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09.とても気に入っているタイトルなのですが、ほか(11~15話)

【第11話「心痛」を書いてみました】

【人称と視点に迷いました】

 またかという感じですが、第11話についても、人称と視点に迷いました。

 この話は、大きく以下の3つの話で構成されています。

 ・海の大怪獣が登場

 ・翔一が超常の力でこれを退ける

 ・それによりゲーム運営が混乱する

 そして1つ目の大怪獣が暴れるシーンは、気づくと宇宙人プレイヤー弟の1人称視点で書いていました。第10話までは3人称多視点で書いてきたのですが、この話については大怪獣登場の緊迫感を表現しようと、無意識に弟の1人称にしてしまったのだと思います。

 しかし投稿直前になって、本当にこのままで良いのだろうかと迷いが生じました。一通り書いたのが6月末で、以来半年に渡って断続的に読み返し修正を繰り返してきた文章なのに、直前になって怯んだのです。1人称になっていることに気づいてもこの場面はこのほうが良いと納得してきたのに、最終的には「初心者なのだから、基本は大切にしよう」という意識が勝り、3人称多視点に書き換えました。

 形式的に整えはしたものの、修正前より緊迫感は薄れたように感じています。また、もともと弟視点だったので、ショウや姉の行動や心の動きの描写が不足しているように感じます。人称や視点を変更するのは、単純に各文を修正するだけでは足りず、加筆も必要なことにはっきりと気付かされたシーンとなりました。



【戦いの結末をひねり出してみました その2】

 2回めの大怪獣戦も、引き分けにすることだけを決めていて、詳細は何も考えていませんでした。ただメインプロットの段階で、この対決はそもそも戦いが成立しないので、翔一に超常の力を使わせて、ゲーム運営がそれにあたふたすることのほうを話の中心にしようと思っていました。なぜ戦いが成立しないかというと、ショウ一行は一般原生人たちと大型フェリー相当の船に乗っていて、戦う術はプレイヤー姉の炎魔法だけ、大怪獣は一般原生人に被害を与えることを禁止されており、遠距離攻撃手段を持たない、という状況だからです。

 ここでは翔一の力によりもう1頭の大怪獣を登場させ、大怪獣同士を戦わせるという展開にしました。海の大怪獣については、サメ系にするかクジラ系にするか迷っていて、「そうか、両方出せば良いのか!」と閃いた、というところです。

 作者ですらどうすればメインプロットの結果に持ち込めるのか困るくらいなので、読者はなおのこと展開が読めないのではないかと都合の良いことを考えているのですが、とても綱渡り的で心臓に悪い物語の作り方です。



【いつか掲示板回を書きたいものです】

 第11話の最後、ゲーム運営の担当たちがくだけた口調で、翔一が引き起こしたインシデントの対応にあたります。私は良く掲示板などで見かける、くだけた会話でやり取りをしながらも議論を深めていく様子が大好きなのですが、そんな雰囲気を出したいと思って挑戦してみました。

 これもまた書いてみると、軽妙なセリフを思いつけず、また微妙なくだけたセリフしか書けないことが恥ずかしくなってきて、普通寄りの口調に直してしまいました。

 「なろう」作品でも掲示板回のある作品があって、読んでいて楽しいのですが、いざ自分が書くとなると難しかったです。



【第12話「オーア大陸」を書いてみました】

【1話限りの登場人物に名前をつけるかどうか迷いました】

 第12話で1人、第13話で3人、1話限りの登場人物が登場します。この人物たちに名前をつけるかどうか迷いました。私は人名や地名などの固有名詞を覚えるのが苦手で、このために「なろう」作品を読んでいても、話の流れを追えなくなることが良くあります。そこで「FWO」では、特に覚えてもらう必要のない人物については名前を出さない方針にしました。

 ですがこれもまた結局、主人公たちが名前を知っているはずの人物には名前を付けたほうが良いと思い直し、投稿直前になって修正しました。またこの人物たちは、それぞれ1話後の第13話、第14話の地の文で少しだけ言及されるのですが、この際には「肩書+名前」で記載して、名前を忘れていても想起できるように工夫しました。



【第13話「回復魔法」を書いてみました】

【ショウが戦闘に参加できるよう、状況づくりに腐心しました】

 大海の航海を終えて大陸に上陸し、ショウと宇宙人プレイヤー姉弟の一行は、頻繁に猛獣たちを狩ることになります。そこで早い段階で、ショウには回復魔法を習得させようとしました。そうしないとショウには戦闘のリスクが大きすぎて、参戦させ難いからです。

 さて回復魔法を行使するには、怪我人が必要です。宇宙人プレイヤーたちの惑星上の正体はロボットですし、ショウ自身に怪我を負わさせるとその状態で新魔法を覚えるのはやや無理があるように感じました。そこで第13話では行商の一向に登場してもらい、犠牲者になってもらうことにしました。


 このように第12話と第13話は、メインプロットを進める上で説明しておきたい設定を紹介し、こなしておきたいエピソードを消化する回になっています。



【第14話「フラム・デ・オフェン」を書いてみました】

【宇宙人プレイヤーのリアル側の状況をチラ見せしました】

 第14話では宇宙人プレイヤー姉弟のリアルの生活の様子を取り上げました。

 この回では、まず、姉弟が長期滞在している理由が分かる状況を間接的に描写しています。この理由については私自身も設定を決めかねていたのですが、弟が一時的に身体に障害を負っており、姉が介護をしているという設定にしました。これらから更に、ゲームを遊ぶ行為がリハビリにつながっている、リハビリが終わったらプレイをやめる、という設定を連鎖的に付け加えます。

 この設定は、私にとっては大きな決断でした。ショウたちが目的地についた後にどうするのかを決めていなかったのですが、この設定によって、姉弟たちとは別れる結末にしたことになるからです。


 続いて後回しにしていた設定に着手しました。廃課金プレイヤーである姉の収入源です。さらにいえば銀河連邦で生活している人たちの収入源です。銀河にまたがるような国家を築いている超科学文明において、人々は何をして収入を得ているのでしょうか? このレベルの文明になると、すべての仕事はAIとロボットで賄える気がします。

 この点については作品中では言及していないのですが、ミスがあると生命活動に支障が出るようなインフラ系業務以外は、ロボットの使用を規制して雇用を確保している社会、ということにしました。そうした上でプレイヤー姉には、飛び抜けた高収入を得られる仕事を用意する必要がありました。親が金持ちという設定でも良いのですが、そうした設定だと姉が嫌な性格に見えかねないので避けました。

 芸術やスポーツというのもありでしたが、宇宙人らしい稼ぎ方にしたいなと思い、能力ではなく身体的な何かを売り物にしている設定を思いつきました。革、毛、牙といった類のものです。ざっとネットで調べている中で、動物の分泌物から香水が創られていた時代があったという記事に行き当たり、これをネタにすることにしました。

 最終的には、第14話終盤のショウとのエピソードの関係で、汗を売っているということにしました。生理的に抵抗を感じる設定ですが、ほかに思いつかず…… なお、超科学文明なら如何に特殊な汗であっても化学合成できてしまうでしょうから、この点については別の理屈を用意しました。



【とても気に入っているタイトルなのですが……】

 第14話のタイトルは「フラム・デ・オフェン」。これは廃課金プレイヤー姉(名前はオフェン)の汗を主成分にしている超々最高級香水の商品名です。最初の候補は「オー・デ・コロン」になぞらえて「オー・デ・オフェン」。しかし語呂が悪いし、調べてみると「オー・デ・コロン」は最下級香水であることから取りやめに。この際に「オー・デ・コロン」が「ケルンの水」という意味であることを知って、それなら「オフェンの炎」にしようと「フラム・デ・オフェン」と名付けました。

 これで良いと思っていたら、「デ」は接続詞ではなく前置詞であり、続く名詞によっては「ドゥ」になるとの記事を見かけ、慌てることになります。結論としては「デ」で良さそうなのですが、間違っていたとしてもこれはフランス語ではなく銀河連邦語なので正しい、ということにしました。短い言葉であっても、知らない外国語を利用するのは容易ではないです。

 この「フラム・デ・オフェン」、本文には登場せず、第14話のタイトルとして出ているだけなのですが、名付けるのに1時間以上は費やしています。



【第15話「鍛冶師」を書いてみました】

【魔法講習会の扱いに迷いました】

 第15話では、妖精モールが商人の商売相手たちに魔法の講習会を行います。この講習会については、その様子をどこまで描写するのかを決めかねていました。すでに第7話、第8話で、モールが魔法の手ほどきをする場面を書いているからです。一方でこの講習会は第8話でその発端について、第12話でその準備状況について言及しているので、サラッと流すのも上手くないと思いました。


 ネタ帳を振り返り、以下の2つを交えて講習会のエピソードを書くことにしました。

 ・この世界の魔法の仕組みを掘り下げて説明する

 ・ショウのパワーアップアイテム第2弾を用意する

 具体的には、ショウは物質を生成する魔法を使うのですが、質量保存の法則は成立している、という話です。であれば材料を身に着けていれば魔法を使いやすくなるのではという理屈から、特殊な衣服を作ろうとします。そしてこの衣服――金属の延べ棒をたくさん差し込めるベストです――の製作に関わる存在として、ベテラン鍛冶師を登場させることにしました。

 面白いエピソードかどうかはおくとして、第15話はうまく話が作れたと思っている回です。

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