第344話 懸念
領主のブレッドと話したノンは軽く今後の話をした後、屋敷を脱出してグレイクと合流。そのまま、崖を経由して下町に戻り、宿屋に戻りました。しかし、その時点で時刻は深夜の三時を過ぎた頃、宿屋で待機していたアレッサたちに進展があったことを伝え、詳しい話は仮眠を取った後にすると言い、ノンの長い夜は終わりました。
「で、領主とどんな話をしたの?」
時刻はお昼前。全員が仮眠を終え、男部屋に集まった後、アレッサが面倒臭そうな表情を浮かべながらノンに問いかけます。彼は解決したとは言わず、進展があったと言いました。そのため、ノンだけで判断できず、持って帰ってきた時点で面倒なことが起きたとわかったのでしょう。
「はい」
それからノンは領主との話し合いで判明したことを全員に共有します。特に闇ギルドが関わっていることと人間と獣人の仲を引き裂くのが目的かもしれないことは強調して話しました。
「また闇ギルドか……何が目的なんだか」
「王都に魔族を侵入させようとしたんだったな。確かに奴らが魔族に加担してると考えると人間の敵を増やした方が効率がいい」
アレッサとグレイクはその話を聞いて納得したらしく、顔を歪めました。すでに数年にも渡って獣人誘拐は行われています。今更、闇ギルドが悪いので人間の敵にならないで、と獣人側に頼んでも許してもらえない可能性が高い。ましてや、すでに獣人たちが人間を敵視して攻撃を仕掛ける準備をしているかもしれません。
とにかく、今すぐにでもこの問題を解決しなければ事態は悪くなる一方なのは間違いないでしょう。
「じゃあ、具体的にはどうすんだよ。領主ってやつは言いなりになるしかないんだろ?」
「それに人質もいますし……何か策を練らないと厄介なことになりそうです」
アゼラとミアは今の話を聞いても冷静に物事を考えられる状態のようで難しい顔してノンたちに問いかけました。この一か月、共に冒険したおかげで技術的だけでなく、精神的にも強くなったのかもしれません。
「そうね。とりあえず、仮に相手が闇ギルドだとしてどこまで手が回ってるのか確認しないと」
「手が回ってるって?」
「奴らが潜伏してるのはナーティの街だけじゃないってこと。多分、ケレスカ大陸の方にもこの街と同じように拠点にしてる場所があるはずよ」
一年もの間、ブレッドを騙し続け、ナーティを手中に収めた闇ギルド。そんな用意周到な彼らならケレスカ大陸にも拠点を作ったと考えるのが妥当です。
「あとは援軍を呼ぶ方法だ。オレたちなら船一つぐらい占拠するのは可能だが、船に捕まった獣人が乗っているとなると人質に取られる可能性がある」
「獣人を買い取る奴隷商も捕まえないとこれまで奴隷にされた獣人たちを救えないと思います」
「うわぁ、やることがいっぱいだ」
グレイクとミアの意見にアゼラは頭を抱えて肩を落としました。一つでもミスをすれば事態を悪化させる可能性のある危険な状況です。
「だが、幸運なのは人間と獣人の仲はまだ完全に切れたわけじゃないということ。そして、それをどうにかできる方法をノンが持っていることだ」
「はい、何とかしてみせます」
ボアレでノンから解決方法を共有されていたグレイクの言葉にノンは力強く頷きました。
(それに上手くいけば魔族との戦争に関しても一気に形勢を逆転できるかもしれない)
人間が魔族との戦いで苦戦しているのは魔族が他の種族たちの動きを抑え、援軍を呼べないことが大きな理由です。ですが、ノンの思い通りに事が運んだ場合、その問題を解決できるかもしれませんでした。
「考えましょう。獣人たちを助けるために」
考えることは山積みです。しかし、ここには心強い味方がいました。それを証明するようにノンの言葉に四人は真剣な顔でコクリと頷きます。
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