019ー2 水晶迷宮の『始まりの部屋』
【修正履歴】
2019年9月24日
○第19話を7分割しました。
○分りにくい表現を訂正しました。
○少し加筆しています。
○主人公等の思考を表す表記の方法を以下のように変更しました。
(主人公等の思考)
↓
────主人公等の思考。
なお、この変更は、順次行っています。
表記がしばらく混在しているので、お許しください。
【第一階層・始まりの部屋】
レイラの助言通り、『始まりの部屋』の棚には食料が完備されていた。
翔たちはマジックバッグへの補充と部屋の出入りを繰り返し、女神の恩恵である物資を十分に確保した。質素ながらも温かい食事で英気を養うと、翔は二人に告げた。
「この迷宮なら、他人の目を気にする必要はない。今のうちに、より強力な魔法道具を創ってやろう」
その言葉に、メロは期待に瞳を輝かせ、アメリアも羨望を隠さずに武具を差し出した。
翔はまず、ドワーフの英雄イングベルトから授かった「絶対配合率」の合金――ミスリルとアダマンタイトを素材に、アメリアの防具を鍛え直した。
アメリアの美しいラインを強調したフォルム、黒と黄金の配色、精緻なレリーフ。盾には彼女の姿を宝石で彩り、細剣の柄頭にはエメラルドで彼女の顔を刻んだ。
「アメリア、すっごく綺麗……聖女様みたい」
普段無表情なメロが、憧れを隠さずに大絶賛するほどの完成度だった。
対してメロには、窮屈な鎧を避け、超強力ポリエチレン繊維を重層化したローブを創った。金糸銀糸をふんだんに使い、彼女のトレードマークであるトンガリ帽子もピンク基調の可愛らしいファンシーな意匠に仕上げた。
「メロ、可愛いぞ」
今度はアメリアがメロの愛らしさにぞっこんになり、互いの変貌を褒め称え合った。
翔自身は、グアリテーロでの教訓を忘れないよう、あえて質素な道着と六角棒の外見を維持した。しかし、内側には解呪された【創造師】の恩恵である「エンチャントの多重掛け」を限界まで施している。
「翔はやっぱり魔術師というのは嘘。ムキムキポーズは頭脳を荒廃させる、バカ丸出し」
豪華な装備を前に浮かれるアメリアと、筋肉ポーズで調子に乗る翔をジト目でたしなめるメロ。
いつもの賑やかなやり取りを経て、一行はついに迷宮の深淵へと足を踏み出した。
022 了




