エピローグ
「佐藤!お前……これ、なんだよ!!」
プロジェクトリーダーの怒声がオフィスに響いた。
「え? 俺またなんかやらかしました?」
「“なんか”じゃねえよ! シナリオに変なルート混ざってただろ!」
「え〜? 知らないっすよ〜」
佐藤は頭をかきながらしらを切る。
すると、すぐ隣で同じ班の伊藤が手を挙げた。
「はいはーい、あたしでーす。やっちゃいました♡」
「お前かぁ!!」
リーダーが机を叩いた音に、周囲のスタッフがビクッと肩をすくめる。
「だってさぁ、テスト中にクラウスと友人たちの友情エンドが超エモくて! しかも全員イケメン! ……乙女ゲーにしたくなっちゃいません? ね?」
「なるか!!」
リーダーの顔から湯気が立ち上りそうだ。
「いいか、《CROWN OF HEARTS》は男性向けの恋愛シミュレーションゲーム! 主人公クラウスの攻略対象は美少女だ! 何が乙女ゲームだ、脳内転職すんな!」
「だって〜、女性向け部門、なかなか異動させてくれないじゃないですか〜?」
異動できないのは彼女の数々の暴走案件のせいなのだが、本人はまるで自覚がない。
「まあでも、普通にプレイしたら乙女ゲールートには入らないようにはしてますよ? 隠しコマンド式にしたんで♡」
「バグでそのルートに入っちまうんだよ! どうやら誰かが意図的にフラグ条件のバリデーション抜いててな……佐藤」
ギクッと佐藤の肩が跳ねる。
「……あー……すんません。バグ修正しておきます」
「当たり前だ! さっさとやれ! それから伊藤、お前の妄想乙女ゲーシナリオも今すぐ削除しろ!」
「えーっ!? けっこう読ませる展開だったと思うんですけど……!?」
「えー、じゃねえ!人が魂込めて作ったシナリオを破壊してんじゃねぇよ。 BLルート入れてほしいっていうから次回作も検討中だったのに……白紙に戻すぞ!」
「はい! いますぐ削除しまーす!!」
「よし。パッチ作れ! 即リリースだ、わかったな! 《藤コンビ》!」
「「はーい」」
完結となります。
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