24 神殿都市
24 神殿都市
モールの神殿都市に姿を変えた、旧ラウンドウェル。
山襞に囲まれた、盆地に広がる市街。
奥へ向かってゆるゆると高くなっていき、旧王宮である神殿は柱とベランダが何層にも重なって、山の中腹まで登っていくように建てられている。
何世代にもわたって、山を掘りぬいて作られているのだ。
市街には一般人と兵士と僧が入り交じり、珍し気にあたりを見回しながら神殿に向かう巡礼僧たちもけっこう多い。
「王宮の奥には使われなくなった部分が迷路のように続いているからな。
迷ったら出られんぞ。離れるなよ」
市街を神殿に向かいながら、三十人の田舎の僧の引率者となった、ジョンが説明する。
謁見の大広間が火の神の本殿として改築され、神像の安置された祭壇と巨大な生贄の炉が造られているが、他の部屋は元のまま使われているだろう、と見込んで旧王宮の内部を知っている手練れの者を集めている。
十数人が並んで通れそうな入り口で僧兵に見とがめられることもなく、長い通路を奥に進み、見上げるほど高い天井の、本殿。
王宮だった頃はさぞ華やかに飾られていたであろう本殿は、火の神のシンボルである、六本指の手の印で埋め尽くされ、床には円形の大きな炉が炎を上げている。
奥に安置されている巨大な神像。
巡礼の僧たちが神像の前に額づき、円形の炉の周囲を回りながら祈りをささげている。
ジョンが皆を片隅に導くと、一人の僧が近づき、合図して、壁面の小さな扉を開けた。
仲間の半数が目隠しに立ち、残りが素早く扉を潜る。
目隠しに立っていた僧たちは、何事もなかったように巡礼の輪に加わった。
「帯と数珠を変えろ」
潜ったジョンは皆に別の帯を渡す。
「これは本殿の雑務僧の帯だ」
そして、すこしふくれた麻袋。
「重そうに持てよ。俺たちは奥の倉庫に用事で向かう雑僧だぞ」
フードをしっかり下げて置け、と言って、ジョンは狭い通路に皆を導いていった。




