10. 「最後の歌詞」
それから、瞳は泣いた。
それ以上泣いたら死ぬぞ、って言っても泣いた。
そして出発当日。
「じゃあ、行ってくるよ」
「気をつけてね」
「うん・・・・・」
見送りに瞳は来てなかった。
あえて俺はそれには触れず、母さんとだけ会話を交わした。
「じゃ、飛行機来たから・・・・・」
「いってらっしゃい」
笑顔で言う母さんに俺は、
「行ってきます」って返した。
ゲート前。
「水希!」
「・・・・・何?」
何かデジャヴ。
「これ・・・・・」
「?手紙?」
「飛行機で見て」
「・・・わかった。じゃな」
「・・・水希!」
「何だよっ・・・・」
瞳はまた泣いていた。
「泣くなって。最後の最後にその顔か?」
おどけて見せるが泣きやまない。
あまりに泣きやまないから・・・・・
「瞳、ちょっと来い」
「?・・・・」
キスをした。
「もう泣くなよ?」
「・・・わかった。もう泣かない」
「・・・・よし!」
「じゃ、行ってきます」
俺の言葉に瞳は笑顔で
「行ってらっしゃい!」
って言ってくれた。
飛行機内・・・・
そう言えばさっきの手紙・・・・
ポケットから取り出して中身を見る。
水希へ
水希、ありがとう。
こないだの唄、すごく嬉しかった。
あたし、泣き始めると全然泣きやまないから、あのときは頑張って我慢したんだよ?
今まで水希と過ごした日々は、ホントに月みたく綺麗に残ってるよ。
永遠の別れじゃないけど、絶対忘れないよ。
水希はいつからか分かんないけど、
あたしはずっっっっと前から好きだったよ。
もしかしたら始めて会ったときからかもしれない。
だって水希、優しいから。
多分こんな事、言葉にはできないよ。
こんな事口にしたら、恥ずかしくて死んじゃいそう。
水希が留学するって聞いた時、あたしは気付いたら走り出してた。
水希の気持ちを訊きたくて。
水希が困るようなことばっか書いてあるけど、消したりしないよ。
水希には、知っておいてほしいから。
あの日、水希からもらった唄を、忘れないようにここに記すよ。
「自分勝手なラブソング」
自由でいてほしいけど、僕のこと見ていてほしい。
キミの笑顔が見たいけど、他の奴には見せたくない。
こんな事言ったら、キミは困った笑顔になるんだろうな。
この星には60億人の人がいて、その半分が女の子で。
てことはキミは、30億分の1で。
でも、僕はキミの事30億分の1だなんて考えてないよ。
何億分の1だろうが、キミはキミで。
僕がキミに出来ることは全然無いけど、キミから教わったことは覚えてるよ。
キミから教わったことだけど、もう一度キミに贈ろう。
僕とキミで忘れないように。
キミから教わったこと。
そのまま言うよ。
最終話です!
特にこれと言って面白い所は無かったのですが、自己満足で書ききりました。
執筆中は自分の書いた文ににやける始末…
さてさて、のんびり次回作でも考えましょうか。
それでは皆さん、良い夢を。