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調査

俺が考え事をしていると、いつの間にか瞬が隣に座っていた。

扉が開く音や、足音も聞こえなかったはずだが?

瞬は呑気に携帯をいじっている。

「いつからそこにいたんだ!?」

「え?ついさっき来たばかりだけど?」

瞬があっけらかんと答える。

来たばかりだと?どういうことだ。

混乱する俺に、海斗が話しかける。

「それは瞬の能力です。ちょうど話そうと思っていたところです。私たちの能力を紹介しましょう。瞬も構わないですよね」

「うん。いいよ〜」

一呼吸の間を置いて、海斗が話し始める。

「私の能力は《人形遊び(マリオネット)》です。名前の通り、人を人形のように操ることができます。しかし、反動が大きく、長時間の使用は脳細胞の破壊を招きます」


マリオネット……。

強すぎる。反動があって、ようやくほかの能力と互角だ。海斗の一存で、体が自分のものでなくなる。俺が出会ってきた奴らのなかでも、ダントツで強い能力だ。本当だとしたら、な。


「瞬の能力は《瞬間移動(テレポート)》です。私と違って、この能力は非常にコスパがいいです。彼女の前では、間合いは意味を成しません」


テレポート……。

一見弱く聞こえるが、よく考えると恐ろしい。気づいたら後ろに立っていて、いつの間にか頭を撃ち抜かれている。

……絶対に敵には回したくないな。


「今日は、何をするおつもりで?」

海斗がメモを開きながら聞く。

「あー、そうだな。現状整理をしたら、調査に行く予定だ」

「分かりました。それと、机の中に役立つ物を用意しておきました。参考にして下さい」

海斗はすばやくメモを取り、ヘッドホンをつけ、

ゲーミングPCと向き直った。


机に手を入れ、中身を取り出す。それは、監視カメラの死角が細かく書き込まれた地図だった。よくこんな物を作れるな。簡単に作れるようなものじゃないぞ……1年ほどでこれを作れるものなのか?

だが、使えることには変わりない。これを元に調査の目星を付けれそうだ。

漫画棚近くの椅子で漫画を読んでいるかんづめに声をかける。

「かんづめ。作戦を立てるからこっち来い」

「ちょっと待って!今主人公が相棒に裏切られるシーンなの!!」

かんづめは漫画にのめり込んでいる。

「そんなのはあとでいいだろ?今は仕事に集中しろ」

俺がかんづめの肩を掴もうとしたが、かんづめは俺の手をヒョイと避ける。

「あと5分!」

そう言って、かんづめは再び漫画の世界に行ってしまった。……任務中だぞ。もっと自覚を持て。

時間が惜しいので、かんづめ抜きで作戦を立てることにした。

バッグから名簿と付箋を取り出し、開いた状態で机に置く。

被害者の数は30人。ちょうど2年半前に失踪事件が始まった計算だ。つまり、犯人は2年半はここにいるはずだ。


名簿のページをめくりながら、思考をまとめる。

Bランクを攫える実力があることから、ランクはB以上。そして、攫われた時期が早い人ほどランクが低い。犯人もこの学園で実力を付けているのだろう。


考えたことを付箋にまとめ、名簿に貼り付ける。

ペタペタと貼っていると、いつの間にか名簿が付箋で埋まっていた。

……またやっちまった。何でも付箋にまとめてしまう。昔からの悪い癖だ。

付箋まみれの名簿から目を逸らし、席を立つ。

こっそりとかんづめに近づき、

後ろからかんづめの腕を掴む。

「え?もう!?まだ5分たってない!多分!」

ジタバタするかんづめを無視して、俺は教室の外へとかんづめを運んだ。


かんづめに先程の地図を見せる。

「今日は、監視カメラの死角が多い、建物の外を調査しようと思う。死角につくまでは、あくまでも散歩してるようにふるまうこと。いいな?」

「はーい……」

かんづめはどこか不満そうだ。

「任務に私情は捨てろ。油断してると死ぬぞ」

「……ごめん」

かんづめは下を向いて、ボソッと呟いた。

「分かればいいんだ。行くぞ」

俺は廊下を歩き出した。

後ろからかんづめが付いてくる。

そのまま大した会話もなく、体育館の裏に着いた。


「ここが最初の目的地だ。俺は地面を見るから、お前は周りを見てくれ」

「うん。分かった」


軽く会話をして、俺達はそれぞれの持ち場に着く。

地面は足首ほどの草が生い茂っていて、

一見、人がいた形跡など見当たらない。

が、よく見ると、一カ所草が枯れている場所がある。


除草剤でもまかれたか?しかし、ここだけ使うメリットがない。いやまて、この学園は普通じゃない。何か、使う必要があったんじゃないのか?


「ねぇ玲哉!これ見て!」


かんづめが興奮した様子で俺に話しかける。

壁には、直径10センチほどの丸いくぼみが、何箇所も見られた。


「これはとんでもない証拠じゃないの!?さすが俺!今日の夕飯はからあげだね!」


かんづめは飛び跳ねて喜んでいる。

普通の人間が、鉄筋コンクリートの壁がへこむほどの力を出せるはずがない。恐らく、この傷は能力由来のものだ。

そうすると、一カ所草が枯れていた場所も、能力由来だと考えていいだろう。

……つまり、ここで戦闘があった?だが、引きずられた跡などの、攫われたという証拠がない。

ただの喧嘩かもしれない。

何にせよ、これだけでは何もわからん。

もっと調査しないとな……

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