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最後の歌詞  作者: 創成
9/10

9.  「あの日の約束」

「・・・という事で、今日から進路調査の為の2者面談をする。

ま、とりあえず大学に行くか就職するかの2択を聞くだけだから深く考えなくていいぞ〜」

「進路調査かぁ・・・・・・。水希はどうするの?」

「ん?俺か?・・・・決めてない」

「ふ〜ん・・・・・」

俺は嘘をついた。

ホントはとっくに決まってる。

瞳に逢えなくなるように、留学する。

金?何とかするさ。


「水希、いいぞ」

「りょーかい」

・・・・・・・・・・・

「ガラッ」

「よし水希、座れ」

「あ〜い」

「お前は・・・進路はどうするんだ?」

いきなりかよ!

ま、いいさ。

「・・・・留学します」


「水希〜、帰ろ?」

「・・・お前、待ってたのか?」

「うん。鍵忘れてきちゃってさ」

「・・・ごめん。俺寄るとこあるからさ、先帰ってろ。ほら、鍵」

瞳に投げ渡す。

「そっか・・・・わかった」

「んじゃ、気をつけろよ?」

「大丈夫だって!」

「じゃ、な」

瞳には・・・・・自由でいてほしい。

俺なんかよりずっといい奴がいるさ。


それからも俺は瞳を避けた。

俺に対しての気持ちを強くされても困る。

それに、俺も気持ちを冷まさなきゃならない。

でも、離れれば離れるほど近くにいたくなった。

俺ってこんなに独占欲強かったっけ?

それでも離れて、「これも瞳の為だ」って言い聞かせた。

瞳の気持ちも知らずに・・・・・


卒業式前日・・・・・

留学することを母さんに伝えた。

旅費や生活費は自分で何とかすることや、

瞳には言うな、という事も含めて。

母さんは静かに泣いた。

「何でも事後報告なんだから・・・・」

と愚痴を言い、最後に「おめでとう」と言われた。

ありがとう、母さん。

こんな俺のわがままを認めてくれてありがとう。


母さんが泣きやんでから、俺は出発の日取りを言った。

「卒業式の次の日・・・・2日後に行く」


卒業式当日。

卒業式も終わり、そろそろお開きかと思ったとき、瞳に呼ばれた。

「水希!」

「・・・・何?」

息が荒い。走ってきたからか?

「留学・・・するってホント?」

「お前・・・・それ誰から・・・・」

「おばさん・・・そんな事どうでもいい!留学ってどう言う事?何で?」

「・・・俺がしたいからするんだよ」

「・・・・・・・・・」

「ぐっ」

「え?」

一瞬混乱する。

瞳に引っ張っていかれる。

「こっち来て」

すたすた歩く瞳。

「どうして言ってくれなかったの?」

「・・・好きだからだよ」

「え?」

「好きだから、離れられなくなるから」

「水希・・・・・」

そして小さくありがとう、と呟く。

「水希、約束したよね?」

「?何をだ?」

「あたしの事好きになったらあの唄、歌ってくれるって」

「・・・・ああ、いいよ」


・・・・・・・・・・・・・


伝えたい言葉はこんな唄一曲に収まらないけど、それでもいい。

瞳が俺の事を想ってくれるだけで、いつだって強くなれるから。

自信なんてないけど、誰かに認めてほしいわけじゃないんだからそれでいいさ。

初めてそう思えたよ。

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