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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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012ー5 金は天下の回りもの

2019年8月25日文章を分割しました。

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【武器屋】


 次に訪れたのは武具屋だ。道具屋で手に入れたMPポーションがあるので三人の装備を整えることができるだろう。翔は自分で防具を創るつもりだ。


 彼等が店に入った途端、店の従業員全員が血相を変えてアメリアのところに殺到した。もちろん見たこともない盾を見るためだ。


 武具屋の店員達には鑑定の能力があるので盾がミスリルとアダマンタイトの合金で出来ており、翔が何重にも付与魔法をかけられている事も一目瞭然だった。層状レイヤーの付与魔法にも鑑定士は驚いていたが、それよりも盾の表面に彫り込まれたレリーフが物議をもたらした。


「これは、芸術の神が手ずから創った神器に違いない」


 それが店の最終見解になったが翔は無視した。


 この盾を百万金貨で売ってくれと言うのを無視し、翔はさっさと買い物を済ませた。翔が買ったのは全身鎧フルプレートが三つだった。


 フルプレートの代価は一つ十五金貨。三つで四十五金貨もした。もちろん金貨は魔術で創ったものだ。


 ちなみに金貨創造が神の禁則に触れなかったのはその芸術性の高さ故だ。翔は金貨をアートと考えて作ったのだ。文明の進んでいないこの世界では金貨の出来もかなり雑だ。


 金貨を作るには職人が手で細工した金貨を元に鋳型を作り流し込むのだが、そうしてできた金貨の出来栄えは大したことがない。翔の作る金額は職人の作る元型用の金貨よりもずっと美しい出来だった。


 作ったてから魔術で少し形を変えてやれば普通の金貨に見えるのだ。これこそ正にチート(ズル)だろう。


 そんな訳でMPの制約はあるものの、ただで購入できてしまったフルプレートは、安物の金属でできており付与魔法もかけられてい無かった。


 安物のフルプレートを買ったのには、金貨も無尽蔵に創造するほどのMPの余裕がないからだ。


 フルプレートを買った理由は、無から作るよりも魔力を節約できることを知ったからで、言ってみれば材料として仕入れた訳だ。


 今後、翔は必要がなければ完全な無からの創造はしないつもりだ。あまりにも不効率だからだ。


 翔はフルプレートを持って三人で試着室に入った。彼がフルプレートをどのように変えるのかを見られたく無かったからだ。


 試着室で翔はフルプレートの材質をミスリルとアダマンタイトの合金にしたり、彼等に合うように変形したりと色々した。


 それから主要なところをチタン合金で覆ったり。様々な付与魔法を掛けられるように創造魔法で物理特性をオーバーライトし、付与魔法を何重にもかけた。


 メロの防具は、見た目は全身を覆う絹のローブだが実際にはミスリルとアダマンタイトの細い糸で縫いあげた布地だ。主要なところには飾りのようなプレートが縫いこまれていてそれがメイルの役割を果たすように工夫した。


 プレートは非常に薄くて軽く、花、樹木、鳥などの美しいレリーフを刻み込んだ。


 最初の無骨なフルプレートのイメージは全くなくなって優雅なセンスの良い聖女の衣装のようになった。


「メロ。さらに見栄えが良くなったぞ」


 アメリアが褒めちぎった。


「えへへ」


 メロはぐるぐる回って衣装を見せながら喜んで見せた。馬子にも衣装とは言うがメロは下地が良いので、どこかのお姫様のように美しくなった。


 一方のアメリアは、フルプレートに近い仕上げにした。


 全身を覆うメイルは薄く軽い仕様にした。将来飛べるようにメイルを軽くしてくれとのアメリアの願いを最大に取り入れたからだ。


 強度より軽さを優先させた。しかし、主要なところのメイルの厚さを少し増して、強さをうまく配置させることで全体の強度と軽さを実現した。


 さらに可能な限り、軽く動きやすくなるように工夫を凝らした。 


 創造魔法により軽さの物理法則をオーバーライトし、さらに付与魔法により体の動き補助する機能を付けた。


 暑さ寒さを調整し体の不純物を取り除く機能まで付けてやった。


 もちろん、美しさも妥協せず追求した。


 胸当てはアメリアの豊満な胸に合わせて美しいホルムを形作り、見るものに(主に男の子に)感銘を与えるだろう。


 全身のホルムも優雅な柔らかいラインを強調しアメリアのスタイルの良さを強調した。


 その優美さはまるで触れば柔らかさが伝わるようだ。さらにメイルの各所に宝石を散りばめて美しさを際立たせた。


 メイルの全体は鏡面仕様で輝く感じだが、金や宝石と表面加工で美しいレリーフの絵画を施す翔の独特の芸術的な仕上げとなった。


 最後に翔の武装だ。もちろん材質は、ミスリルとアダマンタイトの合金を中心とした。


 翔は、メイルのヘルメットに創造魔法により物理法則をオーバーライトを多用し、付与魔法で時間魔法を掛けた。


 翔が意識するとほんの少しだけ時間を引き延ばすことができると言う画期的な付与魔法だ。


 予想の通り時間魔法は今の翔では、恐ろしくMPが消費された上に大した効果を与えることはできなかった。


 時間魔法はほんの六%の時間延長しかできず効果は一秒間だけしか使えない。その後三秒間、時間魔法が使えなくなるという、三秒のリキャストタイムが必要な仕様となってしまった。


 翔は、それでは納得できず何度かオーバーライトと付与魔法かけて時間魔法の強化を試みたため、ごっそりとMPを費やした割には、延長効率が七%でリキャストタイムが2コンマ5秒になっただけだった。


 この他に、翔が考えつく限りの付与魔法を掛け、防御力向上、魔法耐性の強化、物理耐性強化などは当たり前。身体の動きをサポートする付与魔法。力の向上。身体を軽くする魔法。などなどだ。


 最後には戦う為に取っておいたMPポーションの最後の一口すら使ってしまった。


 まぁ、オーガと戦うのは二日後だし、旅の途中は街道を使うので、それ程強い魔物も出てこないはずだから大丈夫だろうと魔術師としては考えられないことに全てのMPが無くなるまで付与魔法を掛け続けた。


 意匠は、自分の肖像画にした。それを見たメロもアメリアも翔とは似ても似つかないと言ったが、翔には鏡を見ても自分はそう見えるのだから仕方がない。


「翔。そんな男がいたら、女が言い寄って仕方がないだろうな。至高者オプティマスの男性はそこそこ美しいがそれ以上だな。見ているだけで恋をしてしまいそうだ」


 アメリアが翔のメイルに彫り込んだ翔の顔につくづく見入った。


「良い男ってこんな感じだよ。翔も見習いなさい」


 メロも訳のわからないことを言って、翔の肖像画に見入っていた。


 翔は呆れて二人を見た。そんなに良い男が好きなのか。


「でも、翔も違う意味で良い男だよ」


 メロが珍しく翔を褒めた。


 翔達がそんな事を言いながら、試着室から出てきたのを見た武具屋の店員達は、卒倒するほど驚いたのだった。


 見たこともない美しいメイルは、武装を売る彼らには驚きの象徴だった。


 皆、翔達の周りに集まり、驚きで大きく口を開けてただ見とれていた。


 店主が、翔の手を取らんばかりにして引き止めた。


「お願いです。どうか、その鎧を一つで良いので譲ってください」


「店主。MPポーションはあるか?」


 翔が尋ねた。


「済みません。これしかありません」


 MPポーションを店主は翔に渡す。もちろん非売品だ。


 翔ほそれを飲み干すと、MPが回復した。


「店主。片手の盾を持ってこい。一番安物で良いぞ」


 翔が命じた。


 店主が翔の言われた通り、安物ではなくそこそこの盾を持ってきた。


 翔は簡単に材質の変換と付与魔法をかけて防御力を上げた。意匠も少し変えた。


「簡単だがこれで良いか? 店主」


 翔が尋ねた。


 店主は土下座せんばかりだった。


「ありがとうございます。これは些少ですがお礼です」


 懐から袋を出した。


 袋は、持ったところ重さがない。マジックバックになっているようだ。


「幾ら入ってるんだ?」


 翔が尋ねた。


「はい。一万金貨入っております」


「袋毎もらえるのか?」


「もちろんです」


 店主が当たり前だと言わんばかりに答えた。


「もらえるなら貰っておく。もし可能ならMPポーションが欲しいが」


「済みません。MPポーションは流通しておりませんので」


 店主が申し訳無さそうに言った。


 一番欲しいものは手に入らないようになっているようだ。


 翔達は、防御屋でお金儲けをした。先程のMPポーションで多少はMPも回復できたのは幸いだった。

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