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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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015ー3 アンジェリーナ•ゾリ

2019年9月6日第015話があまりにも長かったので八話に分割しました。

翔は、街道から外れたところに少し広くなった空き地を探して、メロを背中から下ろすと食事の支度を始めた。


 メロだけでなくアメリアまで食事の支度を翔に押し付けて知らぬ顔だ。


 最初は、翔も分担を決めようとした。しかしメロもアメリアも全く炊事ができなかったので、仕方なく彼がすべてをやることにした。


 そろそろ料理が完成するという頃になって、どこからか大勢の足音が近づいてくることに翔は気づいた。


「また、お客さんのようだな」


 翔は、皆に言った。


 翔たちがいる場所は雑木林で、街道からは見えないようになっていた。


 足音の主が誰かは翔の所からは見えなかったが、プレートを着た兵士たちが歩くガチャガチャという音で、大体の相手は想像できた。


「魔物じゃないよう」


 メロが呟いた。


「『感知サーチ!』……。人。十八名。少し強いのもいる」


 メロは、感知魔法を掛けながら察知した情報を呟いた。


「強いのか?」


 アメリアは、メロの様子を見ながら尋ねた。


「一番は、レベル23。魔法騎士」


 メロは答えた。


「お前、その魔法、便利だな」


 翔は、メロの魔法の術式を記憶しながら言った。現代魔法では珍しく、見られない魔法だ。おそらくレベルなどの概念がない現代魔法では発達しなかったのだろう。


 その途端、翔の魔法ステータスに一つの魔法が増えていた。


「メロ。『サーチ』の魔法を今後使わせてもらうよ。ありがとう」


 翔がメロに礼を言った。


「翔に初めて魔法を教えた」


 メロは、翔に礼を言われて喜んでいた。


 そのうちにも大勢の足音が近づいてきた。そしてすぐに複数の兵士たちが姿を現した。


「お前たち。そこで何をしている」


 先頭に立つ、フルプレートの立派な身なりをした兵士が鋭く詰問してきた。


「食事を作っているだけだが」


 翔が面倒くさそうにその兵士を見ながら答えた。


『ウィリー・ボヌー。四十六歳。魔法騎士。レベル23』


────こいつが、メロの言っていた少し強い奴か。


「貴様。我ら正騎士団を愚弄する気か?」


 翔の不遜な態度に兵士が怒鳴り声を上げた。


 翔は呆れて立ち上がった。


────質問に答えたら愚弄とか、訳が分からない。


 自分の態度が悪いなどとは微塵も考えない翔だった。


「騎士のおじさん。この男の子は、少しおかしい。何かご用ですか?」


 メロが腰を折って、珍しく丁寧に騎士に挨拶しながら尋ねた。


「私は、正騎士団所属のウィリー・ボヌーと申す。この男は、手配書のグアリテーロ・デ・ミータではないか?」


 兵士は、翔を指差しながら問いただした。


 それを聞いた途端、翔は態度をコロリと変えた。彼は自分が興味のあることに出会うと、労を惜しまなくなるのだ。自己中の極みであった。


「騎士様。私はショー・マンダリンという初心者の冒険者です。どうして私をグアリテーロと?」


 翔が冒険者カードを見せながら訊いた。


「お前もまともな話し方ができるではないか。……まぁ良い。ショー・マンダリン。復活障害だったのか。なるほど、よし」


 衛兵の隊長はそんなことを呟いた。その筋の人間には、カードからいろんな情報が引き出せるようだ。


「手配書には、若い綺麗な女性を複数人連れている、年齢二十歳前後の色男とある。お前と当てはまるところが多かったのだ」


 ウィリー・ボヌーと名乗った兵士が説明した。


 端から見れば、翔はグアリテーロに似ているのだろう。確かに美少女二人を連れている若い男だ。


「グアリテーロは、何をして手配されているんですか?」


 翔は、興味を持ったことを尋ねた。


「婦女子の誘拐だな。可愛い女の子をたぶらかして自分のパーティーに入れる。結婚詐欺師みたいな奴だ」


 しかし、グアリテーロが婦女子を誘拐するような男には見えなかった。


 一緒にいた女の子たちはグアリテーロにとても馴染んでいた。それに、たかが婦女子の誘拐ごときで、これほどの騎士団が動くだろうか。


「婦女子の誘拐如きで、皆さんのような捜索隊が組織されたと?」


「君は、なかなか頭が回るようだな」


 騎士が笑いながら言った。最初は偉そうな兵隊に見えたが、案外気さくなタチのようだ。


「グアリテーロは、悪魔崇拝の破滅主義テロ集団の一人だ。君の様子を見ると、グアリテーロとは知り合いのようだな?」


 騎士が鋭い目つきで翔の目を覗き込むように訊いた。


「高い授業料を支払わされただけですよ」


 翔は、兵士の鋭い視線に少しも物怖じせず、しっかりと視線を合わせながら答えた。


「高い授業料? 被害があるなら訴え出るか?」


 逆に、騎士の顔が心配そうに変わった。なかなか芯は優しい性格のようだ。


「いいえ。いずれ必ず後悔させてやります」


 翔がキッパリと言った。


「いい面構えだ。いろいろ事情がありそうだな。しかし、グアリテーロたちは悪魔の力を得て高レベルだと聞くぞ。奴らは悪魔の流儀でレベルをうまく隠すという噂だ。気をつけろよ」


────なるほど、そういうことか。


 翔は納得し、良い情報を得たと思った。


「しかし、騎士様はどうしてここに?」


「うむ。煙が見えたのでな。炊事か。グアリテーロの一味の一人が、街道をこちらに向かっているとの情報が入ったのだ」


「どんな奴です?」


「少女だ。一見すると真面目な女の子なんだが……知らないか?」


────アンジェリーナだ。


 翔は直感でそう思った。しかし。


「分かりません」


 翔はそう答えた。関わりたくないと考えたからだ。


「その子のことで、何か情報はありますか?」


「その子は、ゾリ伯爵から捕縛指示が出ているようだね」


 騎士は、大きなギルドカードのような板を懐から出して、それを操作しながら言った。ギルドの職員が操作しているネット端末と同じような物だろう。


────やはりアンジェリーナだ。


 翔は、とっさにグアリテーロから身ぐるみを剥がされる直前に忠告してくれた、真面目そうな娘の顔を思い浮かべた。


────確か、アンジェリーナ・ゾリという名前だった。伯爵の縁者なのか?


 翔はそう考えながら、口では違う質問をした。


「その子も、悪魔崇拝のテロリストなんですか?」


────情報は多い方がいい。


 翔はそう思って、聞いておくことにしたのだ。


「手配書には、悪魔崇拝の組織の幹部とあるな。まともな奴じゃないだろうから、関わらんことだ」


「ああ。どうも、ありがとう」


 翔は兵士に礼を言った。それで兵士たちは去っていった。



「悪魔崇拝者のテロリストか。あの街道で一人で出会ったあの女の子には、確かにそんな感じもあったけれど、グアリテーロは少しイメージが違う気もするわ」


 アメリアが呟くように言った。


────なるほど。俺には真面目そうな女の子に見えても、女性にはテロリストに見えたらしい。


 翔は妙なことに感心した。


「翔、ご飯!」


 堪りかねたメロが、両頬を最大限に膨らませて叫んだ。



【宿場町からここまでの成長の状況】


○翔

 レベル8【1UP】

 戦闘レベル24相当【1UP】

 魔法レベル11相当【1UP】

 全体のレベル17相当


○アメリア

 レベル11

 戦闘レベル12相当【1UP】

 魔法レベル12相当

 全体のレベル12相当


○メロ

 レベル11

 戦闘レベル16相当

 魔法レベル21相当【1UP】

 全体のレベル18相当


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