表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イン・ザ・メガ・チャーチル  作者: ほかほか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/3

 2143年!人類はまだまだ学んでいなかった!


南アフリカ共和国での、極秘ヒューマノイドH.I.D.L.E.R計画は無事完遂され、アフリカは南アフリカ及び北アフリカ連合に統一された!その毒牙はスパイまで伸び、あわや英国にまで迫っていた!そこで、英国政府は極秘禁止条約兵器『メガチャーチル』に着手したのであった!




  21:00、英国首相官邸地下20階会議室。




 南アフリカ連合によるスペイン侵攻を受け、会議室は水を打ったように静まり返っていた。ここは地下貫通爆弾すら通さず、世界中のありとあらゆる防壁にも引けを取らない、そんな場所であるというのに。上体を起こし鼻から息を吸うと、ウィングストン参謀長官が静寂を破った。




「それで、マドリードはどうなった」




 すかさず、参謀が告げる。




「陥ちました。20:27のことです」




 ウィングストンは苦虫を潰した様な顔をすると続けていった。




「NATTOへの要請はどうした」




 参謀が機械的に続ける。




「第三国との交渉によって可決されるため、少なく見積もり8時間はかかるとのこと」




 ウィングストンは、部下がそのようなことを報告することを分かってはいたが言わざるを得なかった。




「犬どもが」




 その言葉を静止するように、アーチャー首相が告げた。




「そこまでだ、ウィングストン。こうなってしまっては仕方あるまい、我々もあの手を使う日が来たのだ」




 ウィングストンは目を剥きながら、アーチャーへ言った。




「まさか、それはさすが」




 ウィングストンが言い終わるより先に、アーチャーが言う。




「メガチャーチルだ」




  22:00 ギア島上空 大統領機内




 首相一行は首相官邸を離れ、ギア半島内部に秘匿されたW.C格納ラボ、通称バスルームへ向かっていた。




 首相の命令であるとはいえウィングストンは、震えを抑えきることができなかった。遡ること13年前、試験中に起きた事故を思い出していたためだ。そのことで頭が満杯になっていたが、着陸時の衝撃によりかろうじて任務へ戻ることができた。




 首相一行から外れたウィングストンは、別働部隊『イン・ザ・メガ・チャーチル』へと合流した。軽く挨拶をすると、作戦室へ移動しブリーフィングが始まった。




 作戦室、これもまた沈黙が支配していた。普段なら談笑の一つもあるだろうが、そんなことが許されない事を作戦室にいた人間は皆知っていたからだ。




 壇上へ上がったウィングストンは、台へ手をつくとマイクのスイッチをつけ言った。




「ここにいる全員へ告げる。この作戦が万が一失敗した場合、ここにいる全員が漏れなく死亡する。また、もし作戦が成功したとしてパイロットの精神が元に戻るとは限らない。以上のことを承知する者だけが残れ。そうでないものはここを去り、幾ばくかの余命を謳歌しろ」




 誰も作戦室から出ることはなかった。それが彼らの軍人としての誇りや覚悟からくることはもちろんであったが、この作戦名を聞きこの部屋へ入ることこそが人生の片道切符である事をわかっていたからだ。




 ウィングストンは簡潔に作戦を説明した。質疑応答などはなく、ブリーフィングは恐ろしいほど首尾よく進んだ。1時間後の起動を目標とし、ウィングストンは作戦室を後にする。




 アーチャー首相は、別室にて各大臣への質疑応答をしていた。もちろん、外部への形式的なものであることなど皆承知していたが、ランス人権大臣はそうではなかった。




 良く言えば、彼がいることによってこの国は比較的均衡を保っている。だが、悪く言えば彼は問題児だ。保守的なメディアは彼を「質問屋」と呼ぶほどだ。であるからして、スムーズにことが進むであろう本会議にも異議がなされブレーキがかけられた。




「アーチャー、君は13年前の事件を忘れたわけじゃないよな。もちろん私も他の大臣もそのことは知っている。私を「質問屋」なんて嘲る新聞屋もそうだ」




 アーチャーは焦りからか、レンズをつまみながら眼鏡を外すと真っ直ぐにランスの目を見ていった。




「無論だ。私が軍を抜け、この職についた理由の一つも2度とあの事件を起こさないためだ。だが10年前の軍縮条約以降我々に残された兵器、しかも南アフリカ連合に対抗しうるものはもはやこれしか残されていない」




 ランスは眉を八の字に曲げ、俯くしかなかった。なにしろ、13年前の事件を世に告発し軍縮条約を招いたのには、彼が各メディアを手引きしたことがあったからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ