表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜王と黄金のハート  作者: 葉月秋子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/143

      22 竜王を求めて その3

22 竜王を求めて その3



「すごい迫力のばあさんだな」

「インリア最高位の卜占者であられるよ」


 シラネとルオーが静かに話し合っているのを竜二人がぼんやり見ていると、ジョン・ノースウッドが横に立ち、木の椀を勧めてきた。

 中身は、お♡、アルコールの匂い。


 狩人、というより山賊の頭、といった雰囲気の中年男は、二人の横に、どっかと座り込む。


「あの方の先見と予言の腕は並ぶものがない。

 陰離(インリ)の民がどれほど遠く故郷を離れようと、固く結束していられるのは、一族に伝わるこの能力のおかげだという」

「先見と予言って、どう違うの?」

 木の実から醸した酒の独特の風味が合わなかったらしく、珍しく二杯目を断ったライラが聞いた。

「先見は多くの情報を集め、全部をまとめて瞑想したうえで占い、下される結果。

 予言はいきなり天から降りる、啓示、だそうだ。

 詳しく聞くな。俺にもよくわからん」


「あんたはノースウッドの人だな」

「ああ。アルの母親はノースウッドの王の姉だった。

 俺は彼女の血族として、親衛隊の長として、常に共に在ったんだが、モールが王家を急襲したときは、幼いアルを連れて脱出するのが精いっぱいでな」


 ラウンドウェルを乗っ取り、ランズエンドとアスタバルを併合し強大になったモール。

 孤立したノースウッドに表立って対立する力はなく、アルはインリアにかくまわれ、流浪の民の一人となって今日まで生き延びてきたのだ。




「各地に知らせを送るのに三日、集まるのに三日。配置に一日じゃ」

 シラネは説明する。

 各地で反乱の火の手を上げる。

 計画から実施まで、異常な早さである。

「火の神の大祭まであとひと月を残すのみ。

 始めから祭りの前夜に決行を予定しておった反乱じゃ」

「しかし、十日以上も繰り上げるのは無茶ではないか」

「セネカという男がルオーの存在を知った以上、聖骸を取り戻すのに、一刻も早く動いた方が良い」


「計画はまだ神殿の一部の者にしか知らされていないようだ。

 モールの王族に知られたら、彼らは絶対に手放さぬようにあらゆる手を使ってくるだろう」


「軍事大国になったモールの、一番の悩みは何か。

 それは食料の確保だ。

 今までは一定量の穀物がロードリアスから入って来ていた。

 竜王を失ったロードリアスの民が魔獣に襲われ、供給が絶たれてしまう。 

 各地で活躍していた傭兵たちも、モールに戻り、人口が膨れ上がる。

 食料の供給を安定させ、傭兵たちに仕事をあたえるには?

 魔獣のいない状態の、ロードリアスを手に入れればいい」




「火の神の神像に隠された竜王の気によって、魔獣は寄り付かず、火の神の威光により魔獣を退けたと、大々的に宣伝できる。モールにとってこんなチャンスは二度となかろうよ」

「だが、竜王の気は、同じ竜にはきかないはずだ。

 かえって竜王に挑もうとする、強い竜をよびよせてしまうと・・・」

 ルオーはそこで、言葉を切った。

「・・・それが・・・セネカの目的か?

 他の竜にまで、害を及ぼそうと?」



 シラネはルオーの眼をまっすぐにのぞき込む。


「そなたの運命をその手に取り戻すがいい、ルオー王子。

 嫁ぐ日のグウェンダリナ姫に、その名を贈ったのは儂じゃ。

 ルオー王子。

 隠里〈オンリ〉の古語で、『流王』と綴る。

 そして、その語は」


「『りゅうおう』とも発することが出来るのだよ」





 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ