010ー3 割の良い転職って?
2019年8月25日 文章を四分割しました。
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翌朝、翔たちは冒険者ギルドに立ち寄った。
エントランスホールに入った瞬間、翔たちは嘲笑の渦に飲み込まれた。
翔もメロもレベルが半減していたからだ。冒険者にとってレベル低下自体は珍しくない。迷宮の罠や、レベルを下げてくる魔物も存在する。
だが、意図的にレベルを下げたとは思われず、意地の悪い冒険者たちは「何か失敗した」と決めつけたのだ。
翔は5、メロは9のレベルダウン。冗談では済まされない。
────ここの冒険者共、本当に気分が悪いな。
翔は嘲笑を無視し、受付へ向かった。
その途中で、違和感に気づく。
人混みに紛れるように隠れている女剣士――いや、魔術師ミラ・エルナイドが、ファイアボールの術式を構築していた。
手に取るように分かる。
昨夜のトレードで魔法能力が向上し、魔法感知がわずかに使えるようになったためだ。
まだ弱いが、それでも十分だった。
翔は目で合図を送る。
アメリアは即座に理解し、防御壁を展開した。
────上手い。
昨夜教えた通りの構築だった。
一方、メロは精霊を呼び出す。羊の後ろ足を持つ精霊、パックだ。
☆
ミラは三人の仲間と連携し、四方向から狙っていた。
四発同時のファイアボール。直撃すれば大怪我は免れない。
翔は術式干渉で不発にしようとした。
だが、思い直す。
────それだけじゃ足りないな。
報復に切り替えた。
氷柱で拘束する魔法を構築する。
MPを大量に注ぎ込む。
だが、能力はまだ低い。術式は簡略化せざるを得なかった。
構築に手間取る。
────こんなに遅かったか?
苦笑する。
だがそれでも、ミラたちより遥かに速かった。
魔法が完成する。
発動。
四つの氷柱が同時に立ち上がった。
閉じ込められたミラたちは絶叫する。
だが直後、自分たちのファイアボールが炸裂し、氷柱を破壊。
結果、彼女たちは爆風で倒れた。
翔の計算通りだった。
周囲は騒然となる。
だが翔は気にも留めず、受付へ向かった。
☆☆☆
冒険者たちは息を呑んだ。
氷魔法そのものが珍しい上、同時発動など聞いたことがない。
この世界では、氷を作ること自体が高難度なのだ。
「あいつらに関わるのはやめとけ」
回復を施した冒険者が言う。
「レベル下がってるのに、異常に強い」
☆
受付嬢は変わらずにこやかだった。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「転職だ」
「ですが、そのレベルでは……」
心配そうな視線。
「問題ない」
翔は言い切った。
水晶に手を置く。
結果を見た受付嬢は驚いた。
「レベル4とは思えない能力です」
「それで、職業は?」
「攻撃寄りで、付与魔法と相性がいいもの」
受付嬢は考える。
「魔騎士、竜騎士などは?」
「却下。アメリアと被る」
「弓使いは?」
「合わない」
「では……魔界系職」
「嫌」
メロが即否定。
「戦闘魔術師は?」
「いいな」
さらに候補が出る。
「『創造師』という職業があります」
翔は興味を持った。
そしてアリスに確認する。
――創造師ってどうだ?
《神の特性を持つ職です》
説明を聞き、即決した。
☆
「俺は創造師になる」
転職完了。
次はメロ。
「神使い(セオマスター)になる」
即決。
そしてアメリア。
「至高者」
王族専用職だと判明する。
自分がそれを与えられていなかった事実に、アメリアは動揺した。
翔は静かに支える。
アメリアは頷き、転職を決めた。
☆
三人とも希少職となった。
☆
その後、報酬の受け取りへ。
ゴブリングレイト討伐が確認され、奥へ案内される。
☆
重厚な部屋。
高レベル職員。
外とは別世界の空気。
メロはキョロキョロし、アメリアは優雅に微笑む。
「翔、紙の家って本当か?」
「違うから忘れろ」
いつも通りのやり取りだった。
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