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竜王と黄金のハート  作者: 葉月秋子


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      31 脱出

31 脱出



 ジョン・ノースウッドたちは少々追いつめられていた。


 やはり宝物庫には兵士たちが待ち構えていたので、上手く誘い出し、通路を熟知しているジョンの誘導で別の部屋に閉じ込めたのは良いが、次に出会った一隊は弓兵が揃っていた。

 通路の角から顔を出せば矢が飛んでくる。

 ルオーたちが探索する時間をかせがなければならないが、うかうかしていると閉じ込めた兵士たちが扉を破って、後ろから挟み撃ちにされる。


(しかたない、卓か扉を盾に、強引に押し切るか)


 と、命じようとすると、敵側の後方が乱れた。


「ジョン!無事かっ!」

 ルオーたち三人が、どこから手に入れたか長剣を手に、敵と切り結んでいる。

 接近戦では、弓は不利だ。

 合流して殲滅するまで、さほど時間は取られなかった。

 それぞれ好みの武器を奪って武装する。


「目的は?」

「果たした。脱出しよう」



 通路を走ると、遠くから戦いの音が聞こえてくる。


 喧噪の中で聞き分けられる、「ラウンドウェル!」「ラウンドウェル!」という叫び。


 市民が決起してくれたか。


 ならば。先頭に立つのはアルのはず。


「神殿に向かいましょう」





「我が名はアルバート・ラウンドウェル!

 ラウンドウェルの正当な後継者なり!」


 乱戦の混乱の中、先頭集団を率いてアルは叫ぶ。

「ラウンドウェルの民人よ!立ち上がれ!

 圧政者の手から、祖国を取り戻せ!」

「モールのくそ坊主をモールの谷に追い返せ!」


「ラウンドウェル!」

 人々が叫ぶ。


 何年もかけ、計画していた決起だった。


 ラウンドウェル崩壊後、解体され、モールの軍に込みこまれてしまった兵士たちが立ち上がり、王家を裏切ってモールに与した貴族たちを襲撃し、モールの神殿に変わった旧王城に押し寄せていた。


 しかし、神殿側の反撃は激しく、火の神を信仰する僧たちも慣れぬ手に武器を持ち、立ち向かう。


 住民や巡礼者たちが悲鳴をあげて逃げ惑う。


 一旦は神殿内まで攻め込んだアルたちだったが、信徒の激しい抵抗に会い、入り口付近まで撤退を余儀なくされる。

 

 ルオーたちが飛び込んだのは、そんな混乱の中だった。






 ジョン・ノースウッドが駆け寄った時、アルは身分の高そうな僧に剣を突き付けていた。

「祭司長はどこだ?」

 僧は青くなって首を振る。


「アル!」


「火の大祭のためにこちらに来ているはずだ!どこにいる!」

「アル、武器を持たぬ僧侶たちに手を出すな!」

 ジョンが剣を振り上げたアルの手を押さえた。


「祭司長、あいつは、許しておけない!」

 アルが歯を食いしばる。

「どれだけの仲間が、あいつの命令で処刑されたか!

 幼馴染の、ウィルまで!」


「アル、落ち着け!

 宗教がらみの戦にするなと、おばばさまからあれほど言われていたろうに!

 ここで祭司長を殺せば、殉教者にしてしまうぞ!

 神像と共にモールの谷に追い返せ!」


 わあっという鬨の声と共に、神殿奥から飛び出してきたモールの一隊が、二人を押し流す。


「くそっ!」


 アルの前に突き出された剣を、ルオーが跳ね上げた。


「大丈夫か、従兄弟殿」


 背中合わせになった二人に、味方から声援が飛ぶ。


 その傍で豪快に剣をふるう黒髪の男と、笑いながら軽快に飛び回る赤毛の少女。


 一気に勝敗が傾くか、と思われた時。


 凄まじい轟音と共に、神殿の床が揺れ動いた。




 

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