19 手がかり その2
19 手がかり その2
「神殿の見取り図が欲しい。なければ以前の王宮時代のものでも」
ルオーがてきぱきと指図する。
「おい、おまえら、あいつの家来じゃないのか?
あいつを止めろよ。あまりにも無謀だろう?」
ジョン・ノースウッドが残る二人に言った。
「えー?俺らべつに主従じゃないしー」
「いつもあたしたちを止めてるルオーが、真っ先にキレちゃったわねー。
あいつ、強いわよ。止めてみる?」
だめだ。こいつらも。
呆然としているアルに、見張りの男が近づいてきた。
「インリアからの使者です。ルオー王子に面会をと」
アルが顔をしかめた。
「なぜ奴らにばれた!」
「儂が知らせた」
三人を案内してきた商人ヤンガスが言った。
「グウェンダリナの忘れ形見の事ならば、彼らに知らせぬ道理はなかろう?」
「インリア?」
「六公家の最後の一つ、と言っても、最古の血筋の一つなのに、彼らは決まった谷を持たぬ。
いくつもの小さな谷に住んではいるが、そのほとんどは、流浪の民。
陰離または穏里の民とみずから名乗る、少数の民だ」
「儂には四分の一、彼らの血が流れておる。グウェンダリナ姫には、十六分の一。
儂がひと所に落ちつけず、商人などしているのもこの血のせいかもしれぬな」
母の血筋、と聞いて、ルオーの興味が動いた。
案内されて入って来たのは、護衛を連れた小さな老婆。
「長老自らお出ましか」
しかめ面のままアルがつぶやく。
「遠来の客に茶も勧めんのか。態度が悪いぞよ、アル坊」
・・・アル坊?
ますます顔をしかめるアルを無視して、老婆はルオーの方を向く。
「よく来たね、ロードリアスのルオー王子。
この婆によく顔を見せておくれな」
ああ。
この人は、母の乳母、老アンナと同じ話し方をする。
「彼を止めてくれ、ばあちゃん。
こいつ、モールの宝物庫に飛び込む気だ」
急にぶっちゃけた言葉になってしまったアルを無視のまま、老婆はキラリと眼を光らせた。
「狙いは・・・聖骸かの?」
驚くルオーに、ふふ、と笑う。
「アル坊に情報を渡したのは我等だよ。
我等は密かに動く民。
話をしよう。インリアはそなたを支持する」
アルの顎がもう一度がくんと落ちた。




