凡人の無能力者だった
昨日、不完全燃焼だったので絡んできたのだろう。誉拓也とその取り巻きが絡んでくる。僕の態度がさぞ気に入らないといった感じだ。胸ぐらを掴まれる。
「なんだよ、その目、ランガのくせにちょーしのんなよ!!」
拓也は手に炎を纏わせた。それの腕を学友が焦り掴んで止める。
「ちょっ!誉さん、授業外での学生同士の能力による攻撃はご法度っすよ!最悪、退学処分っす!」
拓也は呆れ声で学友、奏音を宥める。
「あのなぁ、奏音。そういうのはバレなきゃ、処分もなにもねぇんだよ」
「でも」
「それともなにか。お前が報告でもすんのか?」
「いや!そんなこと!」
奏音が腕を話す。それに拓也はにんまりと笑い、ぺろりと舌なめずりをする。
僕は、このままじゃ殴られるだろう。だらりと垂れ下がった両腕。だらしないな僕は。
今なぜか、脳裏に昨日の生徒会長の言葉を思い出した。ランガだとかナナリーだとか、もう嫌だ。ずっと、誰かに搾取されて生きるのはもううんざりだ。掴まれた手を握りながら言う。
「やめてくれないか!もううんざりだ。君の何が偉いんだよ!」
「は?偉いに決まってんだろ、粋がってんじゃねよ、てめえは地面に蹲ってろよ!!!炎鬼の鉄槌」
ヤバい、本当に死ぬ。咄嗟に手を前に出す。もっと力があればこんなもの。
驚いたことに、目の前でぐるぐると竜巻のような風が拓也の炎を飲み込む。
「え?」
「は?」
そして、跡形もなく、消えたのだ。
「てめぇ、異能使えんのかよ、初めっから言えよ……ちっ」
拓也は手を離し、舌打ちをしてドアを開け放ち、空き教室を後にした。
「なんだったんだ今のは。」
僕は右手を見つめる。広い空間でその声だけが反響した。




