 いつもなら面倒くさそうに答える千夏であったが、つい最近持ち金のほとんどを使い込んでしまったので、めずらしく真面目にタマの話を聞く。


「ティフルダンジョンね。王都からも近いし、いいんじゃない?」

 セラはタマの意見を後押しする。王都にこもっているより、ダンジョンに行ってもらったほうがタマ達が安全であると思ったからだ。


「どんなダンジョンなの?」

 千夏の質問にセラは少し考えてから答える。

「ティフルダンジョンは上級ダンジョンよ。地下30階まであるわ。地下5階まではあまり強い魔物がでないから、ハマールの王立学園の生徒たちもよく実習で使っているの。今のダンジョンマスターは不明。5年くらい前にSランク冒険者が倒したっきりで、最下層までいって戻ってきた冒険者がいないから情報がないのよ」


「そんな深いダンジョンがあるんだ。行って戻ってくるだけでもすごく時間がかかるね」

 最下層まで行く気はないが、少なくても地下6階より下に潜らなければいけなさそうだ。少し千夏の面倒くさい病が発病する。


転移石(テレポストーン)を使えば、そこまで大変じゃないわよ。上級ダンジョンにはだいたい設置されているの」

「ん?ダンジョンの中で転移が使えるってこと?」


「転移魔法は自由にイメージできるところならどこでも移動できるでしょ?でもダンジョンでは使えないのは知ってるわよね?ダンジョン用特別に組み立てられたマジックアイテムのことを転移石(テレポストーン)というのよ。原理は私も詳しくないから説明できないけど、巨大なマジックアイテム同士間なら移動ができるのよ。

 ティフルには地下5階、10階、15階、20階とダンジョンの入口に転移石(テレポストーン)が設置されているの」


「それは便利なの」

 セレナも千夏達をうらやましそうに見る。

 自分もついていきたいが訓練があるので参加できないのだ。

「訓練をダンジョンの中でやるのはどうだ?」

 アルフォンスがシルフィンと交渉を始めるが、どうやらダメ出しされたらしい。大げさにがっくりと肩を下げる。


「それならば、明日でも行ってみようか」

「頑張るでしゅよ、コムギ!」

「クー!」

 千夏から許可をもらうと、タマとコムギは顔を見合わせ興奮する。


 明日いくのは千夏、魔物3兄弟、リルの訓練お留守番隊だ。エドも誘ったが、主人であるアルフォンスが残るというので、断られる。竜が二匹もいれば問題ないんだろう。

 クロームが誰かハマールの兵を連れていくように言ったが、すぐセラに却下される。

 ついてきても足手まといだし、千夏達が窮屈に感じるだろう。


 結局クロームが用意するのはダンジョンまでおよそ2日の距離があるので、行きの転移要員だけに決まった。帰りは千夏の転移で戻ってこれるからだ。


 次の日の朝、かなり早い時間に千夏はタマに起こされた。

 朝食を食べるとさっそくダンジョン前に転移で移動する。

 早朝だというのにダンジョンの周りににはちらほらと冒険者の姿が見える。

 最近ハマール周辺で出没する魔物の数が激減したのだ。冒険者たちはダンジョンで日々の糧をとるために集まっていた。


 ダンジョンの前にはギルドの簡易出張所がある。

 転移石(テレポストーン)を使う場合はここでお金を払って移動させてもらうらしいが、まだ開店前らしい。冒険者たちから少し離れたところで、出張所があくのを待つことにする。


「昨日、エドに教えてもらったことを説明するね」

 リルはポーチの中からメモを取り出す。

「まずダンジョンの中で気を付けなければいけないのは、他のパーティと遭遇したとき。


 相手が戦闘中の場合は、戦闘に乱入するのは厳禁。勝手に魔物を倒しちゃだめだって。向うから手伝ってほしいと言われたときのみ対応すること。回復魔法とかの補助系は使っても文句は言われない。


 俺たちが魔物に遭遇したときに、後からきたパーティに魔物を押し付けるのもだめ。

 あとたまにダンジョン内に盗賊がいるらしいよ。人だからといって安心していると襲われることもあるんだって。

 なので、基本は他のパーティと距離をとるようにしたほうがいい。


 最後に上級ダンジョンでは、5層毎に階層主と呼ばれる魔物が次の階に降りる階段の前にいるらしいよ。

 倒されていないときもあるみたいだけど、気を抜かないこと。

 クローム殿下が一番最新の地図をくれたから、少なくても地下20階くらいまでは迷わないよ」


「気が見えるから他のパーティに近づかないようにはできるけど、盗賊も出るのか。物騒だね」

 リルの説明を聞き、千夏は眉をひそめる。

 魔物を倒すのには慣れたが、人と戦うのはできるだけさけたいところだ。


 千夏達が話している間にもダンジョンの周りに人が増えてくる。

 集団で転移してきた全員おそろいの水色のローブを着た少年少女たちもいる。あれが昨日話題に出たハマールの王立学園の生徒だろうか。


「結構混んできたね。そろそろ並ぼうか」

 リルがそう声をかけると、タマとコムギが簡易ギルド小屋の前にできた人の列に向かって駆けていく。

 ここに来る前は、地下5階くらいから始めればいいかなと千夏は考えていた。だが、思ったよりも人が多いのでもっと下に降りるべきだろうかと悩む。


 本来は初回から途中の層にはいけない。

 1階から入って地下5階まで下り、転移石(テレポストーン)で戻る。そのときに、簡易ギルドで地下5階までクリアしたことをカードに書き込んでもらい、次から地下5階から入れるのだ。


 クロームが発行した特別許可書があるので、千夏達は初回からどの階層からでも入ることができる。

 人が少ないところのほうがいいだろう。


 順番が回ってきたので簡易ギルドの小屋の中へ千夏たちは入っていく。

 小屋の中は小さなカウンターがあり、カウンターの近くには直径40センチほどの円柱型の水晶が設置されている。

 これが転移石(テレポストーン)なのだろう。


「ギルドカードまたは身分証をだしてください」

 カウンターの受付嬢が千夏達に話しかけてくる。

 千夏は首にぶら下げたカードと一緒にクロームが書いた特別許可書を一緒に差し出す。


 受付嬢は受け取ったカードをマジックアイテムのスロットに入れ、千夏達がこのダンジョンを使用するのが初めてであることを確認する。

 そのあとに特別許可証を確認し、どの階層に降りるのかを質問してくる。


転移石(テレポストーン)は地下5階、10階、15階、20階に設置されています。転移石(テレポストーン)の使用料金は地下5階で1パーティあたり銀貨3枚。そこからは下の階層になれば倍になっていきます。


 またここへの帰還用のマジックアイテムの貸し出しは一人銀貨1枚です。貸し出したマジックアイテムを持っていれば、ダンジョン内の転移石(テレポストーン)に触れてもらえればそのままここに戻ってこれます」


「だいたいいつも何階くらいが混むのですか?」

 千夏の質問に、受付嬢がはきはきと答える。

「そうですね。1階から地下15階くらいが混みますね。地下10階くらいまでは王立学園の生徒さんたちが実習で使いますし、だいたいの冒険者は10階から15階に行く方が多いですね」


「では、地下15階でお願いします」

 千夏は金貨1枚と銀貨3枚を支払う。受付嬢は手早く15階用のマジックアイテムのスロットにカードを入れ、カードと一緒に帰還用の青い石のついた首飾りになっているマジックアイテムを人数分渡してくれた。


 受付嬢はカウンターから出てくると、転移石(テレポストーン)の台座にぽっかりと空いている丸い小さな穴に赤い球体をはめ込む。

「これで転移石(テレポストーン)に触れれば地下15階へと飛びます。それではお気をつけて」


 コムギを抱き上げたタマが最初に転移石(テレポストーン)を触る。すぐにタマとコムギの姿がすっと消える。千夏も転移石(テレポストーン)に手を伸ばす。すぐに景色が青白い光を放つ洞窟の中へと変わる。移動するときの感覚は転移と同じようだ。体にまったく負担はかかっていない。

 振り返ると、背後に上でみたのと同じ転移石(テレポストーン)が置かれている。


 ダンジョン内の転移石(テレポストーン)は魔物に破壊されないように結界魔法が張られており、その一帯は魔物が入る込むことができない、セイフティーゾーンとなっている。

 全員が問題なく地下15階にきたことを確認すると、リルはポーチから地図を取り出す。


「あっちに地下16階に降りる階段があるよ」

 リルが指さした方向に向かってタマとコムギが歩き出す。千夏とリルは中衛で、背後からの襲われてもいいように後衛にレオンが歩く。


 レオンは久しぶりにダンジョンを歩く。懐かしさはあまりない。住み慣れたラヘルのダンジョンではないのも原因のひとつではあるが、外の世界を知ったレオンには久しぶりにみるダンジョンが窮屈に思えた。


「そういえば15階の階層主が倒されているのか聞くの忘れてたね」

 進行方向と地図を照らし合わせながらリルが不安気に千夏に話しかける。

「たぶん倒されてると思うよ。この先に大きな気は感じないから」

 千夏は進行方向をじっと見つめながら答える。


 大きな気はないが、小さな気がちらほらと見える。まだ遠いので人なのか魔物なのかがわからない。

 人だったら面倒だなぁ。

 千夏はダンジョンに入る前にきいたリルの説明を思い出しながら先へと進んだ。

ご感想ありがとうございます。

昨日は緊急メンテで続きがかけなかったので、本話が予定通りに投稿できるか不安でした。


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