#2 つまらない騒動
一悶着って言ってるのに、フラグが折れることはない!!
「どうかなさいましたか?」
シモンさんが「ホープレイ」のアーサーに問いかける。
あれ?シモンさん怒ってない?
「そこのトールと言う奴の強さが疑わしい!!
ランクD以下の者が盗賊を1人で討伐出来る訳がない!!
何か卑怯な手を使って…例えば、たまたま死んでいた盗賊のカードをギルドに提出するなどしてランクを上げたはずだ!!」
え~…完全にいちゃもんじゃん・・・
ていうか、フラグ回収してるし…
えーと、回収されてもフラグを叩き折るには…
「彼らの保証はギルドがしているのですよ?
あなたは彼らをどうしたいんですか?」
あー、やっぱりシモンさん怒ってるよ…
「元々この依頼は3パーティーでも受注可能だったはずだ。強さが伴わないなら彼らを外してもいいのだろう?」
おいおい…依頼人に上から目線かよ・・・
これ以上やると、印象悪くなるぞ…パーティーメンバー止めろよ。
あ、ダメだ。あいつらも俺を疑ってる分、止めるに止めれないみたいだ。
俺…そんなに弱そうかな?
「あー、面倒だ!!お前ら1戦手合わせしろ!!
時間の無駄だ。トールの力を見れば納得するんだろ?」
グスタフさんが突然無茶ぶりしだした。
「男祭」と「鎌鼬」が頷いてるし…
やめろよ~!!やりたくねーよー…
「仕方ありませんね。街の外に出て早めに終わらせましょう。これ以上、時間を無駄にしたくありません」
あれ~!?依頼人のシモンさんが納得しちゃったよ!
依頼人に訴えてフラグ叩き折るつもりだったのに…
「それで構わない。早速やろうではないか!!」
バカ野郎め!!…ってかティアは何で反論してくれないんだ?
「なあ、ティア…何で反論してくれないの?」
「主よ、我が反論したところで奴は納得せんじゃろう。ならば、主が強さを示せば解決する訳じゃ。なに、我は主の強さを知ってるし、信じておるからのう」
「…ありがとう」
あー、ティアを真正面から見れねー。恥ずかしい…
・・・
俺たちは街の外に出て、街道の外れの邪魔にならない所に移動した。
「じゃあ、俺が審判を務めるぜ。勝負は一本。相手が降参したり、気絶等で続行不可能となったら終わりだ。あと、時間制限…大体5分だな…トールが耐えきったら、護衛として問題ないと認識する」
「ああ、それで構わん。すぐに終わらせる」
アーサーうぜえ!!
「ハァ…分かりました」
ちょっと試したいこともあったし、この際だ、やってみるか。
「両者構えろ!!…始め!!」
「『パワー』」
アーサーが身体強化魔法を唱えた。
この魔法って無詠唱の人多いな。
イメージしやすいんだろうか?
「…『身体強化』、『地形操作』」
俺もなるべく小声でアーサーと同時に魔法を発動させた。
この装備になって『装備強化』をしなくてよくなった分、楽になったな。
「はあ!!」
初撃となるアーサーの片手剣が上段から振り下ろされた。
こいつやっぱりバカだな。何で攻撃範囲の狭い縦の剣撃を選ぶんだ?
横凪ぎして相手が間合いに入ってこないようにするのがセオリーじゃね?
あー、俺を格下と思ってるから一撃で決めようと…
はー、これだと試したいこと出来ないな…
俺は左斜め前へ身体を進めて剣を回避し、相手の顎に右拳を入れ、後方に跳んで間合いをとった。
こりゃ終ったな…
アーサーは俺の攻撃に気付いて追撃してきた…が、一歩踏み出した時点で崩れ落ちた。
ま、簡単に状況を言うと、脳が揺れて平行感覚が狂った状態だな。
アーサーは立とうと、もがいてはいるが回復魔法でも掛けない限り無理だろう。魔法も混乱中じゃ発動出来ないだろうし…やっぱり終ったな。
「そこまで!勝者トール!!」
グスタフさんも続行不可能と判断したか…
「ぐっ、くそぉ!!…お、お前…な、何をした!!」
「…顎に拳を当てて頭を揺らした」
説明するのも面倒臭い。
折角、雷を使った行動阻害の魔法使おうと思ったのに…弱すぎて使う暇無かった。
同じランクDだったゲルトより弱く感じたのは、その分俺が強くなったんだろうな。
「シモンさんお手間を取らせて申し訳ございませんでした」
俺はシモンさんに近付き、時間を取らせた謝罪をした。
「いえ、大丈夫ですよ。貴方は悪くありませんので…」
ハハハ…言葉にトゲがあるな。苦笑いしか出来ねー。
「よーし、面倒事も終わったことだし、配置決めてさっさと出発しようぜ!!」
グスタフさんも何気に酷いな。
「それではシモンさん、意見を言わせて下さい。
まずランクCがランクDを補助出来る配置にした方が安心出来ると思います。「男祭」と「鎌鼬」を前後に分けてはどうでしょうか?
さらに、グスタフさんのように突破力がある人が、先頭にいると障害を切り抜けやすいと考えます。よって、「男祭」に先頭をお願いしたいです」
「サイラスさんの提案がありましたが、どうですか?グスタフさん」
「・・・相談の結果、その提案を受けることに決めたぜ。そして、ランクDパーティーの件だが、俺たちが「ホープレイ」を補助する。だから「鎌鼬」が「日月」を請け持ってくれ。
お前らもそれでいいな!?」
「はい」
俺とティアは互いに頷きあい、了承の返事をした。
「・・・分かった」
いつの間にか復帰していたんだ?…アーサーの奴。
返事は渋々って感じだったな。
「では、先頭に「男祭」さん。次が「ホープレイ」さんで、1台空けて「日月」さん。最後尾に「鎌鼬」さんを配置する形でよろしいですか?」
「いや、俺たちは先頭集団と最後尾をどちらも補助できるようにしたいので、「鎌鼬」と「日月」の配置を入れ替えてほしい」
おー、そういう考え方もあるのか…さすが『指揮』持ちのサイラスさん!!勉強になります!!
「なるほど、確かにその方が良さそうですね。では早速、配置に付いてください。遅れた時間を取り戻しましょう!」
再びトゲのある号令のもと、各パーティー配置に付き、俺たちはイルテミナ市へ出発した。
・・・
これが、出発前のつまらない騒動だ。
精神的に疲れたよ…
次回、能力確認




