昼ドラ
北の国、ノースウォンドのお話。
「はぁ~」
「どうしたの?」
二人の女性が、寝床で話をしている。
「最近ね、彼氏と付き合い悪いんだ。この前話をしても、ノッてくれないし。倦怠期なのかなぁ」
「あ~、あるある、そういうの」
「たまにしか会えないから、私も張り切ってるんだけどなぁ」
「それならさ、こういうのはどう? ほら、惚れ薬。これで彼氏を乗り気にさせるの」
そう言って、一人の女性が懐の中から瓶を取り出す。中には水色の液体が入っている。
「そういえば、そういう魔術あったね。でも、それで彼氏をその気にさせてもなぁ……」
「だーいじょうぶだって! 私達の体ならドキッとさせるだけだから! きっかけと思えばいいって。あとは押しでいけるって!」
「……うん! 試してみる! ありがとう! 私達、友だちだよね!」
「あったりまえよ! それじゃ、私、自分の寝床に帰るね!」
そう言って女性の一人は寝床から飛び出した。
「ふぁ~あ。それじゃ、私も寝るかなぁ」
もう一人の女性は寝床に丸まり、眠りについた。
待ち合わせの日。この前と同じ場所で女性と男性は顔を合わせる。周りはガヤガヤと騒がしい。
「おまたせ、待った?」
「ん~ん、今来たところ」
そう挨拶を交わしながら、女性の方は今持っている瓶をいつ飲ませるか考えていた、そんな時であった。
「なぁ、俺達、別れないか?」
「……えっ」驚いて女性は手に持っていた瓶を落とす。騒がしい周りが静かになった気がした。
「俺達がここにいることで、皆が迷惑してるんだよ」
「……どういう意味? 訳わかんない!」
「今落とした瓶の中の液体、俺に飲ませるつもりの惚れ薬だったんだろ?」
「……!」
「悪いけど、そんなので、お前を好きになっても、嬉しくないよ」
そう吐き捨て、男性は去る。唖然としていた女性だったが、全てを察した。
(惚れ薬の事を知っていたのは私とあの子だけ。あの子は私と彼氏を別れさせるため、惚れ薬の事を歪曲して彼氏に伝えたんだ)
女性の頭の中は怒りに満ちた。周りがまた騒がしくなる。
怒りが頂点に達した時、女性の足に水がパシャッとかかる。
「なんなのよ! 五月蝿いわねッ!」
そう雄叫びを上げ、女性は炎のブレスを吐いた。
辺境の騎士隊長が叫ぶ。
「6年前にこの町を襲った大型ドラゴンがまたやってきやがった! 一匹のドラゴンは去ったが、もう一匹がまた攻撃を始めたぞ!」
冒険者の一人が絶望する。
「あのドラゴンが落とした巨大な瓶の液体に触れた奴は、全員心臓麻痺で即死しやがった。あんな奴に、勝てるのか……?」
老練の魔法使いが嘆く。
「儂らはドラゴン語が分からないが、あのドラゴンは怒り狂っているように見える。儂の渾身の水魔法も全く効いていない。
嗚呼、あの炎のブレスが神の裁きとでも言うのか……」




