霊視
以前ホームズ女史に「あなたには顔よろいまでつけた3人の甲冑武者がついている」
とだけ言われたことがある。
「とても、肩が重いでしょう。あなたの肩の片方に2人、片方に1人いて、みんな鎧をつけているのですもの。」
確かに私はひどい肩こりに悩まされていたし、頚椎ヘルニアと診断されたことがある。しかし、私の年代の女性はたいていが、肩こりに苦しんでいるものだ。
「そして、その3人にぎゅうぎゅうに挟まれて、その隙間から出よう出ようとしている貴方が見えるのよ。
あなたは、とても窮屈で苦しそう」
私は嫁いでいたが、今も子供時代も、娘時代も、実はどこを振り返っても自由だった時はない。
それを、苦しいとも変だとも思わないぐらい、自然に誰かの支配と誰かの運命の中にいるのが普通で生きてきていた。
「その、3人は俗に言う私の守護霊様なの」
「守護霊というのとは、違うと思うわ。その3人は自分達が押さえ込まれて、全然自由でなかったから
貴方にも自由にさせない、という感じでいるみたい」
「じゃ、悪い霊にとりつかれてるって事かしら」
「それとも違うようよ。そんな、悪い霊じゃない。きっと、あなたに係わる人達だと思うけれど。あなたを自由にさせたくない。でも、自分達とあなたとのかかわりを邪魔されたくない。だから、かえってそのところでは、悪いものからはあなたを守ってくれるでしょう。」
私のそばにいる3人は複雑な思考の持ち主のようだ。
「私の守護霊はいないのかしら」
「その3人が強すぎて見えないのよ。」
ホームズ女子の言うことが正しいのかウソなのか私には知りようがない。そこで、少しでも私にわかる
ヒントを見つけることはできないのかと尋ねてみた。
「では、先ごろ死んだ伯母さんとお母さんは私を守ってくれてないのかしら」
余談であるが、霊よりもマイルドな見えない世界アイテムにオーラがあると思う。オーラが本当はどうい
うものかよく知らないが、その人だけが発する生命の気のように思われているので、日本人には受け入れ
やすいのかもしれない。
そのオーラーが見えるという人がいて、実際にあえたとしたならば、誰だって「貴方のオーラはすばらしい色で、力強く光輝いている」と、言ってもらいたいのではないだろうか。それと同じで、もし、先ごろ本当に大切な身内を亡くした人がいるならば、死後の世界がわかるという人に出会ったとき、
「あなたをずっと見守ってくれていますよ。ほら、今もあなたの傍で優しく微笑んでいます」
と、言ってもらう事を、知らず望むのではないだろうか。
私の伯母はよくも悪くも「素」の人間であり、特別にいい人でもなかったが特別に悪い人でもなかった。教養もなく、人にばかにされたりもしたが、その無邪気さをかわいがられもした。彼女は人生において、幸せではなかったので、浄土というものがあるのならば、彼女こそは浄土で報われるべき幸せになる人だと思っていた。
母親にしても、伯母ほどではないが、他所様に比べれば、随分苦労をした人であり、その上、とても信心深い人だった。
「お母さんは、さっと、上にあがっているわね。あがりながら気持ち分振り返って、お父さんのことを
気にしているけれど、さっとあがっている。でも、伯母さんは、あがっていない。自分が死んだことが分かっていないみたい」
正直涙がでそうになった。何故、伯母が幸せな昇天ができていないのか。そんな、理不尽なことと思った。ホームズ女史の言うことを信じるのか、信じないのか。問題はある。
「伯母さんって、とても小柄で少女のような人でしょう」
ホームズ女史はまさしく、伯母の様相を言い当てる。彼女は、私の伯母のことなど知るはずもないのにだ。
実はホームズ女史と会うときは、いつも私をホームズ女史と引き合わせた知人ハドソン夫人と一緒にあっていた。このハドソン夫人も母親を亡くしているのだが、ホームズ女史は彼女にはいつも、こういうのだ。
「あなたには、いつもお母さんの守りがついている。お母さんは、かなり霊格が高いから、家のことや、貴方やお父さんの気がかりなことを、私に伝えてくる。でも、お母さんが守ってくれている事を、いいことに悪い事なんかしちゃだめよ。貴方とお母さんは繋がっているから貴方が悪い事をしたら、お母さんの霊格も下がるからね」と。
この話を聞いているから、私は何故彼女の母親は、遺してきたものを守り、何故、私の母親は私を守ってくれないのか、伯母にいたっては、何故旅立つ事もできていないのか、ホームズ女史に聞いた。彼女は言う。ハドソン夫人の母親がとくに信心であったとか、何か修行をしたわけではないと。
「ハドソン夫人のお母さんは私には丸い光に見えるわ。そして、よく見るとその光の中にお母さんがいらっしゃるのよ。丸い形が取れるのはかなり霊格が高い証拠だと思うわ。お母さんは亡くなってから、急に霊格があがった感じよ。ワトソンさんのお母さんは、ワトソンさんを見てるとは思うの。でも、守ったり、コンタクトを取ったりするのは、普通亡くなってすぐの人は出来ないみたい。修行をしているのよ。お母さんも」




