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竜王と黄金のハート  作者: 葉月秋子


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      18 手がかり

18 手がかり



 激しい動揺を見せてしまったルオーに、アルはにこにこと笑いかける。

「わかりやすい人だね。君は。

 詳しく話を聞きたいなら、僕たちに協力しておくれ」


 火を噴くような眼でアルをにらんで、ルオーはうなずいた。

「何を、知っているんだ」

「モールの火の神殿の話をしてあげよう」


もう一度座り直して、ルオーを手招きした。


「モールが国教と定めてから、火の神の信者は膨れ上がった。

 モールの王はラウンドウェルの谷をモールの大司教に与え、元王宮を火の神の神殿に改築した。

 火の神は祝福の見返りに多額の布施を要求する。

 平の僧たちは粗末な衣を着て歩き回るが、権力者たちは色と欲で太った豚どもだ。

 神殿の宝物庫には、金銀財宝が山ほどうなっているんだ。


 ある時。

 一人の僧が、この世に二つとないと言う宝を献上したそうだ。

 それは宝物庫の奥深く秘され、限られたものしか見ることが出来ない。

 だが、ささやかれる噂がある。

 それは、『神の死体』だと」



「手の届かない処・・・セネカが言ったのはそういう事か・・・」

 火の神殿の宝物庫。

 他国人には、侵入不可能な場所。




「聖骸。僧侶たちはそう呼んでいる。

 火の神に敗れた異教の神の骸だというのだ。


 腐敗することない神の骸は、年に一度の火の大祭の時、上位の僧たちにのみ公開される。

 心臓を剣で貫かれて斃れた異教の神が、火の神の像に踏みつけられる形で祭壇に組み込まれ、敗北した神の骸の上で、火の神の勝利を讃える儀式が行われるのだ」


 ぴく、とルオーのこめかみがひきつった。


 三人の逆鱗に触れたことに気付かず、アルは言葉を続けた。

「だから、そなたが協力してくれれば、成功のあかつきの褒賞は・・・」


「それでは遅すぎる」

「ちょっと行って神殿ぶっ壊してくるわ」

「あーっ、腹立つ!僧侶たち、皆殺しにしていい?」


 がくん、とアルの顎が下がった。

 こんな反応が返ってくるとは。


「ま、まて、なぜそうなる!

 相手は火の神殿と傭兵たちだぞっ!

 何を考えているんだっ」


 それを無視して三人は相談中。


「どうせセネカが罠を仕掛けているだろう」

「だが、これほど早く知るとは思っていまい。

 行動するなら早さを重視だ」

「じゃ、いこっかー」


「だから俺たちと協調をっ!」


「では陽動を頼む。

 神殿近くで軍を攪乱してくれ」


「いきなり何を言うっ!準備期間もなしにッ!」

 アルは悲鳴のような声を上げる。


 

 与しやすい若者と粗野な冒険者二人と思っていたのに。

 言う事が過激すぎ!無茶すぎ!

 いったい、なんなんだ、こいつらはっ!

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