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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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015ー6 天才は天才を知る

2019年9月6日。第015話があまりにも長かったので八話に分割しました。

 冒険者ギルドは、街の中央部にあった。そこまでの小一時間程を翔は一人で歩いた。


 冒険者ギルド本部は、巨大な建造物だった。


────凄いな。


《冒険者ギルドは、主神格のオーディンを始め、大勢の運命女神ノルン達、戦女神ヴァルキューレ英雄半神エインヘリャルなどの神々の恩恵によって建造された魔法建物です》


 現代人の翔でも驚く程に巨大な建物だった。重厚な雰囲気が神殿のようだ。


 翔が驚いてギルドを眺めている間だけでも、大勢の人々が出入りしていた。


 入って行く人達を見ていると、見るからに冒険者達だと分かった。レベルは、15ぐらいから25の間が多い。彼等を鑑定してみて分かった事は、翔は低レベルの方だと言った。


 翔は、ギルドの入り口から中に入った。入った所は、巨大なエントランスだった。


 そして、エントランスのずっと向こうに、カウンターがあり、カウンターの前は、冒険者でごった返しえてい。


────あれは?


《あの人達は、冒険者ギルドに登録している人達です。ミッドガルドだけではなく世界中のあらゆる人種が冒険者登録に来ます》


 アリスの言う通り、様々な人種がいるようだ。長々と続く行列に翔は、呆れてしまった。


────あれに俺も並ばないとダメなのか?


《いいえ。あれは冒険者ギルド本部の名物で『悩みの行列』と呼ばれています。常に何百人もの行列ができていて、これは、意図的に並ばせるているのです。並んでいるうちに冒険者登録をするかどうか今一度考えろという意味です》


────そんなご親切な設定は、俺には無かったぞ。


《翔様は、何から何まで規格外ですから》


────まぁいい。俺は……。


 翔は、そう考えながら辺りを見回した。


 遥かな行列の彼方に、カウンターが見えた。


────……あのカウターに行けばいいだな。


 そう考えながら、翔はカウターに向かって歩いて行った。


 行列から好奇の目が翔の方に突き刺さった。翔は無視して歩いて行った。ど素人に興味は無い。


「おい。あいつ。レベル8だぜ。低レベル冒険者って奴か。しかも創造師クリエーターだってよ。変わった職業だな」


 行列から翔を揶揄する声が聞こえた。翔はチラリとその発言者に視線を向けて見た。


 彼は、年端も行かぬ少年だった。まだ十三歳の見るからに優秀そうな少年だった。


 彼のレベルは12だった。まだ何の職にも就いていないのに、大した才能だった。この子は職に就いた途端、どんどんレベルを上げるだろう。


 昔は、翔もこの少年と同じ側のタイプだった。この少年も昔の翔のようにスクスクと成長し、天才と言う名を欲しいままにする事になるのかもしれない。


 しかし、翔は不思議と寂しさも羨ましさも感じなかった。なぜなら在りし日の自分を彷彿とさせる少年には、本質的な限界がある事に、今の翔は気づいていたからだ。


 この少年は天性の才能ゆえに何の苦労もなく疑問も持たず、誰かから与えられた修行を軽くクリアしてゆくのだろう。


 その結果、この世界の基準では、凄いレベルにまで登りつめてゆくに違いない。そして周りからは天才と呼ばれチヤホヤされるのだ。それが在りし日の自分でもある。


 しかし、本当の到達点は遥か先にあるのだ。アリスがしきりに、踏破する事を進めている厳しいルートの先にこそ、翔の目指すべき本当の目標があるのだ。


 翔は、軽く笑いが出た。人は、困難に突き当たると成長するという。まさにそういう事なのだろう。今は天才と呼ばれていたあちら側の自分にこそ、欠陥があることが良く分かった。


 翔は、その少年から視線をはずすと、そのまま歩いていった。


「やはり、本物は違うや。レベル8のくせに。勝てる気がしない。早く冒険者にならないと無駄にレベルが上がっちゃってるよ」


 通り過ぎて行った翔を見ながら、その少年が呟いたが、既に翔には聞こえなかった。天才は天才を知ると言う。少年は不思議な焦りに似た感覚を感じていた。

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