01
オリジナル2作目です。
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とある小さな田舎の一般的な夫婦のもとに双子の兄弟が生まれた。
その田舎は双子に対して〝1回の出産で2倍の幸せ〟という考えが根付いた土地。久しぶりの双子の出生は村あげての大騒ぎとなったが、だからといって彼らは特別扱いされるわけでもなく。タク、サクと名付けられた双子の兄弟は、他の子どもたちと同様に年齢相応のびのびと育った。
それが大きく変わったのは、15歳の成人の儀式での職業付与。
兄のタクが、希少性が高く人々から敬われる職業〝聖騎士〟の神託を受けた。
神殿内は一時騒然とし、確率として200万人に1人だという聖騎士の誕生に歓喜に沸いた。
「スゲーなタク!!」
はにかみながら壇上から戻ってきた兄のタクと、本人以上に興奮している弟のサクはハイタッチをする。
もう数百年以上も前に、聖騎士を含む勇者パーティーに魔王が討伐されて以降、この王国は安寧が保たれており、聖騎士、勇者などの職業は形骸化された称号職業となっていたが、それはさておき、大変名誉なことだ。
「びっくりした〜⋯⋯いや、自分でもすごいと思ってるけど。父さんと母さんに何て言おう?」
「いやお前心配するとこソコぉ!?」
聖騎士っつったら即上流階級の仲間入りじゃんお姫様とか聖女様とかキレイな娘にも知り合えるし汗水流して働かなくても食いっぱぐれることねぇし最高じゃんと、サクはとにかく羨ましがったが、タクは「そんな俗物的な」と苦笑するだけだった。
しかしまだ興奮冷めやらぬうちに、神官によって次のサクの名前が呼ばれる。
「がんばれよサク」
「がんばるって何をだよ。まぁ俺は親父と一緒で〝農夫〟とか、そんな感じじゃねえかな」
神のお告げの一種である職業付与は、自身の親と同じである職業を賜ることがほとんどだが、この王国では賜った職業がいわゆる一般職であれば、例えば〝農夫〟であっても〝料理人〟や〝鍛冶職人〟の異業種に就労することも可能だ。
しかし一方で希少職───タクが賜った聖騎士のような特殊能力を必要とするものは、例外なくその職業に従事することになる。
(でもタクが聖騎士か───もう一緒にいることはなくなるんだな)
聖騎士は王都にある中央神殿に集められ、そこで死ぬまで神に仕える。
双子として生まれ常に行動を共にしてきたのに、それができなくなってしまう───半身を失うような、そんな喪失感とでも言うのか。
しんみりしてしまったサクは頭を振る。まだ自分の職業付与は終わっていないと、思考を切り替える。
きっと何が出ても、双子なのに兄の聖騎士と比べたらショボいと、頼んでもないのに周りに比べられて嫌な気分になるんだろうな───俺も〝騎士〟とか〝竜騎兵〟とかカッコいいのがいいなぁとか。そういや子供のときは〝財宝回収専門冒険者〟になりたいって思ってたなとか。
いやいやグダグダ妄想するより覚悟決めようじゃねえかと、サクは壇上に上がり、水晶を持った大神官の前に跪き頭を垂れる。
今頃透明だった水晶の色が変わり双子の兄と比べたらと嘲笑か、それともやっぱり双子の兄弟はすごいと称賛の声か───
しかしいつまで経っても大神官が神託を告げない。それに大聖堂の中は先ほどと打って変わってシーンと静まり返っている。
不思議に思い、ちらりとサクがあたりを覗うと。
立派な髭面の大神官は、哀れみを含んだ目でサクを見下ろしていた。
「君の職業は───〝暗殺者〟だ」
「アサシン⋯⋯?」
呆然と、大神官の言葉を繰り返すことしかできなかった。
暗殺者。
聖騎士と同じ───いや、それ以上に希少職だが、犯罪に堕ちると国家転覆の危険もあるということで、サクはその場で騎士団に拘束された。
後ろ手にされ手錠を掛けられ、犯罪者のように連行されていく。
「ちょっ、何するんだよ!? 離せ!!」
「サク!!」
タクが悲鳴のようにサクの名前を呼ぶ。それを背中越しに聞いたのが、サクが聞いた最後の肉親の声だった。
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