3、カテキョ
「アキラ、お前の兄ちゃん大学生だろ?カテキョやってくんないかなぁ?カテキョ!」
「・・・・・あ?」
「家庭教師だよ!勉強!教えてくんないかなぁ?」
「・・・・・え?兄貴は・・・芸大だぜ?」
「うん」
「・・・・・え?兄貴は・・・鼓で、大学受かったんだぜ?」
「うん」
「え?」
「何?お前の兄貴、俺よりバカなの?」
「ハァ?お前よりゃマシだろ?多分?」
「なら問題ねー。頼むよ。な!」
「はぁ〜・・・」
…お願い、勘弁して!…
数日後、修人ん家。
「うーむ。足し算、引き算、掛け算、問題無し。割り算かぁ〜・・・。小二、レベルだなぁ。こりゃ〜・・・。いいか?修人、悪い事は言わん。諦めろ。大学は・・・」
「気合いっス!」
…お願いします。神様・・・今なら、まだ、チェンジを・・・…
「しかしなぁ〜修人、家庭教師の時給がメシってどういう事だよ?飯って?」
「あぁ、食いますか?飯?」
「いや、まぁ、あるなら食うが、しかしなぁ〜」
狭い家の台所で料理をする修人。その手際は熟練の料理人を思わせる程の腕前であった。思わず唸る、アキラの兄貴。修人は中華ファミレスでのバイトが一年以上続いていた。ある程度の物なら問題なく作れた。
「天津飯っス」
「へぇ〜、スゲーなこりゃ!うん、うん、美味い!」
「しっかし、割り算、難しいっすねー」
「修人!お前、これだけの腕があるなら、やっていけるよ。料理人目指せよ。大学なんてやめてさ?」
「・・・」
修人は仏頂面である。
「いや、俺は褒めてんだぜ!マジで。スゲーよ。この天津飯!」
「・・・」
修人はそっぽを向き涙ぐむ。
「・・・うーむ。分かった!分かったよ!お前がそこまで言うんなら、トコトン付き合ってやるよ!」
修人の笑顔が乱れ咲いた。




