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少年と再会

『サンタさんへ


良い子にしているので文才をください』


私が中三の時の悪ふざけの記録(笑)

翌日の朝。と言っても土曜の5時ごろだ。

 小5まで過ごしてきた街に戻ってきて早3週間。

 ゴールデンウィークがすぐそばまで迫る中、ジャージを着て軽くランニングをしていた。

 この町のあちこちを動き回るのは約4年ぶり。

 あの店がつぶれてこんな店になっているなど見て回った。

 もっとも昔は車の送迎が当たり前だったからそんなに歩かず、車のガラス越しに見ただけだ。

 ふと、気になった場所が2つほどあったのでそこにもよることにした。

 昔住んでた屋敷。それと神社。

 先に屋敷の前を通り過ぎたのだが、今は別の人が住んでいるようだった。

 あの屋敷には基本使用人と俺だけだった。両親は基本仕事重視だったから。

 俺が入院する少し前、家の会社が経営危機に陥り倒産、いっきにうちは裕福とはかけ離れた。5カ月ほどで持ち直したが。

 会社が倒産と同時に使用人など雇って置ける金もなく、あれ以来使用人にはあっていない。噂では仕事を成功して良い暮らしを送っているとか。

 ちょっと名残惜しい気にもなりながら神社へ向かった。




「何も、変わってないんだな」

 この町に唯一ある神社だけあってかそれなりに広い。

 道の真ん中を歩くのはいけないとこの神社の一人娘に教えられたので端を歩く。

 ポケットから5円玉を取り出し賽銭箱へ。その前にちゃんと2礼2拍手云々作法は守っている。

 取りあえず外国に住む両親の健康を願ってみた。

「何か、願い事でしょうか」

「まぁ、両親の健康を願いました」

 何気なく後ろから声をかけられ、そのまま自然に答えた。

「親孝行なのですね」

 ふと声の主を見るとなんとゆうか美少女。

 それも可愛い系の。

 黒髪のロングなのだが、七瀬とは違いどこかおっとりとした雰囲気を醸し出している人だ。

 外見的に同年代っぽい。とゆうか巫女さん姿だ。

 いったい今までにこの人は何人切りを果たしているのだろうと気になってしまうレベルの可愛さだ。

「どうかしましたか?」

「いいえ。ところでこの神社はお手伝いか何かですか?(バイト的な意味で)」

 自分の脳内検索をしてみれば、ここの娘さんは『沢野さわの あさひ』この神社の一人娘で兄弟は居ない。言い方は悪いがポッチャリとしていて、ここに住んでいた俺とポッチャリ具合はタメを張っていたはず。

「私はここの神社の娘なんです。名前は沢野旭です。ここら辺では見かけないお顔の方なので分からないのも当然と言えば当然ですね」

 ……おいおい、ちょっと待てなんだこのビフォーafterは。

 あのポッチャリ少女からおっとり美少女が誕生する!?

 誰か教えてくれ!

「私の名前を教えたのでよろしければお名前を教えていただけますか?」

「平津川孝久って言います、たぶん忘れられてしまっている」

 俺が自分の名前を言うと目を点にして、口を開けて固まる。

 美少女がちょっとポカンとしているのは割とかわいい。

「ひ、ひ―くん!?ホントにホントにホントに?ひ―くんなんですか!?」

 ……この無駄にしつこい反応と言えば俺の幼馴染の専売特許。

 うん、認めるしなさそうだ。

「とりあえず落ち着こう。はい、三回まわって御手」

 軽いジョークを実行させる。

 混乱しているときに面白そうなことを実行させるという幼馴染だから分かる遊び方。

 旭は三回生きよいよく回り俺の差しだして手に自分の手を乗っける。

 回った際に形の良い胸がなんとも言えない感じに動き、目が吸い寄せられてしまったのは男として仕方がないと思う。

 で、何故かそのまま手を移動されて抱きつかれる。

「急に転向して、いなくなったひーくんのバーカ」

「落ち着け旭、やむおえない事情があるにしろそう怒らないでくれ」

「いやです。私がこまった様にひ―くんも困らせます」

「…困った、な」

 それから30分ほど抱きつかれ、旭の母親の一声がかかるまで続いた。

 女子特有の良い臭いと柔らかな物体をもうちょっと楽しみたかったのは秘密である。

 その後、旭母に捕まり、何故か一緒に朝食をとることに。

 もちろん旭父も一緒にである。

「いやー久々だね孝久君」

「お久しぶりです。直樹さん、奈々さん」

「見違えちゃったわね~別人かと思ったわよ」

 長年夫婦をやってる感を出す沢野夫妻。

 見た目は普通の40代の夫婦。旭母の奈々さんが少し若く見える位だろうか。

 そして無言の旭。

 その顔は紅葉も一つ季節が戻りそうなほど真っ赤に止まっている。 

 多分、さっきの行動を自分でやって恥ずかしがっているのだろう。

「それにしてもあの生意気な小坊主がこんなに立派になるとは思わなかったよ」

「さりげなく酷いですね。昔のことは忘れてください。これでも色々と努力した結果なんですから。あ、この浅漬けおいしいですね。後で作り方教えてもら手良いですか?」

「良いわよ、あとで教えてあげる。それにしてもあの我が儘で泣き虫で口が達者な孝久君が自分で料理なんてねぇ」

「個人的には旭の変貌に驚きです」

「ひ―くん、すごくかっこよくなってるし。私なんて所詮犬に触角が生えたようなものですよ」

 ………犬に触角って変わってる気がするんだがそれは俺だけなのか?

 犬に触角ってもはや宇宙生物だよ。

 とゆうかすねてるし。

「俺的にはすごく可愛くなってて誰だか気づかないくらいには変わったと思うけど?」

「な、ななな何を言ってるんですかひ―くん、そんなこと言っても何も出てきませんよ!」

「そんなつもりはないし、単純な感想だ。そもそも昔っから俺基本的に嘘はいたことがないだろ?」

「そうですけどもっ!」

 顔を真っ赤のまま講義をするがただ可愛いだけである。

 そして直樹さんと奈々さんはこちらに何か熱い視線を送っている。

「「…そんな、若いっていいわね(な)後はお若いお二人さんで【自主規制】でも…」」

「「しませんよ!?」」

 思わず下ネタなことを言われたので全力でツッコミを入れる。

 何だろう、祖父の稽古よりよっぽど疲れるぞこれ。

 




 朝食から3時間後の午前10時。

 久々に遊ぼうということになり、駅で待ち合わせ。

「すみません。待ちましたか?」

「いや、ちょっと早く来ちゃったけど待ったかいがあると言うか、なんとゆうか眼福です」

 台詞が何かデートの待ち合わせっぽい。

 で、なぜか二人とも制服。普通私服だろ?と言うツッコミがあると思うが朝日の場合、本気で私服が和服とかしない。小学校の時は洋服も着ていたのだが、中学校に入ってから制服を着ることが多くなったのであまり洋服を着る機会がなかったのだという。

 元からそんなに服に興味がないと言うのも影響しているのだろう。

「わざわざ付き合わせてしまって申し訳ありません」

「その敬語どうにかなんない?」

 久々に再開してからずっと思っている事。

 何故か敬語キャラになっていることだ。

 いや、昔っから優しい口調でのほほんとしていたのだが、なんか敬語を使われるとちょっと高嶺の花な感じがする。

 一つ年上の専属のメイドさんも敬語だったけど、同い年の幼馴染に敬語を使われるのは抵抗がある。

「中学校に入ってからの癖みたいなものですし、気にしないでください」

「いや、気にしてくれ。俺も一応さっきみたいに敬語使ってないから」

「……途中変な言葉遣いになっても笑わないでくださいね」

「もちろん」

 そういうと突然手を握られ、

「それじゃ、いこっかひ―くん」

 可愛らしい笑顔でそんなことを言われた。

 ちょっとむずかゆい気持ちになるが、本当の意味で再会した気持になった。


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