025ー2 ポップ、ステップ、大要塞 2 *
【ゴブリン軍本隊、軍旗付近】
上空から戦況を俯瞰する翔の眼下では、イリスが楽しげに軍を蹂躙し、レイラの斬撃は一振りで数百を薙ぎ払っていた。
アリスが展開したマーカーを頼りに、翔はレベル56の『ゴブリン大将軍』の元へ急降下する。
「お前が大将だな」
「人間、俺様の前に立てたことを誇れ!」
大言壮語する将軍の斬撃を、翔は金棒で軽くいなしてカウンターを見舞う。実力差は明白だった。
焦った将軍は、自分を助けようとした部下を盾にし、あろうことか自らの手で切り裂いた。その非道さに、翔の怒りが頂点に達する。
「お前はまだ、チビジェネラルだ」
翔が放った第七グレイド魔法『爆炎』は巨大な火竜巻と化し、将軍を跡形もなく焼き尽くした。
指導者を失い、四方からイリスたちの猛攻を受けたゴブリン軍は、わずか一時間で壊滅。統制を失った群衆は恐慌状態に陥り、瓦解していった。
☆☆☆
【一方、砦から五キロ西の平原】
「ありゃあ、相当な戦力だね……」
呟いたのは、S級ランクパーティ“剛腕”のリーダー、アルマ・ベスト。
彼女たちの視線の先には、翔が瞬時に築き上げた砦と、それを取り囲むメロの召喚獣たちがいた。
魔術師マリレーナの遠視によれば、黒曜犬や龍牙兵など、一体でも討伐隊が組まれるレベルのダブルS級魔物が数百体。
「たかがこれっぽっちの討伐隊で、どう対処しろってんだ!」
絶望的な戦力差に悲鳴を上げるアルマ。しかし、砦の中に女子供の気配を感じ取った彼女は、見捨てることができなかった。
旧知のA級パーティ“稲妻”のリーダー・バッシュに、危険を承知で砦の調査を依頼する。
「鼻血が出るまで恩返ししてやるよ」
「そいつぁ怖えぇな!」
軽口を叩き合いながらも、決死の覚悟でバッシュたちは、異様なオーラを放つ砦へと走り出した。
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