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第23話 同族殺しの種族

もはや誰を主人公にしたいのか自分でもわからなくなってきました。

でも、後悔はしていない!


というわけで投稿です

 先に追跡させた1班2班の者達は村の端で倒れていた。


 そして、驚くべきことに今現在戦争をしている敵国の兵士も数名倒れていた。


「おい!大丈夫か!」


 先についた者達が仲間の制止を確認するべく近づく。見る限りで八や傷は見当たらないが、毒がある可能性があるため首や腕に手を置き脈を調べる。


 調べた者達は調べ終ると安堵の息を吐いた。


「大丈夫です、生きてます。毒物や罠もないようです」


「そうか。そいつらを一旦下がらせろ。おい、あのローブの者達は?」


「分かりません。もしかすると帝国の奴等だったかもしれませんが、人数があいません」


 倒れている敵国の者の数は明らかに出会ったローブの者達よりも数が多い。ローブがないのは脱ぎ捨て、風に飛ばされたと推察はできる。


「逃がしたか……もしくは待ち伏せをされていたか……いや、なら何故奴らも気絶している? それに見る限り向こうにも死人はいない。いったい何が起きた」


 倒れているのは自分の部下と敵国の兵士、しかしどちらにも死傷者はなく、争った形跡もない。罠という可能性もあるがそれすらもない。


 その場にいた者達全員が頭に疑問を浮かべていると、複数の足音が儒所に近づいてくるのが分かった。

 馬の足音と人の足音、鎧が擦れあう音など明らかに兵士や騎士が動くときのが聞こえてきた。同時にその姿が見て取れた。


 金色の死屍が見で刺されている敵国の印が鎧についている者達。


「帝国! そうか、やはり待ち伏せか! 全員退却! 倒れている者は馬に乗せろ!」


 人数は見た限りでは五分であるが、待ち伏せをされているのならば何か秘策があるのではないかと考えた隊長はすぐさま撤退を選択した。


「あれは、王国の奴らか! 何故いるのかは知らないが、ちょうどいい! 奴らを殲滅し、勝鬨を上げろ!」


「ヤー!」


 逆に帝国の隊長はこれ幸いと敵国の戦力を削ごうと考えた。


 相手が撤退しているということは待ち伏せの可能性は低い。どこかに誘導しようとしている可能性も考慮したが、誘われる前に叩き潰してしまえば問題ない。


「クソ、逃げるのは無理かっ! 作戦変更! これから反撃に映る! アルマ! 残してきた奴らを呼んで来い! 全速力でだ!」


「了解!」


 アルマと呼ばれた青年は馬に乗りその場からすぐに撤退する。血飛沫が飛ぶ戦場となる場所に背中を向け仲間を助けるために仲間を呼びに行く。


「うぉおおおおおおお!」


 軍と軍とがぶつかりあい、怒声と共に開かれた血で血を洗い泥のように悍ましい戦いが今、切って開かれる。


 だが、その時それは現れた


「なっ! こ、これは!」


 奇妙な音と共に地面に現れたのは円形の黄土色に光を放つ陣。魔の力を人間が作り出したルールに当てはめて望んだ結果を生み出す為の下地。


「なんて巨大な、全軍! 急いでこの場から離れろ!」


【彼らは見えない枷に捕らわれタ】


 戦場として似つかわしくない凛としたまるで少女のような声が闘争の空気に溶けていった。


 村の開けた場所には魔法陣の中心が存在し、更にその場には両手を広げた包帯が巻かれた一人の少女とその周りには少女が復讐しようとしていた子供達が顔に恐怖を浮かべて座らされていた。


 しかし、少女は子供達のことなど眼中になく手に一粒の宝石を握りしめ、目を閉じたまま次の言葉を綴る。

【あらゆる鎖とあらゆる枷をもって彼らはその場に繋ぎとめられル】


 戦場にいる彼らは周囲に響き渡る幼さの残る声に瞠目しながらも自分達の異常に気が付いた。


 体が動かない。

 腕も足も、声すらも出せず痙攣するかのよな動きしかできない。


【死の幕引きを罪人に与える縛鎖の岩盤】


 動かない間に徐々に彼らの顔に恐怖の色が浮かび上がっていく。それに同調したかのように、青い空は暗い雲に覆われ周囲から温かみある光を奪い取った。


 彼らは騎士になると同時に戦場などで使われる魔法をできる限り覚えるようにしている。故に、彼らは今から発動しようとしている魔法に恐怖した。


【忌まわしき者を逃さぬ大地の怒り】


 魔法の力を強くし安定した形で結果をもたらすには詠唱が必要であることを彼らは知っている。だが、彼らが恐怖しているのはただ発動しようとしている魔法が凶悪な魔法であるからだと知っているからではない。


【そして彼らは唯一の希望を泥の外へと追いやられた】


 なぜならば、現在綴られている詠唱を、今発動しようとしている魔法を知らないからである。


「生贄を捧げる禁忌の御業」


 目を細く開けながら魔法を唱えると同時に、陣から漏れ出る光が強くなる。

「きゃぁああああ!」


「ウッ! が、˝あぁああああ!」


 周囲にいた子供達が苦痛にもがき苦しみながら絶叫すると次々にその体は白い灰となり宙を舞い陣の中に取り込まれていった。


 すると突然地面が振動し始め同時に動くことができなかった者達も動けるようになった。

「じ、地震なのか!?」


「い、いや、違う! これは……!」


 生贄を捧げること、人を対価にして力を得る事をしでかした少女は目を見開き瞳孔を小さくし、更には目の色が金色へと変貌させながら、最後の言霊を呟く。





「魔法【土壁で作られし鎖ノ牢獄】」



 一際強く陣が輝くとその陣は次の瞬間には消えて無くなる。


 そして、六角の形をした柱が地面から檻のように彼らを閉じ込めるかのように一つ一つ順番に巨大な土の柱は建造されていった。


 そして柱が建造されていくと同時に騎士達に何かが飛んでいった。


「うお! なっ! これは、鎖!?」


 柱から鎖が生えそれがランダムな場所に当たるとその場に固定された。


「鎖に気を付けろ! 何かあるかもしれん! 絶対に当たるな!」


 次々に現れる鎖は人がいる場所、いない場所関係なく一直線に飛んでいく。


 そして出来上がったのが、まさに鎖だらけの牢獄。


 荒れ果てた大地の場が作り出され、巨大な竜を数頭閉じ込めることがきそうなほどに大きな螺旋状の檻、内部では鎖が蔓延っている。


 脱出ができなくなった彼らは慌てるのではなく、唖然とした。


「なんだよ、これ……」


「牢獄じゃよ」


 沈黙が支配する空間で呟かれた一人の独白に答えた声は、明らかに魔法の詠唱時に聞こえた声ではなっかった。


 全員が底冷えする声の主を探してある一点を目撃した。


 そこには長い階段が作られていた。その先には茶色のローブを羽織り土で作られた豪華な椅子に足を組みながら座る異常な少女の姿。


 腰まである長髪と頭から生えている髪の色と同じ色をした獣の耳と二本の尾を風に靡かせているその少女の顔は、相手を見下しているような、慢心しているような表情をしている。


「初めましてじゃな人間諸君。まずは自己紹介から行こうではないか」


 古風な喋り方をするそれはその椅子から微動だにすることなく、その人を人として見ていないかのような鋭い瞳をしたままそれは続けた。


「儂の名は……『ヒルデガード・ローゼンブリード』。獣の力と人の知力を兼ね備えた存在、それがこの儂、〝獣人〟じゃ。よろしくなぁ、人間」


 彼らは知った。悟ってしまったのだ。


 見られただけで、認識されただけで、目に移しただけでわかってしまったのだ。


 やはり人間では、純粋なただの人では、人外には勝てないのだと。





「ククク、いいぞいいぞヒデや。そうじゃ、そういう態度を維持するのじゃぞ」


 手の平サイズの大きさとなってしまったモモはヒデの真正面にある柱の上で寝そべり眼下で怯えている観客達を見て、演目の参加者たちを見て笑っていた。


 何故ヒデがあそこまで悪役のように登場したのか、それは全てモモが直接指示ているからである。


 モモの頭の中には生まれ変わっても魔道具が埋め込まれていた。それは遠い相手に自分の考えを伝えるための道具。モモはそれを使ってリアルタイムでヒデに指示を出しているのである。


「いやぁ、しかし、楽しいのぉ」


 モモは元々こういう性格であった。


 まだモモが街中にごく普通にいる野良猫であったころ、モモは仲間を作ろうとはしなかった。


 モモは敵対する者達に対して容赦はしなかった。しかし、縄張り争いは必ず一対一になる筈もなく、また自分には多対一をこなせるほどの力もなかった。


 故に仲間を作り、自分が縄張りの頂点であることを傲岸で不遜な態度をとることで仲間達に自分のカリスマ性を見せつけていた。


 そんな中、仲間を守ると息巻いていたせいで人間に捕まり、頭に魔道具を入れられ、人間の記憶を入れられたのだが、今ではそれに後悔はしておらず、逆に感謝をしていた。


 なぜなら、モモはこうして自分で描いた芝居を見ることができているからである。


(記憶の中にある芝居、あれはとても面白いと思えたのじゃが、やはり生で見た方が断然いいわい!)


 モモもモモでかなりぶっ飛んだ性格をしていた。






 しかし、当のヒデも少しだけ楽しくなってきていた。


 もともとアイデンという男の記憶の中には演技をしているのを見た記憶と演技をしている記憶があるため、どんな気持ちなのかは大体分かっていた。


(やぱっぱり、実際にやってみないと分からないよね、この楽しさ!)


 初めのうちはそこまで楽しくはなく、モモの意見にのろうと思ったのはただ気まぐれに過ぎなかった。しかし、やってみると内側からゾクゾクとした感覚がわいてきて徐々に楽しくなっていったのだ。


「何者だ! 貴様、俺達にこんなことして、ただで済むと思っているのか!」


 下で役者がわめいている。すぐに退場するやられ役、しかし、まだモモからの指示がないので、椅子に座ったままにする。


「何者? さっき言ったではないか。儂は獣人、人であり獣でもある者じゃと。あと、ただで済むと思っておるよ。なんせ、お主達は弱いからのぉ、なぁ、欲深き人間共よ」


「弱いだと……私達がぁ? この、栄えある帝国第4中隊隊長であるこの私が? 祖国のために必死に訓練してきた私達がぁ、弱いだとぉ!」


「隊長! 落ち着いてください! いつも冷静さを保てと言っていたのは貴方じゃないですか!」


 今にも暴れだしそうな帝国の隊長を男の一人が抑え込んでいる。


「ふふ、あぁ安心するとよい。弱いのはお前達全員なのじゃからな」


「……んだとぉ」


 ヒデの言葉にその場の国のために忠誠を尽くすと決めた者達の目に殺気が籠った。狙った獲物を絶対に逃がさない狼のような鋭い目を正体不明の少女に向けた。


(おぉ、こっわいなぁ)


 内心ヒデも少しばかり怖くなりつい演技を忘れそうになったが、アイデンの記憶のおかげでなんとか表情に出さずに済んだ。


「弱いさ。なぜなら、お主達は人間ではないか」


 その瞬間彼らは動きを止めた。


 ヒデは椅子の腕置きに肘を置き頬杖をついて話を続ける。


「いつの世も、どの世界も、最後に勝つのは能力のある者じゃ。子供でも分かる。例えば、平民が努力で成り上がり最後には竜を倒す話があるじゃろう?」


 男達は知っている。なぜなら、小さい頃に読んでもらったことがある有名な童話だからだ。


 その童話の主人公が必死に努力して、強くなって最後には城ぐらいある大きさの龍に勝つことができるという王道な話。


 小さい子供はその話を読んで主人公に憧憬を抱き兵士や騎士に憧れ、目指す。


「エルフが魔力が多いという能力があるように、ドワーフに鍛錬が上手いという能力があるように、人魚に水中で呼吸できるという能力があるように、あれも、あの平民の男にも能力があったからじゃ。努力すれば恵まれるという能力がな」


 ヒデの言葉は彼らの心を抉った。深く、力強く乱暴に抉り取った。


「努力をすれば個人差が出る。同じ日、同じ場所で同じように鍛えても必ずそれは現れる。お主達と儂らではまず基本が違う、下地が違う。お前達が必死に努力して手に入れた力を、儂達人外は最初から持っている」


 今まで言われでどの種族からも言われたことがない決定的な言葉。


 彼らが温和で敵意がなく優しさに溢れていたからこそ言わないでくれていた言葉を、彼らの目の前にいる人外は言い切った。


「認めればよかろう、弱小種族。欲深き人間よ。お主達は、弱い」


 ハッキリと、言い訳ができないぐらいに清々しいほどに簡単に言い切った。


 そんなことは分かっている。自分達は英雄に慣れないことぐらい、自分達は物語に出てくる脇役にすら慣れない半端者だってぐらい、最初から分かっていた。


 だれも言わないけど自分達人間が弱いだなんて最初からはっきりしていた。認めてすらいた。



――けど、だけど!


「……いい加減にしろよテメェ……」


――認めるわけにはいかないことだってある!


「人間人間って、見下してんじゃねぇ」


――今までの苦労を無意味だと言われて、黙っていられるわけがない!


「俺達は! 見下されるようなことは何一つしちゃぁいねぇ!」


 人間の怒号に耳を傾けていると、最後の一人の言葉に耳が無意識にピクリと動いた。


「あぁそうさ! 確かに俺達は弱いさ! 認めてやるよ! お前達からみたら小石ぐらいにしか見えないだろうな! だがな、人外、だけどな人外! 俺達は、一人じゃねぇんだよ!」


 威勢よく吼える人間が見をこちらに向けると周りの者達はその人間に近寄り、同じように剣を構えた。まるで、一個の生命体のように動く彼らはまるで家族のように見えた。


「一人じゃない……か……」


 誰にも聞こえないぐらいに小さく呟いかれた時、ヒデの頭の中ではあったこともない女の子が無邪気な笑顔で笑っている姿が映し出された。


 瞬間、ヒデの胸の奥から何かが沸き上がり、表に出てきた。


「人間、お前達に聞きたいことがある」


『うむ? ヒデ、どうした?』


 指示していない言葉を口から発したことに驚いたモモが頭の中で言葉を漏らした。だが、今はそんな言葉は頭の中に入ってこない。


「あぁ? んだよさんざん貶しといて聞きたいことだぁ? 舐めるのもいい加減に」


「すぐに殺す者と、暴力を振るい廃人にしてから殺す者、どちらが悪だ?」


 被せられた言葉に乱暴な言葉使いの男は黙った。


「苦痛を与えず殺す者と、苦痛を与えじわじわと殺す者、どちらが残酷だ?」


 等々に質問してきたヒデに男達は困惑し、答えることができなかった。


 この質問の意図が把握でき無かったことにも理由が挙げられるが、なによりもヒデ本人の雰囲気がガラリと変わったのがもっともな理由であった。


「昔、一人の女の子がいた。その子はとても明るくて、健気で、正義感が強くて、とても清かった」


 あぁ、わかる。今、私は記憶に呑まれている。アイデンという知らない男の記憶に飲み込まれている。私が経験したわけでもない悲しい経験や嬉しい経験が胸の奥から流れ込んでくる。


「皆から好かれていて、誰もが彼女を愛していた。良く笑い良く喋る、可愛くて可憐でお転婆な、素敵なお嬢さん。誰もが彼女に友愛の心を捧げていた」


 彼女の話をしていると何故か表情が緩む。


 その事が分かったのはヒデだけではなくモモも、下で剣を構えている男達にも分かった。


「だけど、彼女は幸せにはなれなかった」


 だが、次の瞬間、その表情は一変した。


「ある貴族の男が彼女を欲した。それだけで、彼女は家族を失った。たったそれだけの理由で、彼女は薬漬けにされて廃人になった。それ以来、彼女から笑顔が無くなった」


 男達はヒデの語った言葉を聞いて今までの怒りを鎮静化させた。


「さて、もう一度お前達に質問するぞ?」


「自分に正直な獣と、弱者だけでなく同族までも絶望の淵に追いやる人間、どちらが残虐か答えてみてよ。欲深く罪深い、残酷で残虐な同族殺し」


 あぁ、きっと今の私の目には、温かみなどはないだろうなと、ヒデは心の中で冷笑した。

ちょっと中二病がでたかもです……

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