6. 「記憶の唄」
CDを持って俺の部屋に向かいながら、
あることに気がついた。
なんで母さん、CDなんか瞳に?
俺の部屋で聞くのは母さんもわかってんのに・・・・・
ま、聞けばわかるか。
それより、これが何のCDか、だ。
裏を見る限り、どうやらシングルのようだ。
「right・・・」。
そこからは擦れて読めない。
曲名は・・・・・
「ブッ!!」
思わずふきだした。
「どしたの?水希」
「いっ、いや!何でも・・・・」
「変な水希」
クスクス笑いながら進む。
そりゃあ驚くさ。
曲名も擦れて読めないけど、
最後が「ラブソング」なんだから。
母さん・・・・苛めか?
そうしているうちに部屋についた。
ココまで来たら聞くしかないだろ・・・・・
「水希、かけていい?」
「あっ、ああ・・・」
コンポの電源を入れる。
曲が流れだす・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
知っている唄だった。
知っているどころか、俺がいつも唄っている唄だった。
そうか。父さんが好きだった曲・・・・・
瞳を見る。
「・・・・・・・」
目を瞑って、静かに聞いている。
「綺麗だ」。
素直にそう思った。
さっきまでとのギャップに驚く。
ふと、曲名を思い出した。
忘れられていた名前。
「自分勝手なラブソング」だ。
曲が終わる・・・・・
「・・・・・水希・・・・」
「ん?どした?」
「もし、さ。水希があたしの事・・・・・やっぱり何でもない」
俺はわかっていた。
瞳が何を言いたかったのかを。
だから・・・・
「いいよ」
「えっ?」
「唄ってやるよ。この唄を」
「・・・・・・・うん!」
素直に喜ぶ。
自分で決めて、自分でやって、自分で満足する。
そんな事ない?
俺がアイツを守るのは、正にそれだ。
誰かに頼まれたとか、アイツが望んだとか。
そんなんじゃなくて、
俺がアイツの泣き顔をみたくないだけなんだ。
俺がいなくなる前に、アイツに何をしてやれるだろうか。




