027ー1 ゼノ要塞城の狂騒『第一幕』シーン1
【修行履歴】
2019年11月23日
①27話を5分割しました。
②文章の訂正をしました。
③主人の思考を表す、表現方法の変更をしました。
ブォーーーン!
ブォーーーン!
角笛の音が、あらゆるところから響いていた。最初、その音は、遥かな西から微かに鳴り響く音だったが、今では西側のあらゆるところから鳴り響く大きな音になっていた。
夜になり、翔達のゼノ要塞は、夜の闇に包まれたが、天守から見える西側の森は、ゴブリンの大軍団が掲げる、松明の明かりで、空が赤々と燃えるように明るくなっていた。
ゼノ要塞の東側の城壁に作られた物見には二人の冒険者が立って西の平原を注視していた。その冒険者の一人は角笛が鳴るたびにビクビクしていた。
「おい。大丈夫か。さっきから震え通しじゃないか」
「すまん。ランカーにも入っちゃいない、俺みたいな半端もんが相棒で」
「いいや。今のうちに怯えられるぐらいの奴の方が、まだ良いんだよ。ダメな奴は実感が湧かないから平気な顔をしていたりする。しかし、そんな奴は、いざとなった時に腰がひけるもんさ。お前は才能がある。今のうちに何度も自分の死をイメージしておけ。いざとなったら火事場の馬鹿力が出て、生き延びられるかもしれん」
経験豊富そうなランカー冒険者が、そう優しく説明していた。
「お? 何かくるぞ」
怯えて、震えていた冒険者が夜空を指差しながら言った。
見ると夜空に、微かに浮かんでいる巨大な影が二つあるのが見えた。
「おいおい。味方だ。攻撃すんなよ」
ランカー冒険者は、既に攻撃体制に入っている相棒に笑いながら言った。
「しかし、いざという時にそうやって、体が動きゃ立派なもんだ」
「あれは、味方なんですか」
「頭がいっぱいで覚えてないかもしれんが、つい三時間ほど前に、ここを二頭のペガサスが飛び立っただろ。あれは、それが帰ってきたんだよ」
ランカー冒険者は、ペガサスが要塞城の方に降りて行くのをじっと見ていた。
「おお。綺麗なネェちゃんが一人増えたようだな」
ランカー冒険者は、夜目と遠目が効くスキルを持っているのだ。
☆
要塞の中では、翔達を初め、大勢の避難民と共にくつろいでいた。
「帰ってきたよ」
感知していて、メロが知らせた。
「よし。迎えに行くぞ」
翔は、そう言うと駈け出して、要塞の屋上に向かった。
要塞の屋上には、ヘリポートならぬペガサスポートが作ってあった。
翔とメロ、剛腕のアルマ達、火神のラビノビッチ達が翔に付いて来ていた。
「翔。本当に復活の天宮が、こんなところに作れるのか?」
アルマは、質問した。
「大丈夫だ。俺達には馴染みのシスターがいるんだ。彼女なら俺達の状況を説明したら助けに来てくれるはずだ」
「しかし、こんな設備も無い所に復活の天宮を作るって発想が信じられん」
アルマは、肩をすくめてひとりごちた。
「設備など作れば何とかなる。要は復活を有効にする要素が必要なだけだ。要素は復活魔法。復活の天宮。シスターの三つだけだ」
「お前の話を聞いていると、神聖国アガリアンの権威も形無しだな」
「アルマは、魔法が不得意だろ。復活魔法は一種の転送魔法みたいなものなんだ。大掛かりな魔法術式を持った魔法陣に接続すればバイタルの条件が満たされれば自然に復活させる事ができるのさ」
「よく分からんな」
アルマは、両手を上げて降参の構えを作ってみせた。
「まぁ、理論的な事はともかく。ここに復活の天宮を作れば、思い切った作戦も取りやすい。そうなれば、ここを陥落するのは、相当に難しくなるはずだ。そのうち王国から援軍も来るだろう」
翔は、笑いながら説明した。
「お前は、本当に想像を絶する奴だな。こんな巨大な要塞を魔術で作るだけではなく、さらに復活の天宮を要塞の中に作るとは、そんな隠し玉を考えるとは、驚きだ」
絶対絶命の時に、復活魔法があるのと無いのとでは、どれほど士気に大きな違いがあるだろう。死の恐怖も、復活障害も、考えただけで恐ろしいが、完全に死ぬのと、復活するのとでは、やはり大きな違いがある事は、間違いない。
「ここに、復活の天宮があれば、何度でも復活魔法をかけることも可能だろう」
「おいおい。復活なんぞは繰り返しても全く役には、立たんだろうが」
「いや。俺には復活障害を和らげる魔法があるんだ。レベル低下は避けられないが、ゴブリンを好きなだけ狩り取ればまた元に戻るだろう」
「な、何を考えてるんだ?」
「せっかく闘うんだったらレベル上げに繋がるようにするべきだろ?」
アルマは、翔の回答に唖然として翔の顔を覗き込んだ。
そんなアルマに翔は説明してみせのだった。
「お前達は、知らんだろうが、復活はレベル上げには必要条件なんだ。その恩恵は大きい。俺達は復活障害なぞ少しも恐れない」
「さすがに不死身の賢人会だな。お前達は、本当に想像を絶した奴らだ」
☆
「翔。来たよ」
メロは、空を指差して、ペガサスが帰って来た事を伝えた。
メロの指差す空を見ていると、暫くしてペガサスの影が見えた。
「凄い感知能力ね」
剛腕のパーティーの魔術師マリレーナ・リビーニが感嘆して言った。
「ああ。こいつの魔物の感知能力は俺達の中でも一番高い」
翔は、珍しく褒める。
ペガサスは、直ぐに降りてきた。普段は巨大なペガサスだが、今日は、普通の馬の大きさになっていた。ペガサスに乗っているのは、シスターサラとレイラの二人だった。
ペガサスは、直ぐに地上に降り立った。
「サラ。久しぶりだな。無理なお願いを聞いてもらって感謝するぞ」
翔は、そう言いながら、ペガサスの上のサラに手を伸ばした。
シスターサラは、満面の笑みで翔の手に飛び込んできた。
「翔さん。話は聞きました。復活の天宮を作ると言うのは本当ですか?」
「ああ。サラなら復活の天宮の事を細かく知っているだろう。直ぐに作業に入るので手伝って欲しい」
「はい。このような大変な事になるとは。皆さんはゴブリンと、本当に相性が悪いのでしょうか」
「本当だな」
翔は、そう答えながら大声で笑った。
「勝算は、あるのですか?」
ズバリとサラが尋ねた。
興味本意ではなく、職務として聞いているのだ。復活の為には、彼女の祝福が必要なのだが、どれくらいの回数、祝福が必要なのか考えての事だ。
「相手次第だが、勝ちは、難しそうだな」
翔は、シビアな答えを出した。
「今回のゴブリンの軍団をやっつけるには、もう少し強い奴が必要だ。神聖王国にしろ、ギルドにしろサッサと動いてくれないと全滅するだろう」
「それ程、ゴブリンが危険な状態に?」
サラは、悲しそうに目を伏せた。もちろん自分の事など何の心配もしていない。彼女の心配するのは翔や難民達など自分以外の人達に対してだ。
「ああ。ゴブリン達の上位者のレベルが百を超えている場合は、なかなか勝てないだろう。しかしそれでも負けたく無い。何度死んでも奴らを全滅させるまで戦う。それが天宮の意味だ」
「私には、良く分かりませんが、皆さんがいつもと変わっていなかったので安心しました。今度は、私も皆さんと一緒に闘えることが嬉しいです」
シスターサラは、毅然とした態度で言った。彼女の目は翔の方を直視して決意の固さを示していた。
「死地に招くようで申し訳ない。危なくなってもシスターだけは、必ず何とかする」
「いいえ。そんな事よりも一人でも助かるように助力させてください」
手直しも大分、進みました。
ゴブリンの大軍の絵を書こうとして、資料を集めています。
イメージを膨らませる絵が描けるといいのですけすが、上手く掛けません。才能に問題が.......




